漁具
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/17 14:22 UTC 版)
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漁具(ぎょぐ)は、人間が漁業を中心とする漁撈活動に用いている道具の総称。なお、漁船は漁具とは一般的には区別されるが、漁撈全般の観点では広義の漁具の一種である[1]。
概要
漁具は歴史的には、先史時代の遺物として出土例もある銛や釣り針のように簡素なものから、漁網、さらに漁業機械へと進化を遂げてきた。一方で新しい漁具の開発が魚介類の乱獲を招く場合もある。
プラスチック製漁具は流出や放置、不適切な廃棄により漂流・漂着ごみ、さらにマイクロプラスチックの発生源にもなり、回収やリサイクルも試みられている[2]。このように海洋汚染の原因になったり、海洋生物を絡めて死に至らせたりする流出・廃棄漁具は「幽霊漁具」(ゴーストギア)と呼ばれる[3]。
漁具の種類
主漁具
漁具は主漁具と副漁具に区分される[4][5]。主漁具とは網漁具や釣漁具のように直接漁撈に使用されるものをいう[4]。
網漁具
網漁具は定置網や刺し網のように固定した状態で魚が来るのを待つものと、地引き網や巻き網のように漁具を動かして魚を網の中に入れるものとに分けられる[6]。
釣漁具
釣漁具はカツオなどの一本釣りの漁具のほか、延縄(はえなわ)などがあり、網漁具に比べて付属する道具が多い特徴がある[6]。
雑漁具
雑漁具には、刺突漁具(刺突具)、陥穽漁具(陥穽具)、はさみ具、かき具などをすべて含む[5]。
-
紀元前1430年頃の槍を持つ漁師。
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ポールスピア
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ボウフィッシング
副漁具
副漁具とは集魚灯や魚群探知機、電動リールのように、主漁具と併用することで漁撈の効果を有効確実にしたり、主漁具の操作を迅速かつ容易にして操業効率を上げるために使用されるものをいう[4][6]。
脚注・出典
- ^ 佐々木 幸康「漁船一般」『航海』第25巻、日本航海学会、1967年、76-80頁。
- ^ 廃漁具リサイクル会社社長 加藤広大さん:気仙沼の漁師のために『読売新聞』夕刊2022年6月13日(ネクストブレイク)
- ^ 「幽霊漁具」海洋生物に深刻影響 海洋プラごみの約1割占める/WWF「官民連携し対策を」『東京新聞』夕刊2025年3月15日(社会面)
- ^ a b c “3.漁業用施設”. 十島村. 2025年6月17日閲覧。
- ^ a b “四万十川の漁具”. 四万十川財団. 2025年6月17日閲覧。
- ^ a b c “船と魚”. 日本財団図書館. 2025年6月17日閲覧。
- ^ a b 山口, 恭弘 (2000年3月). “陥穽漁具の機能変化に関する研究”. 長崎大学水産学部研究報告. pp. 1–41. 2023年8月26日閲覧。
- ^ a b “は具”. 水産庁. 2023年9月30日閲覧。
関連項目
- 漁業/漁/漁撈
- 漁師
- インディアン水車
- 毒もみ:毒を利用する。
- ダイナマイト漁:爆薬を利用する。
- ウェットスーツ:地域によっては漁業調整規則で漁具として扱われている場合がある。
- ストリンガー (漁具):釣った魚の口からエラに紐を通して縛って水中で保持しておける道具。
- クーラーボックス:魚を〆た後に持ち帰るための保冷箱
外部リンク
漁具
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 06:06 UTC 版)
丹後地方では「ナサシ」と呼ぶ貝起こしの小さな鉄具と、海中で採集したものを入れる袋を携えて潜水した。袋は1斗4~5升入りの米袋のような形状のもので、「スマブクロ」、「ウミカヅキブクロ」、「ウミブクロ」などと言い、腰の前側に下げた。採集物を入れる袋がいっぱいになると、船頭が船内に引き上げ、海女は浜で流木を燃やして暖をとった。 この袋は、藤布や麻布などで作られた目の粗い袋で、なかでも塩分や摩擦に強く丈夫な藤蔓の繊維で織った藤布は濡れても身体にべとついて泳ぎに支障をきたすことがなく、大変適材とされた。藤布を撚って作った縄は、海女が潜水するために抱いて潜る重石と船とを繋いだ命綱でもあった。こうした藤布は、採取したワカメやノリを山間部に行商に行った際に、物々交換で入手した。藤布の入手先は宮津市世屋や駒倉集落などで、麻布は藤布よりも後の時代、峰山町や加悦町などの丹後ちりめんの機屋に奉公に行くようになってから、ちりめん織機に用いる麻のツウジ糸を譲り受け、用いるようになった。「春ははいる、秋はあきぶくろ、冬はふさがる」とゲンを担いで、スマブクロを仕立てるのは必ず春先にしたという。 1962年(昭和37年)8月、「漁村と海女の生活」をテーマに民俗資料調査を行っていた京都府教育委員会の法山竜正主事らのグループが、このスマブクロに注目した。海女の聞き取り調査によって世屋で藤織りが存続していることを知り、これを「古代生活の貴重な資料」として古代の繊維研究の権威として知られた布目順郎京都工芸繊維大学教授(当時)のコメントとともに新聞各紙が報じたことで全国的に注目を集め、全国各地で藤布をはじめ麻布など自然布の調査や保存・伝承活動が発足するきっかけとなった。
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