歴史的価値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/18 02:17 UTC 版)
ミグアシャ地方はケベック州のガスペ半島に位置するが、遠くでアパラチア山脈の若い山々が聳えはじめていた3億7000万年前には、この一帯の河口は赤道近くにあった。 その河口の縁で、サソリやその他の陸棲節足動物が生息する原生林が生い茂っていた。河口部では、流れや潮に身を任せて様々な魚類がぬるま湯のような温度の水中に生息していた。魚類には硬い棘を与えられていた種もあったし、外骨格の殻に守られている種もあった。また、分裂して対になったヒレや肺を具えた種もあり、短時間なら水の外に出ることが可能になった。この対鰭の具有が進化の最も重要な段階の一つであり、魚類と四肢動物を橋渡しするものとなった。 脊椎動物の進化の中に刻まれたこの出来事は、エスクミナック層(« formation d'Escuminac »)と呼ばれる地層によって、今日知ることができている。この地層は、ケベックのシャルール湾(Baie des Chaleurs)の河口部分にあたる、ガスペ半島南岸沿いの断崖に残っている。 最初の化石発見は1842年のことで、ケロシンの発明者でもあるエイブラハム・ゲスナー(Abraham Pineo Gesner)によるものであった。それ以来、今日までに、エスクミナック層では、3億7000万年前に海岸付近で生息していた21種ほどの魚類とその他いくらかの脊椎動物、そして10種程度の植物の化石が産している。この場所で発見された魚類の化石には、6つに大別されるデボン紀に生息していた魚類のうちの5つが含まれている。つまり、地球史において「魚の時代」とも呼ばれるデボン紀を知る上で、ミグアシャから得られる知見は最も代表的なものと言えるのである。 ミグアシャの産地としての知名度は化石保存状況の質と量の双方に拠る。量の面で言えば、1998年に纏められた産出化石の一覧には、ガスペの断崖から発見された化石が実に14200点以上挙げられている。その半分は国立公園のコレクションに加えられ、残りは9箇国の博物館、大学、研究所など計33箇所に送られた。 保存状況の質的側面でも、ミグアシャで産出する化石は高く評価されている。完全な標本や三次元的な標本が見つかるというだけでなく、軟骨のような柔らかい部位の化石、糞、鰓の痕跡、血管や神経の痕跡なども見つかっているのである。
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