〈龍使い〉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 05:03 UTC 版)
「ウィザーズ・ブレイン」の記事における「〈龍使い〉」の解説
生体制御特化型《魔法士》。黒の水と呼ばれる外部デバイスを利用して、身体構造制御を行う。すなわち黒の水を自身の肉体の一部として取り込み、その形状を自由に変化させられる。物理面、情報面ともに鉄壁の防御力を持つ。その防御力は〈天使〉の同調能力すら拒絶可能。広範囲での戦闘には向かないが、対個人、特に対〈騎士〉戦では圧倒的な戦力を誇る。 大戦当時にシティ・北京で極秘開発された《魔法士》で、アルフレッド・ウィッテンも開発に関わっている。専用の隔離実験施設《龍使いの島》で実験が繰り返されていたものの、黒の水が本体を侵食する事により暴走する欠陥を解決できなかったため、大戦への投入は見送られた。その後シティ・北京の壊滅によって研究は事実上中断し、その存在も忘れられることになる。 作中に登場するのは、李芳美(リ・ファンメイ)、雷小龍(レイ・シャオロン)、戒蒼元(カイ・ソウゲン)、飛露蝶(フェイ・ルーティ)の4名。シティ・ニューデリー主導の《龍使いの島》攻撃作戦によって3名が死亡し(エピソードII)、李芳美(リ・ファンメイ)ただ一人が生き残った。 その後、李芳美(リ・ファンメイ)はシティ・ロンドン軍のリチャード・ペンウッドの保護下に入り(エピソードIV)、彼と傘下の研究員により〈龍使い〉の研究は事実上再開された(エピソードVII)。その研究の成果により、暴走を抑制する黒の水製の外部デバイス「小龍」が開発されたり、同じ体積に多くの黒の水を詰め込む圧縮技術が実用段階に入ったりしている。 ☆身体構造制御 体組織を構成する細胞を操作することで、身体能力の強化(腕力、脚力など)・身体構造の改変(触手を生やす、体表に鱗を形成するなど)などを行う。《情報制御》の中枢を成す脳を破壊されない限り瞬時に肉体を再生させる事ができるため、非常にタフである。また細胞を用いて《論理回路》を形成することで肉体の物理面、情報面をともに強化・変質させ、《情報制御》による外部干渉を防ぐ「絶対情報防御」と呼ばれる能力を持つ。 対〈騎士〉(対騎士剣)用として開発されたため、身体能力の強化によって運動速度と知覚速度を加速し、〈騎士〉同様の高速戦闘も出来る。しかし物理法則を書き換える〈騎士〉とは異なり、身体能力の強化であるため、運動速度の加速はそのまま運動エネルギーの増大になっている。すなわち、〈騎士〉は単に動きが速くなる空間にいるだけの普通の人間だが、〈龍使い〉の動きの速さは人間の域を超えた筋力に基づくものであり、同じ速さで動く〈騎士〉と〈龍使い〉では〈龍使い〉の方が圧倒的なパワーを持つ。 また〈龍使い〉自身だけでなく、黒の水を介することで他者の肉体も制御可能で、この特性を活かして他者の肉体の修復――すなわち病気や怪我の治療も可能。修復前の肉体の構造は問わないため、瀕死の重傷や難病治療に対する効果も期待されていた。ただし、〈龍使い〉自身が利用できる黒の水の体積以上の損傷部位はカバーできない。理論上は、生命反応さえあれば修復可能だが、〈龍使い〉本体に対する負荷が大きいため過度の使用は暴走を招く危険性が高い。 なお補助デバイスである黒の水には、遅かれ早かれ本体を取り込み暴走するという致命的な欠陥(バグ)があった。暴走は大きく分けて二つの形に分けられる(後述)が、どちらも原因は黒の水の性質に根ざしている。 黒の水 〈龍使い〉の身体を構成する細胞だけでは量に限界があるために開発された原型細胞。使用者はこれを身体に取り込み、必要に応じてこれを筋肉や鱗に構成して使用する。理論上、〈龍使い〉が操作できる黒の水の量に上限はなく、司令塔である〈龍使い〉が操作する黒の水の量が、そのまま〈龍使い〉の戦闘力に直結する。 黒の水は知性を持たないものの、独自の行動原理に基づいて行動するスライム状の生物であり、〈龍使い〉本体とは原則として共生関係にある。 実験施設《龍使いの島》には黒の水の生成プラントも設置されていたが、エピソードIIにて破壊された。その後、シティ・ロンドン軍のリチャード・ペンウッドと傘下の研究員により、黒の水の生産データがまとめられ、通常の培養槽に黒の水生成機能を付加する特殊な生産装置が開発されている。黒の水の暴走(パターン1) 使用者の肉体側が黒の水に対して僅かでも拒絶反応を起こすと、黒の水はそれを攻撃と判断して防衛行動を行い、それにますます肉体側が拒絶反応を起こすという悪循環に陥り、これを止める方法はない。そして最終的には黒の水が防衛行動の末に使用者の肉体を取り込むという“暴走”を起こす。 このパターンによる暴走は、〈龍使い〉に関する実用実験の最初の失敗を招き、隔離施設《龍使いの島》が用意される直接的な理由となった。また、このパターンの暴走に対する対策として、使用者の肉体を最初から黒の水で構成する方法が考案され実行された。そのため、現在のファンメイの肉体は黒の水含有率90%であり、脳髄を初めとする神経系を除けば身体の全てが“黒の水”製である。 黒の水の暴走(パターン2) 〈龍使い〉は自身の体に対して《情報制御》を行い、身体構造の改変を行うが、黒の水の含有率が高い場合は常に身体構造の制御を行わなければならない。だが、黒の水で構成された肉体は物理面、情報面のどちらにも高い防御力を持つため、脳と中枢神経を破壊されない限りは身体に対するダメージを事実上無効化できる(ただし、血液の損失等は除く)。 このため、本来ならば脳と中枢神経さえ守れれば身体構造を維持する必要はなく、生物の進化に伴う効率化によって、〈龍使い〉の身体を構成する黒の水や《魔法士》の脳が「人間の姿を維持する必然性がない」と判断するようになり、人間の姿を保てなくなるという“暴走”を起こす。 この暴走を抑え、ファンメイの姿を人間型に保つため、ファンメイと情報の面でリンクした外部デバイス「小龍」が開発された。小龍は黒の水で構成されており、額に埋め込まれた結晶体でファンメイとリンクしているが、ある程度の自由意志をもって行動している。〈龍使い〉の肉体を構成する黒の水を人間型に固定すると、固定化への反発がそのまま身体構造制御への負荷となるが、形状も含め外部デバイスが「自由に動いている」と言う情報を固定化された黒の水にフィードバックすることで、固定化への反発を和らげ身体構造制御の負荷を軽減させるのが目的。また、リンクしているので小龍が得た情報はそのままファンメイに伝えられ、使いようによっては全方位の視覚を得ることも可能である。 黒の水による肉体修復 原理としては、黒の水を他者の体内に浸透・融合させ、機能劣化・停止している臓器を一時的に再現する。その後、外部からタンパク質を取り込み、アミノ酸などに再構築して患者の細胞を復元し、黒の水で構成していた臓器の補完部分を徐々に患者の細胞と入れ替えることにより、臓器等を修復する。また、血液不足で壊死した臓器等も、丸ごと取り込んで分解・再構築することで修復が可能。血液も、患者と違う型でも先と同じ方法で再構築し輸血することができる。 ただし他者の肉体を制御するうえ、精密な作業となるため、〈龍使い〉のI-ブレインには多大な負荷がかかる。
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