参謀総長とは? わかりやすく解説

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さんぼう‐そうちょう〔‐ソウチヤウ〕【参謀総長】

読み方:さんぼうそうちょう

陸・空軍参謀本部長官。陸・空軍軍人最上級者。旧日本陸軍では、天皇直属して軍機参与し戦時には海軍軍令部総長とともに大本営幕僚長として作戦参画した。


参謀本部

(参謀総長 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/25 00:33 UTC 版)

参謀本部(さんぼうほんぶ、: Staff Office)は、軍隊において上級士官の作戦指揮を補佐するための合議機関である。

各国における成立の沿革上、また陸軍海軍で別個の参謀組織がある場合もあり、そのため参謀部、参謀局、軍令部、作戦部、幕僚監部など種々の訳語が充てられることもある。

概要

参謀本部とは軍事組織における師団長・旅団長・連隊長・大隊長に当たる高級指揮官の作戦指揮を補佐する業務を行う機関である。軍事組織における指揮系統は単一であるために参謀本部に一切の指揮権はなく、指揮官が参謀本部の補佐を得ながら作戦指揮において独自に決心する[1]。その歴史はプロイセン王国で発展した。それまでは指揮官は自らの才能に依拠して指揮統率を行っていたが、ナポレオン戦争の頃から参謀組織の必要性が認められるようになり[2]、平時より軍事研究を行って戦時においては指揮官を補佐する常設機関がプロイセン軍に採用され、普墺戦争普仏戦争におけるプロイセンの勝利によってその真価が認められた。これは後に各国軍に導入され、日本においても日本軍で参謀総長と軍令部総長は天皇の参謀に当たった。戦後には例えば米軍においては最高指揮官たる大統領の下に統合参謀本部が設置され、軍事行動について大統領の補佐を行う体制を整えている[3]

組織

参謀本部の組織は各国軍によって異なるが、概ね以下のような組織となっている場合が多い[4]

  • 参謀総長(アメリカ陸軍であれば Chief of Staff of the United States Army)
    • 参謀副長(Deputy chief) - 参謀総長の指揮下において参謀長を補佐する。作戦担当(Plans and Operations)と管理担当(Administration)がいる。
    • 秘書(Secretariat) - 参謀総長の指揮下において秘書的業務を行う。
  • 一般参謀(General staff) - 参謀総長の指揮下においてそれぞれの部門の長で構成される参謀であり、自らの部門の方針を作成し、計画・調整・管理を行う。参謀会議では全ての分野に発言権を持ち、各分野を調整する。
    • 行政参謀 - 人事・配置・厚生・保安などの人事や民政・占領行政・庶務などの総務を担当する一般参謀であり、二名の副部長と一名の次長の下に軍務課と総務課を有する総務部を統括する。
    • 情報参謀 - 司令部の情報活動としての情報収集・処理・報告・防諜などを担当する一般参謀であり、作戦・情報担当の副部長と防諜・特務担当の副部長の二名の副部長と次長の下に作戦課・防諜課・特務課・企画課・統合情報課を有する情報部を統括する。
    • 作戦参謀 - 指揮官の作戦計画の立案・実施・完了を補佐し、指揮官が決心するために要する情報の提供や指揮官の決心を下級指揮官に伝達する一般参謀であり、二名の副部長と次長の下に作戦課・訓練課・企画課を有する作戦部を統括する。
    • 後方参謀 - 後方支援・兵站に関する効率的な補給計画の立案・改良・実施・参謀間の調整などを行う一般参謀であり、二名の副部長と一名の次長の下に企画課・作戦課・補給課・輸送課などを有する後方部を統括する。
    • 企画参謀 - 長期的な将来計画を担当する一般参謀であり、二名の副部長と次長の下に戦争計画課・特殊計画課・研究課を有する企画部を統括する。
    • 通信参謀 - 下級部隊の通信の正確性・効率性の準備、通信計画の準備・調整・監督を担当する一般参謀であり、二名の副部長と次長の下に計画政策課・機器課・運用課などを有する通信部を統括する。
  • 特別参謀(Special staff) - 司令部の専門将校などから構成され、指揮官の指揮下で、一般参謀の調整を受ける。参謀総長の指揮統制で増員や減員を受けるため必ずしも一様ではない。
    • 工兵参謀
    • 輸送参謀
    • 監察参謀
    • 広報参謀
    • 会計参謀
    • 法務参謀
    • 憲兵参謀
    • その他専門参謀

参謀本部の例

個々の機関は沿革上、「参謀本部」と称されない又は訳されないこともあるが、実質的意味における参謀本部としては次のものなどがある(改称されたものや廃止されたものも含む)。

旧日本陸海軍の軍令機関の変遷
日付 陸軍 海軍 根拠法令
1871年(明治4年)7月
兵部省陸軍参謀局
兵部省職員令
1874年(明治7年)6月18日 参謀局 「参謀局条例」
1878年(明治11年)12月5日 参謀本部 旧「参謀本部条例」
1884年(明治17年)2月 軍事部
1886年(明治19年)3月18日
参謀本部
明治19年勅令無号
1888年(明治21年)5月12日 陸軍参謀本部 海軍参謀本部 明治21年勅令第25号
1889年(明治22年)3月7日 参謀本部 海軍参謀部 明治22年勅令第25号・同第30号
1893年(明治26年)5月19日 海軍軍令部 明治26年勅令第37号
1933年(昭和8年)10月1日 軍令部 昭和8年軍令海第5号
1945年(昭和20年)10月15日
(廃止)
昭和20年軍令海第8号など

脚注

  1. ^ 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)112 - 113頁
  2. ^ 鍛冶俊樹『戦争の常識』(文藝春秋、平成17年)72頁
  3. ^ 鍛冶俊樹『戦争の常識』(文藝春秋、平成17年)73頁
  4. ^ J.D.ニコラス空軍大佐、G.B.ピケット陸軍大佐、W.O.スピアーズ海軍大佐著、野中郁次郎、谷光太郎訳『統合軍参謀マニュアル』(白桃書房、昭和62年)54 - 56頁、松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)などを参考に作成
  5. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)

参考文献

  • J.D.ニコラス空軍大佐、G.B.ピケット陸軍大佐、W.O.スピアーズ海軍大佐著、野中郁次郎監訳、谷光太郎訳『統合軍参謀マニュアル』(白桃書房、昭和62年)ISBN 978-4561241409
  • 松村劭『バトル・シミュレーション 戦術と指揮 命令の与え方・集団の動かし方』(文藝春秋、2005年)

関連項目


参謀総長

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 00:39 UTC 版)

フランツ・ハルダー」の記事における「参謀総長」の解説

1933年ナチス政権獲得するが、ハルダーはこの新政権と距離を置いた1934年3月14日少将昇進翌年10月15日ミュンヘンの第7歩兵師団長に補されるこの間ナチス容喙に抗っていた。1936年8月1日中将に昇進参謀本部作戦局長次いで教育局長となる。その職掌担当した軍事演習で、総統アドルフ・ヒトラー個人的面識を得る。ヒトラー知遇得て彼はさらに出世し1938年2月砲兵大将昇進同年9月ルートヴィヒ・ベック参謀総長がヒトラーによる国防軍指揮への介入抗議して辞任するその後任にはハルダーが任命された。ベック中心とする国防軍将官グループは、当時進んでいたズデーテン危機際しイギリスの介入がある場合ヒトラー追放計画しており、ハルダーもそのグループ近かった。しかしミュンヘン会談イギリス譲歩して事態収拾されると、クーデター計画しぼんでしまい、ハルダーはこのグループから離脱した。この変心についてハルダーは、プロイセン軍人伝統的規律国家元首への忠誠従ったため、としている。 参謀総長として、ハルダーは第二次世界大戦初期ドイツ侵攻作戦策定に関わった。すなわちポーランド侵攻西方侵攻、そしてバルバロッサ作戦である。1940年フランス勝利した直後上級大将昇進。しかし徐々にヒトラーとの作戦上の意見の相違大きくなった。11月中にドイツ第6軍スターリングラードのほとんどを占領ソビエト赤軍ボルガ川川岸押し込んだが 、第6軍側面にはソビエト赤軍反撃兆候があり、その情報ソビエト赤軍捕虜からもたらされていた。(ウラヌス作戦) それにも関わらずヒトラースターリングラード占領することにこだわっていた。。そのためドイツ国防軍参謀総長だったフランツ第6軍第4装甲軍拡大し過ぎていた側面迫っていた危機について警告していたが、9月ヒトラーとの意見対立により1942年9月24日に参謀総長を更迭され予備役編入された。

※この「参謀総長」の解説は、「フランツ・ハルダー」の解説の一部です。
「参謀総長」を含む「フランツ・ハルダー」の記事については、「フランツ・ハルダー」の概要を参照ください。

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