地術師:石蕗一族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 07:56 UTC 版)
霊峰・富士に魔獣を封印し、封印の管理・維持を続けてきた一族。日本における地術師の名門でもあり、「大祭」を執り行い身内を生贄にすることで魔獣の再封印を行ってきた。 石蕗 紅羽 (つわぶき くれは) 声 - 小菅真美 3巻に登場。石蕗一族首座(石蕗巌)の長女。20代後半。 妖艶な美女だが、近づきがたい雰囲気を持つ。和麻と同じ境遇を持っているキャラクター。アニメでの一人称は「わたくし」。原作とアニメで結末が異なる。 石蕗一族にあって、地術を扱えず代わりに重力を操るという異端者。それも能力は非常に強力だったため、父からは疎まれて娘として見てもらえず、一族からも腫れ物のように扱われてきた。それでも実の妹である真由美を姉として愛していたが、父にから一心に愛を受ける真由美に嫉妬し、次第に憎むようになる。 誰からも見てもらえず、守ってもらえず、実の父にさえ見捨てられた境遇だったため、誰にも頼らないで自分を守れる強大な力を欲するようになる。五年前、魔獣・是怨の存在に目を付け、真由美とそのクローン(亜由美)による二重の封印で極限にまで力を抑えつけ、魔獣の力を取り込もうと画策する。本心では父親から愛情を欲していたことが窺える台詞を述べており、「魔獣の力を取り込もうとした理由すら聞かず、始末する理由ができたと笑う父親」を見て本当の意味で絶望したという。父との戦いでは重力制御で地術を無効化し圧倒し、毒を用いて殺そうとしたが父は岩と同化することで命を繋いでいた。あえてトドメは刺さずその様を嘲笑い、邪魔者を排除した後は密かに目的の達成に向けて動くようになる。 しかし、すでに自分は魔獣によって人間ではなくなっていたこと(アニメ版では生まれた時からすでに支配されていた)、重力制御も魔獣の手駒のためとして与えられたものであり、全ては魔獣の意思によって行動させられていたにすぎないと和麻から推測を聞かされ、絶望してしまう。全てを操っていたつもりが、操られていたにすぎなかった。その事実に悲嘆し、呆然と立ち尽くしていた。 最後は和麻の一撃で真っ二つにされ、それでも生きていたことから自分が妖魔化していたという事実を突きつけられる。「誰にも守ってもらえなかった」境遇を泣き言のように語るが、それを聞いて激昂した和麻から「全部お前が選んだことだろうが!」と風の刃で微塵切りにされて死亡する(和麻と似通った境遇のため、紅羽の泣き言は彼にとって不快以外の何物でもなかった)。ただし、彼女に宿っていた魔獣の「気」は是怨の元へ返り、わずかに交じっていた紅羽の憎悪が宿ることになり、そのため復活した是怨は和麻たちを真っ先に狙って襲い掛かってくることとなった。 戦法は、重力場を展開することで物体から魔術まで拳大にまで圧縮する。その力は綾乃の炎も平気で消滅させ、風術で飛行中の和麻を引き摺り下ろしたほど。和麻も「まともに戦ったら苦戦するほどには手ごわかった」と言い、憶測による精神攻撃で戦意を削ぐという手に出た。 アニメ版では綾乃を防戦一方に追い込み、終始優位に立つ実力を見せた。重力場を炎雷覇で防ぐことはできず押し切られたが、重力場そのものを焼き払うことで何とか凌いでいたという状態。しかし、是怨の復活に伴い与えられた力を奪われ、入れ替わるように地術の力を取り戻す。そして、利用されていたことを知り怒り狂って「わたくしから奪った時間を、人生を返せ!」と泣き叫びながら攻撃を仕掛け消し飛ばされてしまった。この前後に和麻から逃げるように言われ、その死を前にした時は「バカヤロウが……」と哀れまれており、原作と結末がかなり異なっている。また「父から疎まれ殺されそうになった」というのもなくなり、魔獣の力を求めた動機については「石蕗において地術師として才能がない者がどれほど過酷なだったか」と語られたのみ。 「超解!」では一族を乗っ取ろうとしたとも記されている。 技一覧 重力制御 魔獣・是怨から授かった能力。作中では飛翔中の和麻を大地に引きずりおろした。 重力場 綾乃との戦いで使用。対象に向けて球体状の重力場を放つ技。綾乃を防戦一方に追い込んだ。 毒の短剣 父を殺す際に用いた武器。本来なら毒が効かない地術師を、大地から切り離して地術を無効化させ毒殺するというやり方で屈辱的な死を与えようとした。 地術(アニメ版) アニメでのみ使用。用済みとなった紅羽から重力制御を抜き取られた際に地術を取り戻し、是怨に復讐する際に使用した。地面から放った大地の槍で攻撃するが全く通用しなかった。 石蕗 真由美 (つわぶき まゆみ) 声 - 宮島依里 3巻に登場。石蕗一族首座(石蕗巌)の次女で、紅羽の妹。16歳。 亜由美のオリジナルで、本来は彼女が魔獣を封印するための儀式で生贄になる予定だった。紅羽を「お姉さま」と呼び慕っていたが、魔獣の力を我が物にしようとしていること、父を殺めたことや、自分さえも利用していたことを知り、決別。和麻たちと戦闘中の紅羽を殺そうと奇襲を仕掛けるが失敗に終わってしまう。その際、罵倒の言葉を姉に向けていたが、姉の真意を知ってからは強い同情を買っていた。 魔獣・是怨復活に「勝てるわけない!」と絶望していたが、亜由美に叱咤されたことで戦うことを決意。亜由美と共に是怨の力を抑えつけ、和麻たちに勝機をもたらした。 アニメ版では、儀式のところからずっと気を失ったまま戦いに参戦しない。すべてが終わった後に力を使い果たした亜由美の最後を見届け、その際にこれまでのことを謝罪した。 全てが終わった後は愛する人間であり、自分の支えとなっていた勇士を補佐に加えて紅羽の後を次いで首座となる。アニメではその後は特に語られていない。 石蕗 巌 (つわぶき いわお) 声 - 荻野晴朗 3巻に登場。石蕗家当主にして、紅羽と真由美の父親。 次女・真由美の可愛さゆえにクローンを作り、身代わりにする計画を立てた張本人。一方、地術を使えない落ちこぼれの長女・紅羽に対しては、強力な重力操作を使えることも相まって、一切の情を抱くことなく忌み嫌っている。そんな折、紅羽が魔獣の力を取り込もうとしているのを知り、理由も問いただそうとせず「始末する理由ができた」と笑っていた。 病に倒れたことになっていたが、実際のところ紅羽を始末しようとするも返り討ちに遭い、大地から切り離されて毒殺されそうになっていた。しかし、その寸前に岩と同化して生きながらえるも身動きが取れなくなっていた。死の間際、家督を条件にして交渉を図ったが聞き入れられず、地との接点を断たれて絶命する。 アニメ版では、和麻たちとの邂逅シーンが追加され、紅羽の野望を伝える役目を担った。 石蕗 勇士(つわぶき ゆうじ) 声 - 鳥海浩輔 3巻に登場。真由美の側近。推定20代半ば。 宗家ではなく俸家の人物だが、石蕗の姓を名乗ることを許されたほどの高位の地術師。亜由美を連れ戻しに来た際に立ちはだかった煉と交戦するが及ばず敗北するが、目的自体は達し亜由美を連れて帰還した。 主である真由美を守るためなら死すら辞さない覚悟を持っている。いずれ生贄に捧げられると知った真由美から無理やり接吻をされ、「今後も私の側を離れないで欲しい」と告白され、最期まで自身を支えて欲しいという意図を汲み取った。逆に紅羽のことは全く信用していないが力は認めており、表向きは主従を護っている。自身の力が和麻たちに及ばないことを悟り、紅羽から授けられた能力によって岩石の巨人となり、煉と死闘を繰り広げた。 最後は煉の捨て身の攻撃(和麻が防いでくれると信じていたため)によって妖魔の力を焼き払われ、元の人間に戻る。是怨が倒された後は、首座を継いだ真由美の側近として活動している。 人間時は岩石のつぶてを武器としていたが、煉の炎にはまったく及ばなかった。 妖魔の力を得た後は、煉の炎も突き破るほどの土砂の津波、岩石の拳を武器として戦うようになる。ほか、腕を切断されてもすぐに再生するほど治癒能力も強化されている。 アニメ版では原作とデザインが大きく変わっており、ポマードで髪を固め、見た目も固そうな人物になっている。なお、原作では美少年よりの優男。妖魔化した際の強さも原作以上となっており、綾乃の炎を受けても全く通用せず、炎雷覇の一撃でも傷一つつけられなかった。理由について和麻は「バカみたいにを岩を斬ろうとしたからだ」と述べている。最期は原作同様の経緯で煉に敗北した。 石蕗 亜由美 (つわぶき あゆみ) 声 - 酒井香奈子 3巻に登場。真由美のクローン。生後1ヶ月(肉体年齢は12歳)。 妖精の卵を使い、短期間で急激に成長させられたため非常に短命。和麻と会う頃にはすでに細胞が死に始めていた。真由美に代わり魔獣封印の儀式をするためだけに作られた。記憶は真由美のものがコピーされていたが、儀式の前に自分だけの思い出が欲しくて脱走し、煉と出会い、一緒に海を見に行った。その存在を失った今も、煉にとっては「たった一人の人」。 是怨との戦いでは絶望した真由美を叱咤する際に、彼女そっくりに振舞うことで見下し、戦意を取り戻させている。そして共に「大祭」を行い、是怨の動きを封じ煉たちに正気をもたらした。アニメ版では真由美は気絶したままのため単独で「大祭」を行っている。是怨が倒れた後、「大祭」の影響で急激に寿命が縮み、煉に看取られながら最期を迎えた。しかし、妖精の卵の影響により妖精として生まれ変わったことが示唆され、それを知った煉は元気を取り戻した。アニメ版ではこの設定はなく、煉は和麻に励まされることで立ち直っている。 短編では夢魔が「煉の未来の悪夢」から亜由美を再現し、精神攻撃として煉にけしかけている。この時点では煉は亜由美に会っておらず、この「悪夢」は和麻の風によって両断され消滅した。
※この「地術師:石蕗一族」の解説は、「風の聖痕」の解説の一部です。
「地術師:石蕗一族」を含む「風の聖痕」の記事については、「風の聖痕」の概要を参照ください。
- 地術師:石蕗一族のページへのリンク