ミラ
イタリア語で、ミラは羨望の的、標的を意味する。最初のクルマは商用車で、クォーレのライトバンとして1980年6月、世に出た。当初はミラ・クォーレと呼んだが、82年のマイナーチェンジ時にクォーレの名が取れた。
乗用タイプとしては、90年3月のフルモデルチェンジのときに登場したクルマが最初だった。基本的な造形は旧型と変わらないが、旧型よりも丸みを帯び、ヘッドランプの形もそれに合わせてコーナー部が丸くなっていた。2250mmのホイールベースは2280mmに延びた。3ドアと5ドアのハッチバックボディだった。
660ccとなったエンジンも含めて、新規格に適応するためのフルチェンジで、ドア内部にサイドインパクトビームを設けるなど、新しい安全対策を織り込んでいた。直列3気筒・SOHC・659ccエンジンは、547CC型のボアを広げる手法で実現した。最高出力は自然吸気が40/50ps、ターボ仕様は64psだった。駆動方式はFFと4WDがあり、ミッションは4速、5速MTと3速ATの設定があった。リヤサスペンションはセミトレーリングアーム、コイル。新メカニズムとして機械式の4WS、後2輪にきくABSを積んでいた。東京地区標準価格は、2ドアJ-タイプP・3速ATが77万5000円、4ドアJ-4WD・タイプQ・5速MTが85万8000円だった。11月には2ドアのフルタイム4WD車ターボX-4を、91年5月にはTR-XXアバンツァートとTR-XX4速ATモデルを発売した。
92年8月のマイナーチェンジの際、ターボRV-4というモデルを出した。12バルブ・ターボエンジンのフルタイム4WD車で、全高は1550mmあった。ミッションは5速MTと4速ATが選べた。
93年1月。モデルノ・シリーズを加えた。乗用車感覚、高級志向を強めたシリーズで、フロントとリヤのデザインが新しかった。3ドア、5ドアハッチバックというスタイルは変わらないが、装備関係は上級化しており、全車にエアコン、パワーステアリング、AM/FMラジオ、ハイマウントストップランプなどを標準で装備していた。駆動方式はFFと4WDがあり、3速と4速ATをタイプにより使い分けた。エンジンは42psと55ps。
94年9月、フルモデルチェンジ、2代目デビュー。スタイリングの基本は旧型と同じだったが、新型はいっそう丸みを増した。ホイールベースが20mm延長して2300mmになり、室内の拡大につながった。ボディタイプは3ドア、5ドアハッチバック、駆動方式はFFと一部4WD、ミッションは4速、5速MTと3速、4速ATをグレードによって使い分けた。エンジン(3気筒SOHC)は自然吸気の40/42/55psとターボの64ps、計4種類に加えて、このとき、4気筒D0HC16バルブ・エンジンを新開発したこともトピックだった。自然吸気の58ps、ターボの64psがあった。また、TR-XXアバンツァートR(FF車)のリヤサスペンションには、軽で初めてトーコントロール機構を採用した。ブレーキは全車がブースター付きディスクを前輪に採用し、一部グレードではリヤもディスクとなった。オプションとなるが、4チャンネルABSも導入した。またほとんどのグレードに車速感応型パワーステアリングを標準装備。4WS装着車は廃止した。
95年10月、新世代の3気筒ツインカム・12バルブ・659ccの55psエンジンに生まれ変わり、セダン4WD車に採用した。一方、ターボエンジンも新型3気筒ツインカム・64psに換装、4速AT仕様が加わった。モデルノ・シリーズも新しくなり、フロントのデザインを独自のものとして、通常型よりも上のクラスに位置した。全車にツインカム・エンジン採用。
97年8月、通常型にクラシックを追加。クロームで台形のラジエーターグリル、丸2灯のヘッドランプなどがエクステリアを特徴づけ、標準エンジンと高性能エンジン、FFと4WDの駆動方式があった。
98年10月、安全性向上をテーマとする新軽規格にミートする新型を発売した。安全ボディにはTAFというネーミングを与え、スタイリングはタウンキュービック・フォルムと名付けた。ヘッドランプは全体のスタイルに合わせた異型の高級感あるものに変更。ホイールベースは旧型比60mm延びて2360mmとなった。エンジンはすべて3気筒で、SOHC・6バルブ・45ps、DOHC・CVVT(可変バルブ機構)・12バルブ・58ps、DOHC・12バルブ・ターボの64psをそろえた。トランスミッションは5速MT、3速と4速のAT、CVTを設定した。駆動方式はFFと回転差感応型カップリングを使用したフルタイム4WDがあった。超低燃費車のTVグレードは、DVVTのエンジンとエコCVTを組み合わせることにより、MT車をしのぐ27km/L(10・15モード)を達成。ほとんどのグレードで油圧パワーステアリングを標準化、自然な操舵フィーリングが実現した。ブレーキアシスト付きABSはオプション。デュアルSRSエアバッグとプリテンショナー&フォースリミッター付きフロントシートベルトを一部グレードに装備。イメージリーディングシリーズのTR-XXは廃止した。
99年3月、クラシック・スタイルのジーノ誕生。丸形ヘッドランプ、クロムで囲んだラジエーターグリル、めっきのバンパーなどが「よき時代」を感じさせた。58psと64ps(ターボ)エンジンがあった。11月、マイナーチェンジ。ルーフエンドスポイラーやオーバーヘッドコンソール、パワーウインドウなどを一部車種に採用した。合わせて排出ガス規制適合車優遇税制および低燃費自動車優遇税制に適合。
2000年10月、マイナーチェンジ。衝突安全ボディTAFの採用に加えて、(1)軽自動車初のSRSサイドエアバッグのオプション設定、(2)デュアルSRSエアバッグの標準装備(セダン)。など安全面の強化と、新意匠のバンパーやグリル、リヤコンビランプで外観を手直しした。
2001年10月、ツインカムDVVTエンジンなどにTOPAZ触媒を採用し、全車LEV対応とする改良を行った。さらに安全性向上、内装のリファイン、新色の追加などがあった。同時にミラ・シリーズにLicca with Happy pappy、TL、ミラジーノにミニライトスペシャルターボというモデルを追加した。12月、ミラジーノに人気キャラクター、ハローキティをデザインしたモデル新設定。
2002年8月。ミラジーノに3気筒ツインカムDVVT・11エンジン搭載車を新設した。ジーノをベースに、めっきバンパー、大型バンパーライダーやめっきサイドロッカーモールを装着したモデルで、寸法的には全長と全幅がそれぞれ20㎜ずつ拡大した。全高、ホイールベースに変化はない。ミッションは4速ATだけ。駆動方式はFFが基本だが、プラス12万円で4WD仕様も選択できた。タイヤサイズは軽モデルと同じ。名称はミラジーノ1000。一方、ジーノも新意匠のフロントグリルやリヤライセンスガーニッシュを変えてイメージを一新した。また、ターボモデルもラインアップ、充実した車種構成になった。
2002年12月、軽のミラが新モデルに衣替えした。10月にモデルチェンジしたムーヴと同じプラットフォームを使うため、ホイールベース(2390mm)、全長(3395mm)、全幅(1475mm)は同数値。全高は1500mm(ミラ)と1530mm(アヴィ)。従来モデルとの比較では、ホイールベースが30mm延び、全高で75mm~105mm高い。したがって室内も幅で80mm、長さで175mm~195mm大きくなり、コンパクトセダンを凌ぐ広さに変身した。
モデルはムーヴと同様2つ。ベーシックなミラと上級志向のアヴィがある。外観上の大きな違いは、ヘッドランプを含むフロントまわりとリヤコンビランプの処理。アヴィは大きめのヘッドランプを使い、ストップランプ内蔵のリヤランプをゲート上部に回り込ませた造形となった。
軽自動車への直墳エンジン採用も注目点。ミラのVモデルに積むこのエンジンは、アイドルストップ機能と5速MTとの組み合わせで10・15モード走行燃費が30.5km/Lというハイレベルをマークする。エンジンバリエーションはアヴィがDOHCのNAとターボ仕様、ミラがSOHCとDOHC、そして前記の直墳の3タイプ。ボディ形状はアヴィが5ドア車だけ、ミラには3/5ドア車を設定。駆動方式はFFと、Vグレードを除く全モデルに4WDがある。なお、クラシックタイプのミラジーノは、従来モデルを継続販売する。
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