古典とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 社会 > 社会一般 > 古典 > 古典の意味・解説 

こ‐てん【古典】

読み方:こてん

古い時代書かれ書物当代現代からみて、古い時代属す書物。「鴎外漱石若者にとっては—なのである

学問芸術のある分野において、歴史的価値をもつとともに後世の人の教養資する考えられるもの。多く著述作品についていう。「国富論経済学における—である」

芸能世界で近代興った流派対し、古い伝統根ざしたもの。「—舞踊

古くからの定め古代儀式法式


いにしえ‐ぶみ〔いにしへ‐〕【書/典】

読み方:いにしえぶみ

古い時代書物。古典(こてん)。

「おのれ—をとくに師の説とたがへること多く」〈玉勝間・二〉

「古書」に似た言葉

古典

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/09 13:13 UTC 版)

古典(こてん)は、古い書物、形式のこと。また、長く時代を超えて規範とすべきもののこと。

概要

英語classic/classical、またはそれに相当する西洋語の単語に使われる。これらの語は、分野によっては、古典派と訳されたり、(classicかclassicalかを問わず)クラシックと音訳されたりすることもある。古典と訳されることのない用語については、#関連項目を参照。

古典の定義は、分野によって、厳密に決まっているものも、曖昧なものもある。「注釈書がたくさん書かれている本が、古典だ」と述べているものもいる[1]。曖昧な場合、その基準は衆知、あるいは(自称)識者の決するところによるため、価値観世代の違いに影響されやすい。

自然科学ではしばしば「かつては正しいと思われたが、今は厳密には正しくないことがわかっていて近似としてのみ有用なもの」という意味合いを持つ。物理学化学では、通常は量子(quantum)の対義語として用いられ、日常生活における古典という語とは意味合いがかなり異なる。

概念の生成と発展

近代以降における日本日本語)の「古典」という概念は古代中国に源流を持つ漢語の「古典」と古代ヨーロッパに源流を持つ「クラシック」という、由来も示している範囲も異なってはいるものの、類似した性格を持った二つの言葉概念を融合させたものである。

古代中国における「古典」とは、もともとは単なる古い書物を意味するのではなくそこに書かれている「礼」(儀式の手順・方式)を意味する言葉であった。早い時期の使用例としては『春秋左氏伝』の注や後漢書儒子伝のものなどがある。やがて四書五経など中国古代の聖人たちの著作を示す言葉になり、時代とともにその指し示す範囲が広がってきた[2]

国学の三哲
左から本居宣長契沖賀茂真淵

日本における「古典」という語の早い時期の用例としては『太平記』のものがあり、そこでは中国の古典を指している。その後も日本での「古典」とは中国における「古典」と同じ四書五経をはじめとする古代中国の聖賢たちの書物を指す言葉として使われており、日本国内で日本人によって著された作品を指すことは無かった。『源氏物語』などはすでに平安時代末期には歌作において「源氏見ざる歌詠み遺恨の事なり」などとして現代的な意味での古典に類する地位を与えられていたが、これら日本の作品が「古典」と称されることは無かった。江戸時代に生じた日本の歴史伝統を重んじた国学では、『古事記』や『日本書紀』など「日本の伝統の尊重」という観点から重要視すべき書物を指すときには、「古典」という漢語を避けてもっぱら「ふるきふみ」や「ふることぶみ」などといった和語的な表現を使用しており[3]明治以降はこれらの「日本の古典」に対してしばしば「国典」という表現を使用している。

英語の「クラシック」及び西欧諸語における「クラシック」と同じ意味の言葉は、もともとすべてラテン語に由来している。もともとは「クラス」(階級)を意味した言葉がさまざまな言語において普遍的に見られる意味の転化により「最上の階級」を意味する言葉になったと考えられている。早い時期の使用例としては130年ころ、ラテン語の著作で古典ギリシャ時代の賢人たちの著作をさして用いられている。その後も「クラシック」という語は主として古代ギリシャローマ時代の作品に対して用いられてきており、明治期の英和辞典でも「主としてギリシャ・ローマ時代に名著に用い、それ以外のものに使うこともある。」とされている[4][注 1]

明治以降の日本語における「古典」とは、上記のような中国語の「古典」と欧米語の「クラシック」という、そもそもの由来も指し示す範囲も異なるものの、類似した性格を持った二つの言葉・概念を融合させたものである[5]

人文・社会科学

自然科学・科学技術

芸術・芸能

教科

参考文献

脚注

注釈

  1. ^ イタリアの作家イタロ・カルヴィーノは『なぜ古典を読むのか』(須賀敦子訳、河出文庫)で“古典とは、ふつう、「いま、読み返しているのですが」とはいっても、「いま、読んでいるところです」とはあまりいわない本である”といい、"古典とは、その本についてあまりいろいろ人から聞いたので、すっかり知っているつもりになっていながら、いざ自分で読んでみると、これこそは、あたらしい、予想を上まわる、かつてだれも書いたことのない作品と思える、そんな書物のことだ"という。
  2. ^ 1952年(昭和27年)に至文堂より刊行された同人の『古典の読み方』[6]を再刊したもの。

出典

  1. ^ 読書猿. 独学大全 : 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法. ISBN 978-4-478-10853-6. OCLC 1203937633. http://worldcat.org/oclc/1203937633 
  2. ^ 池田亀鑑 (1991), pp. 15–16.
  3. ^ 池田亀鑑 (1991), pp. 16–17.
  4. ^ 池田亀鑑 (1991), pp. 18–20.
  5. ^ 池田亀鑑 (1991), pp. 20–22.
  6. ^ 池田亀鑑『古典の讀み方』至文堂〈学生教養新書〉、1952年1月。NCID BN06430405 

関連項目

外部リンク


古典

出典:『Wiktionary』 (2021/08/14 11:23 UTC 版)

名詞

こてん

  1. 古い時代作られ現在でも高い価値認められている作品

語源

マテオ・リッチ造語[1]

発音(?)

こ↗てん

関連語

  • クラシック

接頭辞 

こてん

  1. のちの水準から見ると古びてしまった一連の体系的な分野につける接辞
  2. 言語などで相当に古い時代のものを指す。

関連語

参考文献


「古典」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



古典と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「古典」の関連用語

古典のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



古典のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの古典 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの古典 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS