天神川とは? わかりやすく解説

天神川

コハクチョウやって来る天神川
天神川は、その源を鳥取県東伯郡三朝町津黒山(標高1,118m)に発し福本川加谷川三徳川の小支川合わせて北流し倉吉市において小鴨川合流後北栄町湯梨浜町において日本海に注ぐ、幹川流路延長32km、流域面積490km2一級河川です。

倉吉市中心部を流れる天神川
倉吉市中心部流れる天神川

河川概要
水系天神川水系
河川名天神川
幹川流路延長32km
流域面積490km2
流域内人65,500
流域関係都県鳥取県

天神川流域図
○拡大図
1.天神川の歴史
"天神川は鳥取県中部暴れ川呼ばれており、度々の氾濫河道位置大きく変えてきました
この河道現在のように直接日本海流入するようになったのは元文年間河口開削工事よるもので、この工事によって永年の間、住民多大辛苦与え続けた天神川下流部河道変遷終止符打たれました。"

暴れ川とのたたかい

(天神川の概要
天神川は鳥取県中部位置する河川であり、その源を標高1,118mの津黒山(つぐろせん)に発し途中で本川同程度流域を持つ小鴨川国府川(こうがわ)等の支川合わせながら北流し倉吉市街地を貫流して日本海注いでます。

(天神川下流部河道変遷について)
天神川は流域住民豊かな恵みもたらしてきたと同時に、「中部暴れ川」との呼ばれてたように災害の発生しやすい特性持った川でもありました
天神川変遷略図(「天神川洪水誌」より) 東郷庄絵図
天神川変遷略図(「天神川洪水誌」より)東郷絵図


古くから天神川は度々の氾濫河道位置大きく変えており、「天神川変遷略図によれば、最も古い図では天神川本川(旧竹田川)と小鴨川国府川別の河川として描かれています。
また、正嘉2年(1258)の「東郷絵図」では、天神川と考えられる河川東郷池から流れ出て橋津川合流してます。
その後天文13年(1544)の洪水まで天神川は小田(こだ)付近分かれ本流北条村長瀬村の間を流れ支流北条南端から由良川注いでいたもの考えられています。この年の「天文洪水」は小鴨川河道大きく変え現在の倉吉市田内において見日千軒(みるかせんげん)と呼ばれた城下町一瞬のうちに押し流し下流北条平野泥沼化した大水害です。なお、見日千軒人々が難を逃れて移り住んだのが現在の倉吉の地であると言われています。
この河道が、現在のように直接日本海流入するようになったのは、元文年間(1736-40)の河口開削工事よるもので、「天神川変遷略図」によると掘割東村勘右衛門設計し米村所平が施工したとされています。 これは北野天満宮がある天神山から東方長瀬へ続く通称石山さん」と呼ばれる安山岩の岩を撤去して今日流路作ったもので、この時以後天神山の名から天神川と呼ばれるようになりました
この工事によって、永年の間、住民多大辛苦与え続けた天神川下流部河道変遷終止符打たれ、現在に至ってます。(ただし、「鳥取県郷土史によれば寛文年間(1662-72)にも郡代由宇勘平によって長瀬の東を流れていた天神川を現在の河道移したとあり、この工事元文年間河口開削工事との関係は不明とされています)
(天神川の直轄施工
天神川においては河口開削工事の他にも様々な治水工事が行われてきましたが、
室戸台風後の惨状
室戸台風後の惨状
本格的な改修計画立案されたのは大正10年に「大正11年以降20ヶ年以内改修すべき河川」に指定されてからでした。
しかし、第1次世界大戦後不況関東大震災による財政緊縮の必要から工事には全く手が着けられていなかったところ、昭和9年9月室戸台風大災害発生し、天神川流域壊滅的な被害受けてしまいました
昭和10年頃の河川改修風景
昭和10年頃の河川改修風景
この大災害目の当たりにした地元住民鳥取県関係市町村はその復旧を国の直轄事業とするように働きかけその結果昭和9年12月内務省大阪土出張所天神川改修事務所(今の中国地方整備局倉吉河川国道事務所前身)が開設され、国による直轄改修事業着手されました。 また、この室戸台風災害を更に大きくした要因一つ支川小鴨川からの土石流であったことから、昭和11年からは天神川上流域において直轄砂防事業着手することにもなりましたこのようにして営々と治水事業が行われた結果、天神川の堤防の整備率は9割を越え全国的に見て整備進んだになってます。参考;「天神川の自然」藤島弘純編/富士書店
2.地域の中の天神川
"自然豊かな天神川は流域住民大きな恵み与えてきました
また、堤防高水敷地域住民身近な空間として親しまれおり、近年では水辺の楽校等の整備進んだこともあり、水面水際部での環境学習や水遊び魚釣り等の利用増加傾向あります。"

流域住民憩いの場

利水
天神川水系には各所農業用水取水設備があり、現在約5,000haの農地かんがいしています。
中でも最も下流位置する北条砂丘畑地かんがい用水堰は、不毛の北条砂丘ブドウスイカ長芋ラッキョウ等を生産する砂丘畑へと生まれ変わらせました。
天神川のかんがい用水の他にも、上水発電用水としても利用されています。

河川空間利用
天神川の河川空間利用については、上流から竹田河口から7.4km付近)までは魚釣りなど自然的利用主体行われていますが、竹田より下流については高水敷整備進みスポーツ散歩などへの利用が行われています。
利用の形態は、高水敷堤防での自然散策スポーツ等が主体ですが、打吹まつりや天神川凧あげ大会等イベント定期的に開催されています。
また、近年水辺の楽校等の整備進んだこともあり、水面水際部での環境学習や水遊び魚釣り等での利用増加傾向あります
天神川の年間利用者数推定)は約29万人であり、沿川住民のみならず地域人々身近な空間として親しまれています。

観光
天神川流域は、小鴨川上流部大山・隠岐国立公園指定され三徳川流域から倉吉市打吹山にかけてが県立自然公園指定されるなど、流域全体に自然が織りなす素晴らし景観広がってます。
三朝温泉の河原露天風呂
三朝温泉河原露天風呂
また、三徳川上流には断崖絶壁に立つ投入堂国宝)で有名な三徳山三仏寺があり、県内外から多く観光客訪れてます。 さらに、流域内には世界一ラジウム含有量河原露天風呂有名な三朝温泉と、小鴨川清流のほとりにたたず関金温泉という2つ名湯があり、これら温泉地には観光だけでなく治療目的訪れる人も多くます。
4.天神川の主な災害

主な洪水

発生発生原因被災市町村被害状況
明治26年10月台風1市2町不明
昭和 9年 9月室戸台風1市3町人的被害2,000
全半壊家屋77
浸水家屋280
昭和34年 9月伊勢湾台風1市3町家屋被害135
人的被害不明

(注:この情報2008年2月現在のものです)




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