N2O
一酸化二窒素。1997年のCOP3京都会議において、二酸化炭素、メタン、対流圏オゾン、クロロフルオロカーボン(CFC)などとともに、代表的な温室効果ガスのひとつとしてクローズアップされた。二酸化炭素の約100~280倍もの温室効果能をもつといわれるガスである。おもな排出源は自動車、燃焼、アジピン酸(ナイロンの原料)製造、自然界(土壌や湖、湿地など)、排水処理があげられ、排出量の究明や早急な削減対策が求められている。
参照 温室効果ガス、京都議定書、クロロフルオロカーボン(CFC)、メタン1,2-ジアザエチン1-オキシド
分子式: | N2O |
その他の名称: | 1,2-Diazaethyne1-oxide、1,2-Didehydrodiazene 1-oxide |
体系名: | 1,2-ジアザエチン1-オキシド、1,2-ジデヒドロジアゼン1-オキシド |
2‐オキサ‐1,3‐ジアザプロパン
ヒドロキシヒドラジン
亜酸化窒素
亜酸化窒素
亜酸化窒素 | |
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別称 笑気ガス | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 10024-97-2 ![]() |
E番号 | E942 (その他) |
KEGG | D00102 |
ATC分類 | N01AX13 |
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特性 | |
化学式 | N2O |
モル質量 | 44.0128 |
外観 | 無色の気体 |
密度 | 1.977 g/L (gas) |
融点 |
-90.86℃,182.29 K,-131.548°F |
沸点 |
-88.48℃,184.67 K,-127.264°F |
水への溶解度 | 60.82 mL /100 mL ( 24°C) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
亜酸化窒素(あさんかちっそ、英語: nitrous oxide)とは、窒素酸化物の1種である。組成式はN2Oで表され、IUPAC勧告に従った命名法では、酸化二窒素(さんかにちっそ、英語: dinitrogen oxide)と呼び、一酸化二窒素(いっさんかにちっそ、英語: dinitrogen monoxide)も使用される。
ヒトが吸入すると、陶酔させる作用があることから、笑気ガス(しょうきガス。英語: laughing gas)とも言い、笑気と略されることもある。また麻酔作用もあるため、全身麻酔で医療用途で用いており、世界保健機関においては必須医薬品の一覧にも載せられている。近年は他に優れた麻酔薬が登場したことなどから、少なくとも日本においては、医療用途は減少の一途を辿っている[2]。
この他にも、工業用途では燃料の発火促進のために使われる。また調理用途では、食材をムース状に加工するエスプーマと呼ばれる調理法に使用される。
しかし、陶酔感を得るために亜酸化窒素を乱用する者が後を絶たないことから、日本では、2016年(平成28年)2月18日に医薬品医療機器法に基づき「一酸化二窒素(別名:亜酸化窒素)」が指定薬物に指定された[3]。そして、日本では同月28日から、医療などの目的以外に亜酸化窒素を製造・販売・所持・使用することが禁止されるに至った[4]。
なお、亜酸化窒素には、地球の大気に放出されると、紫外線によって分解されて一酸化窒素を生成し、オゾン層を破壊するという作用がある。
歴史
笑気ガスは1772年、イギリス人の化学者ジョゼフ・プリーストリーが発見した。亜酸化窒素を吸入すると軽く酔ったような感じになることから、当時はパーティーなどを盛り上げるために使用していた。ところが1795年、こちらもイギリス人化学者のハンフリー・デービーが亜酸化窒素に麻酔効果があることを証明し、これから笑気麻酔としての用途が開けることになった。
笑気の語源には、亜酸化窒素を用いた手術中に、麻酔によって弛緩した患者の表情が笑っているように見えたからという説が有力である[要出典]。
特徴
硝酸アンモニウムを約250℃で注意深く融解させると、分解して一酸化二窒素が発生する。
- この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2023年6月)
- 007_カジノロワイヤル - 最後の対決で笑気ガスを噴霧する装置としてルーレットの台が登場する。回転盤が浮遊し、ガスを噴霧した後に壁に衝突し爆発する。その時にカジノにいた客は大笑いをする以外は普通に活動しているが、実際の亜酸化窒素を吸引したものとは異なる。
- 完全犯罪-作品中の被害者であるヘッダの殺害に使われている。
- ナイトラス・オキサイド・システム(及び他社類似品)として登場した作品
- よろしくメカドック - レースのためにNOSを装着する話があるが、その際に亜酸化窒素の解説があり、とあるキャラクターがいつも笑っていることを指して亜酸化窒素を吸ったの?と揶揄するシーンがある。
- TAXI NY - 犯罪組織の拠点の自動車整備工場に侵入した際に、サブ主人公ウォッシュバーンが可燃性ガスと間違え、NOS用亜酸化窒素ボンベを開け充満したガスを吸い、笑いだすというシーンが有るが、普通に行動はできている。(※ただし、主人公ベルのタクシーにNOSは搭載されていない。)
- ワイルド・スピードシリーズ、60セカンズ、逮捕しちゃうぞ、エクスドライバー・・・いずれもストーリーの山場において、最後の一押しとしてNOSによるパワーアップが描かれる。
- バトルギア4、ドリフトシティ・・・NOSによるブースト機能が搭載されたゲームタイトルの例。
脚注
- ^ https://www.ebi.ac.uk/chebi/searchId.do?chebiId=CHEBI:17045
- ^ a b 武井 寛英 (2020). “なぜ,亜酸化窒素(笑気)使用症例は減少したのか?”. Clinical Engineering 31: 195-196. doi:10.15105/CE.0000000652 .
- ^ 一酸化二窒素(別名:亜酸化窒素)を指定薬物に指定します厚生労働省ホームページ
- ^ 亜酸化窒素を指定薬物に指定2016年2月18日Yahoo!ニュース
- ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年
- ^ a b FA.コットン, G.ウィルキンソン著、中原勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
- ^ 参考:1994-1995 Threshold limit values for chemical substances and physical agents and biological exposure indices. Cincinnati, OH: American Conference of Governmental Industrial Hygienists
- ^ a b Nagele, Peter; Duma, Andreas; Kopec, Michael; Gebara, Marie Anne; Parsoei, Alireza; Walker, Marie; Janski, Alvin; Panagopoulos, Vassilis N. et al. (2015). “Nitrous Oxide for Treatment-Resistant Major Depression: A Proof-of-Concept Trial”. Biological Psychiatry 78 (1): 10–18. doi:10.1016/j.biopsych.2014.11.016. PMID 25577164 .
- ^ “一酸化二窒素(別名:亜酸化窒素)を新たに指定薬物に指定”. 厚生労働省. (2016年2月18日) 2018年8月19日閲覧。
- ^ “英ロンドンの特別区で笑気ガス禁止、脱法ドラッグとして悪用”. ロイター. (2015年8月18日) 2018年8月19日閲覧。
- ^ “Young mother, 24, is left unable to walk after contracting crippling disease from inhaling too much 'hippy crack'”. デイリー・メール. (2018年8月10日) 2018年8月19日閲覧。
外部リンク
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