IT企業等が香港政府へのユーザーデータ提供停止を相次いで発表
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「2019年-2020年香港民主化デモ」の記事における「IT企業等が香港政府へのユーザーデータ提供停止を相次いで発表」の解説
2020年7月5日、デモ参加者が連絡ツールの一つとして使用しているメッセージアプリのTelegramは「新法について合意に達するまでデータの提供を一時停止する」と発表した。 2020年7月6日、米国時間の7月6日米大手IT企業Google、Facebook、Twitter、はそれぞれ「香港国家安全維持法」に反対を表明し、香港政府からのユーザーデータ開示への対応を一時的に停止すると発表した。同法に対して、Twitterは「香港国家安全維持法の用語が曖昧で明確な定義を欠いているため、影響を検討して評価しています」と、Googleは「香港国家安全維持法の詳細を引き続き検討しています」、Facebookは「Facebookには政府の要求を審理するプロセスが存在し、このプロセスにはFacebook独自のポリシーや当該国の法律だけでなく、国際的な人権基準も関係しています。我々は国際的な人権専門家と協議などの同法に対する査定の結果が出るまで、政府の要請を一時的に保留しています」とそれぞれ発表している。 2020年7月7日、エンドツーエンド暗号化メッセージアプリのSignalは、Twitterへの投稿で「私たちも(Telegramと同様に香港政府へのデータ提供の)停止を発表します。私たちは今までも香港警察にユーザーデータを提供したことはありません。なぜなら、(ほぼ全てのデータを暗号化する設計になっているため)そもそも私たちには開示できるユーザーデータがないからです。」と発表し、「香港国家安全維持法」に反対する立場を表明した。 2020年7月8日、「香港国家安全維持法」の施行を受け中国政府は、香港に治安機関「国家安全維持公署」を開設した。開所式には爆弾処理班なども配置された。中国大陸から派遣される公安捜査員はここを拠点に、初めて香港域内で活動することになり、香港域内で幅広い捜査権を持つ。場合によっては香港市民を中国大陸に送致し、中国の裁判所で裁くこともできる(中国の裁判所の有罪率はほぼ100%)。香港政府は、学生・生徒が学校で「政治的な活動に関わること」を禁止した。禁じられた内容には「歌を歌うこと」「スローガンの掲示」「授業のボイコット」などが含まれる。 2020年7月9日、オーストラリアは香港との犯罪人引渡し条約を停止。また、技能を持つ香港からの移民に対し、永住権への道筋として5年間のビザの付与も発表した。 2020年7月10日、香港警察が民主派が11・12日に行う予備選の投票システムを運営する独立系世論調査機関の香港民意研究所を捜索。予備選を準備してきた元立法会議員の区諾軒氏は「(香港警察による捜索は)予備選と関係あるだろう。威嚇効果を狙ったのかもしれない」とコメントした。 2020年7月11日、香港警察が10日に行った「捜索」の影響で民主派の予備選の開始が3時間遅延。 2020年7月12日、香港の民主派が実施した立法会選挙の予備選で、2日間で目標に掲げられていた17万人を大きく上回る約58万人が投票を行い、選挙に対する有権者の関心の高さが示された。 2020年7月16日、テキストエディタのNotepad++はバージョン7.8.9として「Stand with Hong Kong」エディションを公開し、香港政府の対応を批判しデモを支持する立場を表明した。 2020年7月20日、イギリス政府は香港との犯罪人引渡し条約を「即日かつ恒久的に」停止するとの方針を明らかにした。ドミニク・ラーブ外相は議会で中国政府は香港国家安全維持法を「押し付け」たことで、国際的な約束に「深刻な違反をした」と述べた。最大野党の労働党も「正しい方向への一歩」だとこの方針に賛成している。 2020年7月21日、スイスのVPNサービス「ProtonVPN」は香港における民主主義、プライバシー、言論の自由を守るため、「7・8月の香港での売り上げの50%」および「寄付の全額」を、香港の2つの団体「612 Humanitarian Relief Fund」および「Stand With Hong Kong」に寄付すると発表した。韓国のネイバーは、利用者データを保管するサーバーを香港からシンガポールに移転したと明らかにした。理由として香港国家安全維持法に明言してはいないが、「(香港当局に)データの提供を要請されたことはない」との発言は行った。 2020年7月28日、ニュージーランドは「香港国家安全維持法」の施行を受け香港との犯罪人引渡し条約を停止すると発表した。 2020年7月31日、林鄭月娥行政長官は、新型コロナウイルス感染者数の増加を理由に、9月に予定されていた立法会選挙を1年延期すると発表した。政治的な配慮はないと強調する一方で、選挙延期発表の前には民主派候補12人の立候補資格が取り消されているため、民主派は反発している。海外でも、アメリカのポンペオ国務長官は、立法会選挙の延期について、「香港が2度と選挙をできなくなる可能性は高い」と述べて非難した。 2020年8月1日、香港警察は香港国家安全維持法に違反した容疑で、海外に滞在する活動家ら6人を指名手配した。海外在住者に同法を適用するのは初めて。 2020年8月2日、香港で新型コロナウイルス感染症の検査を実施するため、中国から香港に医療チームが派遣された。香港の立法会議員や香港市民の間では中国がウイルスの検査を口実に監視目的で市民のDNAサンプルの収集を試みているとの懸念が広がっている。中国の中国中央テレビ(CCTV)は前日の8月1日、「750万人の香港住民全員が無料のウイルス検査を受ける」と情報源を示さずに報じた。なお、8月21日に香港政府により、全住民対象の無料検査を9月1日より実施すると正式に発表され、中国本土と異なり検査を受けるかどうかは任意であり、検査終了後に検査サンプルは破棄し、香港の域外には持ち出されないとして、前述の懸念事項を否定している。 2020年8月5日、香港の西九龍裁判所は、「警察本部を包囲するデモに参加し、デモ参加者を扇動した罪」で民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏に有罪判決を言い渡した。香港では活動家への締め付けが厳しくなっている。 2020年8月7日、アメリカ財務省は「香港における自由の抑圧に関与した」として、林鄭月娥香港行政長官、鄧炳強香港警務処長、盧偉聡元警務処長、李家超保安局長、鄭若驊律政司司長、曽国衛政制・内地事務局長、駱恵寧「中連弁」主任、張暁明「香港マカオ事務弁公室」副主任、夏宝竜「香港マカオ事務弁公室」主任、鄭雁雄「国家安全維持公署」署長、陳国基行政長官弁公室主任の11人を「米国内資産凍結、米国人との取引禁止」の制裁対象に指定した。
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