作戦開始まで
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5月27日19時5分、豊田副武連合艦隊司令長官は第一航空艦隊に対して、ヤップ島に配備された第三攻撃集団約90機の航空戦力をニューギニア島西部ソロン方面に移動するように命じた。この時期、日本は絶対国防圏構想を元に「あ号作戦」の準備を進めており、第一航空艦隊はそのために準備されたものであった。ビアクは絶対国防圏からも外れ、第三攻撃集団のビアク投入は連合艦隊独自の判断で、作戦命令方針に一致しない命令であった。海軍はトラック、ビアク、メレオンを絶対防衛線から外すことを事前に決め、陸軍にも伝えていた。 連合艦隊航空参謀多田篤次は「当時連合艦隊司令部では豪北についてはほとんど考えておらず、また「あ」号作戦自体も自主的にわが希望する決戦海面に導入する方策が欠けていた。私は敵がビアクに来た時第一機動艦隊をもってこれに対応すべきであると主張し、先任参謀と激論した。その理由は1.第一機動艦隊はタウイタウイで訓練もできず海上機動戦の練度不足である。2.ビアクに対応することにより敵を刺激して誘致の目的にかなう、すなわち従来の敵のやり方からみて有力部隊をもって対応しなければ深くわが希望海面に入って来ないということである」と語っている。連合艦隊情報参謀中島親孝によれば「豊田艦隊司令部では豪北方面に対する関心がほとんどなく、ビアクに対しても認識は十分とはいえなかった。ところが現実にビアク島に上陸され、だれかが急に騒ぎ出して「ビアクには飛行場適地が多く大基地群ができる」ということで、一部航空兵力を増強するに至ったものであろう。私の印象では一航艦兵力の投入も、渾作戦も共にビアク確保が主目的で、これは当時何回も聞いており「ビアクを取られたら大変だ」ということである」という。一方、第一航空艦隊参謀淵田美津雄は、米海軍により進められている中部太平洋ルート上に位置するマリアナへの進攻は、ビアク作戦の如何に関わらず実施されるとして兵力の引抜を憂慮していた。 5月28日、南方軍と南西方面艦隊の合同意見としてビアク島へ増援の地上部隊を逆上陸させる構想が連合艦隊に具申された。連合艦隊先任参謀高田利種は、策定は南西方面艦隊の上申より第16戦隊司令官の上申に強く心を動かされたという。29日早朝、連合艦隊は大本営に対して「渾作戦」を提案。軍令部は現場の意向に従い、陸軍と協議した。 陸軍はホーランジア戦で陸軍第四航空軍隷下の第六飛行師団が壊滅したため、5月2日の御前会議後、南方軍命令により絶対国防圏からビアク島を除く決定をしていた。参謀本部作戦参謀だった瀬島龍三は「兵力を投入してもビアク持久は時間の問題である。「あ号」作戦を放棄することにならないか」と疑念を示していたが、参謀総長を兼職していた東條英機は海軍の要望に賛成した。 5月29日夜、大本営陸軍部も同意し、即刻豊田長官より渾作戦が発令された。軍令部第一部長中沢佑によれば「渾作戦の目的はビアク島確保が第一であり、敵機動部隊を誘致し決戦を生起させるチャンスもあると考えていたが、その後の経過は次第に後者の方を重視する傾向が強くなってきた」という。 6月3日午後2時21分、連合艦隊電令第114号により「第五基地航空部隊指揮官は、直率の第二攻撃集団を春亀方面に集中配備せよ」との命令を出していた。第二攻撃集団はマリアナに配備されていた部隊であったが、この命令を受けて西方に移動を開始した。
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作戦開始まで
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ドイツ軍は1940年4月にノルウェー各地に侵攻を開始した。各地の占領に成功したドイツ軍であるが、ノルウェー北部のナルヴィクでは、上陸したエドゥアルト・ディートルの部隊は連合国軍の攻撃により孤立していた。連合国は5月28日にはナルヴィクを占領した。この状況で、大型客船オイローパとブレーメンによる増援部隊の輸送計画が立案されたが、これは無謀な計画であり実行されなかった。次いで戦艦グナイゼナウ、シャルンホルスト、重巡洋艦アドミラル・ヒッパー、駆逐艦4隻による作戦が計画された。これがユーノー作戦である。 海軍総司令官エーリヒ・レーダー元帥が出した指令によれば、作戦内容はナルヴィクとハーシュタ地域の敵艦船を攻撃し、ディートル部隊を助けることであった。これは艦隊を率いるヴィルヘルム・マルシャル中将に一定の裁量を認めるものであったが、指揮系統上レーダーとマルシャルの間に入る西部方面海軍司令長官アルフレート・ザールヴェヒター上級大将はハーシュタへの突入を命じた。さらに、ナルヴィクへ向け移動中の陸上部隊の支援も任務に加えられた。マルシャルはレーダーと会談し、レーダーの発言からハーシュタ突入ではなく周辺の水上目標攻撃も可であると考えた。
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