格差の拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 22:00 UTC 版)
財政の外に目を転じると、経済の発展とともに台頭してきた兼并(大地主・大商人)とその下で苦しむ客戸の格差も社会問題となっており、小作人である佃戸に対しては農地に課せられた税の他に水利権や農牛、農具、種籾の使用料に対して10割前後の利息を取っていた。また、自作農に対しても水利権や農牛、農具、種籾の用意を兼并が貸付として行い、それに対して4割という利息を取り立てる事もあった。これが払えなくなると土地を取り上げられてしまい、地主はますます土地を増やすことになる。また塩商たちも畦戸に対して同じことを行っていた。 政治の主要な担い手である士大夫層は、多くがこの大地主・大商人層の出身であり、科挙を通過したものは官戸と呼ばれ、職役が免除されるなどの特権が与えられていた。これにより更に財産を積み上げるという状態であった。
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格差の拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 15:28 UTC 版)
原田泰は「小泉構造改革で格差が拡大したとよく言われるが、そもそも格差が拡大したという証拠がなく、構造改革によってどのような格差がどれだけ拡大したかという分析などはどこにもない。格差拡大は高齢化に伴う現象であり、高齢化の影響を調整してみると、格差は広がっていないというのが多くの経済学者の分析結果である」と指摘している。 田中秀臣は「むしろ小泉政権時代は、正規雇用が増え失業率も好転し格差が縮小している」と指摘している。 経済学者の八代尚宏は「小泉純一郎政権は、『官から民へ、国から地方へ』という明確な政策理念を掲げ、与党内で大きな抵抗を受けつつも、郵政民営化の公約を実現した。経済活性化のための不良債権処理や財政再建のための公共事業費削減など、あえて国民の痛みを伴う政策を進め、構造改革特区など地域主導の規制改革も盛り上げた。それにもかかわらず、小泉首相が退陣した後、『構造改革で格差が拡大した』という流言が広がった。しかし、小泉政権のどの政策が、どういったメカニズムで所得格差を拡大させたかという検証はまったくなされていない。小泉政権の市場原理主義で、所得格差が広がったと言われる。小泉政権の掲げた『新自由主義』とは、どの国にも存在していない『市場原理主義』ではない。従来の日本の『官僚制民主主義』を排し、新旧・内外の多様な事業者を対等な立場で競争させる『公平な審判』としての政府の役割を徹底させることに過ぎない」と指摘している。 経済学者の大竹文雄は、もし派遣労働が自由化されていなければ、さらに悪い雇用形態に甘んじるか失業するかしか選択肢がなく、経済格差はもっと広がっていたと指摘している。 日本の非正規雇用者の内、派遣社員の割合は5%である(2010年時点)。経済学者の飯田泰之は「1990年代前半から非正規雇用者の数は増加している。非正規雇用者の増大は、2000年代に入ってからの小泉内閣の規制緩和によって起きたとは言えない。非正規雇用拡大の原因は、派遣労働の解禁ではなく、デフレ不況の影響によるものである」と指摘している。飯田は「小泉政権が規制緩和したのは基本的に派遣労働への規制であり、派遣労働者が増えつつあった状況の後追いで緩和している部分が多く『新自由主義』の影響ではない」と指摘している。 勝間和代は「小泉改革による不良債権の処理と公共事業の削減は評価できる。ただし、デフレ下で社会保障の削減は乱暴であった。日本社会の底が抜けてしまい、医療・介護・教育・ワーキングマザーの問題など悪化した」と指摘している。 森永卓郎は「相続税の減税は、金持ちの子は金持ちになるということである。小泉改革は、機会の平等と言っているが矛盾している」と指摘している。
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格差の拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 20:16 UTC 版)
「経済的不平等#グローバリゼーション」および「格差社会」も参照 中野剛志はグローバル化は労働者の賃金を上げさせず格差が拡大するばかりであるため、国内の資本家と労働者の対立を誘発することを指摘している。ポール・クルーグマン、ローレンス・サマーズなどのグローバル化を推進したエコノミストですら、2000年代中盤以降、賃金が一向に上がっていないのを目撃すると、グローバル化は労働者に対し被害を及ぼすと認めざるを得なかったとしている。また、チュニジアやエジプトなどの北アフリカで内紛や内戦が続出したが、それもグローバルな穀物市場で小麦価格が高騰したためであり、21世紀型の戦争が国内紛争であるとすれば、グローバル化はその主たる原因だとしている。 中谷巌は、所得格差の拡大について、グローバル資本主義がBRICsの繁栄をもたらしたと評価する一方で、資本は賃金の高低差を求めて世界を移動するため、自国経済が発展しても国内の非熟練労働者の賃金は改善されず格差は拡大するとしている。 ジョセフ・スティグリッツは「1980年代末期の共産主義体制の崩壊から、経済のグローバル化が加速し、国間の格差が縮小しはじめた。格差はグローバリゼーション、労働・資本・モノ・サービスの移動、スキルや高学歴の従業員の優遇、技術変化の副産物だというものは真実ではない」と指摘する一方で「経済的なパイを拡大することなく、システム操作で、パイの大きい部分を獲得するレントシーキングというアメリカ生まれのイノベーションが、グローバル化してしまった。グローバル化による不均衡は、世界中に被害をもたらした。国境を越え移動する資本は、労働者に賃金の譲歩、政府に法人税の減税を要求した。その結果、底辺への競争が起き、賃金・労働条件が脅かされるようになった」と指摘している。 経済学者の岩田規久男は「国際競争にさらされる製造業の賃金は上がりにくい」と指摘している。 原田泰、大和総研は「グローバル化した世界では、先進国の労働者は後進国の労働者と競争しなければならず、結果先進国の労働者の賃金低下の圧力が働く。ただし、この圧力が先進国の単純労働者に与える影響は強い一方で、技能労働者に与える影響は軽微である」と指摘している。また原田泰、大和総研は「グローバル化は、格差を縮小させる効果もある。後進国が発展すれば、先進国で買う製品が安くなる。低所得者はエンゲル係数が高いため、食料品が安くなれば実質所得が増える」と指摘している。 経済学者の若田部昌澄は「『グローバリゼーションが(国内における)格差を拡大した』という説にこれといった証拠があるわけではない。IMF(国際通貨基金)でもそう分析されている」と指摘し、格差が広がっているのは事実としながらも「要因は多岐に渡り、国によって事情が違うためこれが主な要因だと一つだけ示すことはできない」と指摘している。また若田部はポール・コリアーの著書『最底辺の10億人』を引用し「グローバリゼーションが進むほど経済成長は早くなるので、むしろ貧困は減る。本当に深刻なのは、グローバリゼーションからこぼれ落ちてしまった最貧国のほうである」と指摘している。
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