い 、イ は、日本語 の音節 の1つであり、仮名 の1つである。1モーラ を形成する。五十音図 において第1行第2段(あ行 い段 )に位置する。現代仮名遣いでは第8行第2段(や行 い段 )を空欄としない場合、そこに再出する[ 注 1] 。現代仮名遣いで使用しない、第10行第2段(わ行 い段 )のゐ は置き換えられることがあり、その場合そこにも再び出ずる。いは漢字の以から、イは漢字の伊からとられたとされている。
概要
「い」の筆順
「イ」の筆順
現代標準語の音韻 : 五母音 の1つ /i /。前舌 狭母音 に近い。すなわち、舌の前の方を高く盛り上げて響きを作り、口はあまり開かない。国際音声記号 では日本語の五十音の「い」段音が全て硬口蓋化しているのに準じて「い」も硬口蓋化するため「や」行の頭子音と同じ構えの硬口蓋接近音 [j] と思われるが、しかし「い」は前舌部は低いままで中舌よりの部分が高く盛り上がるため、前舌を上げて硬口蓋に近づけて発音する硬口蓋接近音 [j] とは違いが生じるため「い」は硬口蓋化はしていない。したがって「い」は非円唇前舌狭母音 [i] である。ただし、シ、チ、ジの母音「い」はやや中舌化する[ 1] 。
五十音順 : 第2位。「あ 」の次、「う 」の前
いろは順 : 第1位。「ろ 」の前
平仮名 「い」の字形: 「以」の草体
片仮名 「イ」の字形: 「伊」の偏 の変化
ローマ字 : i
点字 :
通話表 : 「いろはのイ」
モールス符号 : ・-
手旗信号 :3→2
い に関わる諸事項
え段 のあとに「い」が置かれた場合には、え段の長音 として発音されることが多い。『現代仮名遣い 』では、『エ列の長音として発音されるか,エイ,ケイなどのように発音されるかにかかわらず,エ列の仮名に「い」を添えて書く』としている。
例:「時計(とけい)」→「トケイ」・「トケー」 「丁寧(ていねい)」→「テイネイ」・「テーネー」
ただし、これについては地方差・個人差が大きく、また普段「エー」と発音する人でも、ゆっくりした発音では「エイ」となることがあるほか、楽曲 では「エイ」と発音されることが多い。また、魚のエイ やイ音便 (「稼いで」など)は長音にならないことが多い。
いろは順の最初であることから、「最初」を表す。「いの一番[ 2] 」
「ウィ」「ヴィ」「クィ」「グィ」「スィ」「ズィ」「ツィ」「フィ」「ティ」「ディ」などのように小さく書いた「イ」 をう段 の仮名または「テ」「デ」の後に書いた場合は、拗音と同じように 直前の文字と合わせて一つの音を構成する。すなわち、前の文字と合わせて1モーラを形成する。基本的に前の文字の母音をなくして子音 だけにするか母音を半母音 化して、それに/i /を合わせた硬口蓋化しない「い段」の音を表す。
ただし語彙によっては、「イ」が小さく書いてあっても「イ」単独で一つの音を構成することがある。
例:「ウィット」(→「ウイット」)
「エクィティ」(→「エクイティー」)
「スィート」(→「スイート」)
「フィルム」(→ 「フイルム」)
「エンターティナー」(→ 「エンターテイナー」)
語末の「ティ」「ディ」「ウィ」「ヴィ」「ツィ」「フィ」などは長音化して2モーラで発音されることが多い。
例:「アイデンティティ」(→「アイデンティティー」)
「レディ」(→「レディー」)
「ぃ」を俗にい段 の仮名のあとに使われることがあり、この場合は大書きしたのと同様長音となり、単独で1モーラを構成する。
「イ」の後に「エ」の文字を小さく書いた「イェ」(や行え の上代での発音もこの発音であった)では、「イ」が[j] の音となり、小さく書いた「エ」と合わせて1モーラが構成される。
歴史的仮名遣い における「ゐ 」および語中・語尾の「ひ 」(イと発音するもの)は、現代仮名遣い では「い」と書くことになっている。
片仮名の「イ」は漢字の部首である人偏 とほぼ同形になっている。
古い強意の助詞 に「い」があった[ 4] 。
日本語の存在動詞 において、「~いる」「~いない」「~います」などを使うところを、「~る」「~ない」「~ます」とすることを「い抜き言葉 」という。
脚注
注釈
出典
^ “中舌化母音とその音環境の音響学的分析 ”. 2023年5月14日 閲覧。
^ "いの一番" . デジタル大辞泉 . コトバンク より2020年11月5日閲覧 。
^ テレビは進化する(日本のテレビの父) - https://www.nhk.or.jp/strl/aboutstrl/evolution-of-tv/p05/index.html
^ "い" . デジタル大辞泉 . コトバンク より2020年11月5日閲覧 。
関連項目