クム大公国の人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 00:20 UTC 版)
「グイン・サーガの登場人物一覧」の記事における「クム大公国の人物」の解説
タリオ・サン・ドーサン 元クム大公。妻はユラニア元大公オル・カンの妹デリア。父は先々代クム大公タリム・ヤン。息子にタルー、タル・サン、タリク。異母妹にケイロニア元皇后マライア・タル・クラディン。白髪、肥満体。勇猛で、若いころは自ら陣頭に立つ武将大公として知られていた。第二次黒竜戦役後には、一時、虜囚としたアムネリスを自らの愛妾としていたこともある。3人の息子のうち、末っ子のタリクを溺愛しており、そのことが長男タルーを主導者のひとりとする、クムの三公子とユラニア三公女との合同結婚式の際のクーデターの遠因ともなった。そのクーデター後のゴーラ動乱の際、溺愛するタリクを殺害した(実際にはアリストートスに匿われて存命であった)タルーを討伐するために、久々に自ら兵を率いて出陣したが、イシュトヴァーン率いるモンゴール軍によるゲリラ的な攻撃に苦戦し、まもなくして参戦したカメロンによって斬殺された。 タルー 元クム公子。父は元クム大公タリオ・サン・ドーサン。母はタリオ妃デリア。妻はユラニア大公ネリイ。弟にタル・サン、タリク。勇猛な武将として知られたが、好色な乱暴者でもあり、国内における人望は低かった(だがそれでも大物の支持者がいた)。三男タリクを溺愛する父との仲は年々悪化し、このままでは自らの廃嫡もあると考えたタルーは、ネリイ、アリストートスとともに、クムの三公子とユラニア三公女との合同結婚式の際のクーデターを主導し、弟タル・サンを自ら殺害した。続くゴーラ動乱の際に、弟タリクを擁するクム側に寝返ったイシュトヴァーン率いるモンゴール軍との戦いに敗れて、一時行方不明となる。その後、グラチウスの策略により与えられた兵力を持って、パロ内乱に参戦するためにパロへ向かう途中のイシュトヴァーンを自由国境地帯の山中で襲撃するが、あえなく失敗し、イシュトヴァーンによって斬殺された。 タル・サン クム公子。父は元クム大公タリオ・サン・ドーサン。母はタリオ妃デリア。婚約者はユラニア公女エイミア。兄にタルー。弟にタリク。吝嗇で打算家の風采のあがらない小男で、ネズミ面と称される。陰謀を好む性格でもある。クムの三公子とユラニア三公女との合同結婚式の際のクーデターの際に、兄タルーに斬殺された。 タリク・サン・ドーサン クム大公。父はクム前大公タリオ・サン・ドーサン。母はタリオ妃デリア。元婚約者にユラニア公女ルビニア。兄にタルー、タル・サン。父タリオの溺愛を受けたためか、典型的な坊っちゃん気質の持ち主である。クムの三公子とユラニア三公女との合同結婚式の際のクーデターの際に、危うく難を逃れ、アリストートスに匿われた後、イシュトヴァーン軍とクム軍との和平交渉によってクムへ帰国した。その後、イシュトヴァーン軍と同盟して、ともにユラニアを攻め、ユラニアの滅亡に一役買うこととなった。クム大公家唯一の生存者として亡父の後を継ぎ、クム大公となった。 その後、グインたちが立ち寄ったタイスで開催された〈水神祭り〉に、政務の一環として出席するためにエン・シアンとアン・ダン・ファンを連れてタイスを訪れた。その宮殿でタイス伯爵令嬢アン・シア・リンに結婚を迫られ難渋していたが、偶然出会ったローラ(フロリー)に一目惚れする。その翌日、ローラを呼び出し二人で歓談していたところを、アン・シア・リンとその父タイ・ソンに踏み込まれ、ローラを連れて行かれる。その後、大闘王決定戦終結直後のマーロールの告発の中で、ローラがタイ・ソン親子に殺害されたと聞かされ、嘆き哀しむ。その直後に開かれた臨時の審問の場において、証人として出廷したマリウスが語ったローラ殺害の状況を聞かされた時には、そのあまりの残虐さに思わずタイ・ソン親子とマリウスを地下水路に放り込んで魚の餌にしろと泣き叫んだが、エン・シアンたちに制止された。その後、マーロールを新たなタイス伯爵に任命しようという提案には、最初自分より容姿に優れたマーロールがタイス伯爵になることに難色を示すが、エン・シアンに説得されて、それを承認した。 アン・ダン・ファン クムの前宰相。ゴーラの動乱でタリオ大公が戦死した後に、左丞相(当時のクムの文官の最高位)としてイシュトヴァーンと会談した。タリクのじいであり、タリクからは最も頼りにされている。権謀術数に長けたタイ・ソン伯爵も彼にかかればまだまだ小僧っ子である。タリクがクム大公に即位した後に、宰相に任命される。その後、宰相位を年若いエン・シアンに譲ったが、クム国内では未だに大きな発言力を有している。 エン・シアン クムの現宰相。グインたちがタイスにやって来た後に開催された〈水神祭り〉に、政務の一環として見届けるためにタリクやアン・ダン・ファンと共にタイスにやって来た。後のマーロールの告発では、かねてよりタイ・ソンの専横を苦々しく思っていたこともあり、アン・ダン・ファンとの協議の末、タイ・ソン伯爵親子を失脚させてマーロールを新タイス伯爵に任じた。 ガンダル クムの首都ルーアンの剣闘士。身長2タールを越える巨人。年に一度、クムの大都市タイスで開催される〈水神祭り〉の大闘技会において、20年間不敗を誇る大闘王として君臨している。その名声は中原中に響いており、かつてグインの正体が取りざたされた際には、その候補として真っ先に名があがったこともある。 グインがグンドという偽名を名乗ってフロリーたちと共にタイスに立ち寄った際、剣闘士としてたちまち頭角を現したグインの前に仮面を付けた全身武装の姿で現れ、グインを挑発して挑みかかった。この時はガンダルが優勢であるように周囲には見えていたが、実はグインがそう見せかけていただけであり、ガンダルもそれに気付いていた。そしてガンダルは〈水神祭り〉の大闘王決定戦で待っているとグインに告げ、その場は引き下がった。 そして〈水神祭り〉の大闘王決定戦でガンダルとグインは対決し、ガンダルは仮面と武装を解いて本来の姿を現す。その姿はグインの予想を越えて老齢であった。ガンダルはこの時既に、グンドが豹頭王グインであると確信して死闘を開始する。死闘は苛烈を極め、ついにガンダルはグインの剣をへし折り止めを刺そうとするが、グインは肩に重傷を負いながらも折れた剣の柄の方に残った刃をガンダルの脇腹に突き刺した。それで一旦は倒れたガンダルは、グンドが豹頭王グインであることを当人の口から聞いた後、最後の力で立ち上がりグインを道連れにしようと襲い掛かるが、グインが折れた剣の刃を拾い上げガンダルの首を目掛けて投げつけ、ガンダルは首を引き裂かれ遂に倒れた。そしてガンダルはグインに見送られて長い戦いの生涯に幕を下ろした。 タイ・ソン タイス伯爵。残虐で我儘な性格で、気に入らない者は容赦なく処刑する。娘のアン・シア・リンをタリクに嫁がせようと躍起になっている。旅芸人一座としてタイスに招いたグインとマリウスを一目見て気に入り、マリウスを愛人にし、グインに剣闘士として戦うことを強要する。やがて、タリクに気に入られたローラ(フロリー)を邪魔だと思い、ローラをマリウスにタイスの地下水路に突き落とさせる。しかしそれが仇となり、グインがガンダルを倒した直後にマーロールによってその悪行を告発され、ローラを地下水路に突き落とさせたことをマリウスに証言されてタリクの怒りを買ってしまい、タイス伯爵位を剥奪され、ルーアンに護送されて長女もろとも公式の裁判にかけられることになる。 アン・シア・リン タイス伯爵令嬢。タイ・ソンの長女で、妹はタイ・メイ・リン。妹同様、タイ・ソンにそっくりな不細工な容貌をしている。父親同様、残虐で我儘な性格で、父に吹き込まれてタリクを誘惑するが、拒絶される。やがてタリクがローラ(フロリー)を見初めたことに嫉妬し、タイ・ソンにローラを拷問して処刑するように頼む。このことが仇となり、後のマーロールの告発によって拘束され、臨時の審問に引き出されて自覚がないままローラの殺害教唆を自白してしまう。そして、タイ・ソンと同様にルーアンに護送されて公式の裁判にかけられることになる。 マーロール タイスの剣闘士で、〈白のマーロール〉と呼ばれている。実はタイス伯爵タイ・ソンとその愛人ルー・エイリンとの間に出来た息子で、マーロールが母のお腹の中にいる時に、母親が嫉妬に狂ったタイス伯爵妃メイ・メイ・ホンによってタイスの地下水路に落とされてしまう。母親は地下水路の中で発狂しながらもマーロールを出産するが、そのすぐ後に死亡する。マーロールは、〈水賊〉と呼ばれる、地下水路に落とされながらも生き残った人たちに育てられ、やがて地下水路の主となる。後に外の出入り口を発見した彼は、外界と地下水路を行き来し、表向きは剣闘士として振舞いながら、密かにタイス伯爵タイ・ソンとその眷属たちへの復讐の機を狙っていた。 そして、グンドと名乗っていたグインと闘技場で対決し、グインを苦戦させるも敗れる。その後、グインがタイスの地下水路に迷い込んだ際にグンドが豹頭王グイン当人であることと、グインが連れている人々の素性を知ることになる。そこでグインに対し、自身の復讐の手助けと引き換えに、タイスからのグインたちの脱出を手助けするという取引を持ちかけ、グインもそれを承諾する。グインがガンダルを倒した直後に、グインたちとの打ち合わせ通り、グンドの代理人としてタリク大公や公衆の面前で自身の素性を明かし、タイス伯爵タイ・ソンとその眷属たちを告発し、それがグンドの願いであったと発言する。またこれもグインたちとの打ち合わせ通り、マリウスがタイス伯爵タイ・ソンの残虐な所業を証言したことで、タイス伯爵タイ・ソンとその眷属たちは地位を剥奪されて公式の裁判にかけられることとなる。ついに自身の復讐を果たしたマーロールは、クムの上層部によってタイス伯爵代理兼新タイス伯爵に任じられ、密かにグインたちのタイス脱出を助けた。 ドーカス・ドルエン タイスの剣闘士で、〈青のドーカス〉と呼ばれている。実直な性格で、グンドと名乗っていたグインと剣闘場で長槍を武器として最初の対決を行って敗れた後にグインを称賛し、その実直な性格を見抜いたグインから、その正体を告げられ驚愕した。以降はグインに心服し、グインたちがタイスを脱出するための手助けとするために、グインに遺恨試合を申し込み、グインとの二度目の対決を迎える。この時は長剣を武器にして尊敬するグインと打ち合い、これも予想通りに敗れるが、ドーカスの心は爽快であった。この勝利によってグインたちの警備は手薄となり、グインたちは一度目のタイス脱出を図るが、この時はスイラン(ブラン)の行動によって失敗に終わる。後にグインたちが二度目の脱出を行った時も、スーティとフロリーを自宅に匿ってグインたちを助ける。この時グインはドーカスに一緒に来ないかと誘うが、ドーカスはタイスに残って剣闘士として新たな大闘王となるまで挑戦し続けることを選び、タイスを脱出していくグインたちを見送った。
※この「クム大公国の人物」の解説は、「グイン・サーガの登場人物一覧」の解説の一部です。
「クム大公国の人物」を含む「グイン・サーガの登場人物一覧」の記事については、「グイン・サーガの登場人物一覧」の概要を参照ください。
- クム大公国の人物のページへのリンク