は行 清音

は行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/01 15:41 UTC 版)

清音

「は行」各音の頭子音の音素は/h/である。音声学上の発音は「は」、「へ」、「ほ」の頭子音は無声声門摩擦音[h]、「ひ」の頭子音は無声硬口蓋摩擦音[ç]、「ふ」の頭子音は無声両唇摩擦音[ɸ]である。明治以降に借用された外来語にみられる撥音や促音が、は行の前に来る場合(バッハ、シャンハイ等)には無声軟口蓋摩擦音[x]となる場合もある。

「は行」の訓令式ローマ字及び日本式ローマ字表記は ha hi hu he ho、ヘボン式ローマ字表記は ha hi fu he ho である。

助詞の「は」と「へ」は、「わ行」音で発音する。また歴史的仮名遣いで、文節のはじめ以外は「わ行」音(ワヰウヱヲ)で発音される。これは、歴史的仮名遣いの表記がハ行転呼以前の体系に従っているためである。

濁音

「は行」の各文字に濁点を付けた濁音「ば行」音の頭子音の音素はすべて有声音に統一しており/b/である。音声学上の発音は、文節の頭および撥音 (「」)の後では「ば」、「べ」、「ぼ」の頭子音は有声声門摩擦音[ɦ]ではなく有声両唇破裂音[b]、「ぶ」の頭子音ももちろん有声両唇摩擦音[β]ではなく有声両唇破裂音[b]、それ以外では有声両唇摩擦音[β]またはそれに近い音(閉鎖密着度の弱い有声両唇破裂音)であり(この場合、「ば」、「べ」、「ぼ」では有声声門摩擦音[ɦ]も含む)、「び」の頭子音は文節の頭および撥音 (「」)の後では有声硬口蓋摩擦音[ʝ]ではなく有声両唇硬口蓋破裂音英語版[bʲ]、それ以外では有声両唇硬口蓋摩擦音英語版[βʲ]またはそれに近い音(この場合、有声硬口蓋摩擦音[ʝ]も含む。閉鎖密着度の弱い有声両唇硬口蓋破裂音)である。したがって、「ば」、「び」、「ぶ」、「べ」、「ぼ」をは行を有声化して発音するなら、単語の音節が2つ以上で、それらの頭子音が第2音節以降にあるかを探して、その単語を発音すれば良い。「ば行」のローマ字表記は日本式、ヘボン式ともに ba bi bu be bo である。

濁音「ば行」は、外来語の[v]ドイツ語ならwの場合が多い)を表すのに使われることがある。そのドイツ語でのqの文字は、ふつうquとかqwという結合で用いられ、kwの綴りと同じ[kv]を表すため、「く」+「ば行」をくっつけて「くば」「くび」「くぶ」「くべ」「くぼ」を表すこともある。の記事を参照。

半濁音

「は行」の各文字に、半濁点を付けた半濁音「ぱ行」音の頭子音の音素は/p/である。音声学上の発音は「ぱ」、「ぷ」、「ぺ」、「ぽ」の頭子音が無声両唇破裂音[p] である。但し息の量が少ない為、英語圏の話者には無声唇歯摩擦音[f]のように聞こえる場合がある。「ぴ」の頭子音は無声両唇硬口蓋破裂音[pʲ]である。

「ぱ行」のローマ字表記は日本式、ヘボン式ともに pa pi pu pe po である。


  1. ^ 先島方言などで「花」を[pana]などと言うのはこの音が遺るものであるとする。
  2. ^ 異説として、奈良時代に[p]、平安時代から[ɸ]となったとする説もある。浅川哲也は著書『知らなかった!日本語の歴史』(p144, 東京書籍 2011年)において、ハの万葉仮名「波」や「播」の中古中国語漢字音が pua であったこと等を根拠として引いている。また安本美典は『季刊邪馬台国』連載「「古事記」の秘密(2002~2005年)において、当該漢字音が pa ではなく pua であったこと等を根拠とし、奈良時代には一部が破裂音ではなく破擦音、すなわち[p͡ɸ]であったとする。
  3. ^ 「母」の語は当時、ハ行転呼を経て [ɸawa] のように発音されることが非常に多く、faua はそれを音写したもの。 fafa [ɸaɸa] は現代語につながるものだが、ハ行転呼を免れ語頭以外に [ɸ] を保っているのは例外的で、「父」 titi、「婆」 baba などの影響で「同じ音の2連続」という語形が強く意識されたものであるとされる。
  4. ^ 例外もある。下記「母」のような例のほか、「かわはぎ」「前フリ」のような複合語、「ひらひら」「へとへと」などの擬声語など。


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