エンターテイニング・コミックスとは? わかりやすく解説

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エンターテイニング・コミックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/06 08:20 UTC 版)

ECコミック」の記事における「エンターテイニング・コミックス」の解説

1947年にマックス・ゲインズがボート事故死亡すると、マックス息子ウィリアムがこの漫画出版社を引き継いだ陸軍航空隊での1942年から1946年までの4年間の兵役の後、ウィリアム化学教師として身を立てる計画立てニューヨーク大学学業修めるべく実家戻っていた。ウィリアム教職就かず代わりに家業受け継ぐことになった1949年1950年に、ウィリアム・ゲインズはホラーサスペンスサイエンスフィクション戦記犯罪物を主題取り扱ったシリーズ導入始めたECコミック編集者アル・フェルドスタインとハーヴェイ・カーツマンは、ジョニー・クレイグ、リード・クランドール、ジャック・デイヴィス、ウィル・エルダー、ジョージ・エヴァンスフランク・フラゼッタ、グレアム・インジェルス、ジャック・ケイメン、バーナード・クリグスタイン、ジョー・オーランド、ジョン・サヴァリン、アル・ウィリアムソン、ベイシル・ウォルヴァートン、ウォリー・ウッドらの有名かつ熟練したフリーランス作画家達仕事依頼した。カーツマンとフェルドスタイン自身もまた作画手掛けており、それらの原作ゲインズ助言の下に、主に二人編集者クレイグにより執筆されていた。後に、カール・ウェスラー、ジャック・オレック、オットー・バインダーらの他の原作者加わったECはその斬新なアプローチと、編集部寄せられファンレターおよびファンクラブ全国ECファン中毒クラブ」を通じて読者との交流開拓することで、成功収めた。その原作極めてセンセーショナルな物である一方で作画は非常に丁寧なであった作画個人署名作品入れる事を許可し個性的な画風開発奨励し更にはコミック誌中に1ページ作画紹介ページ盛り込むことで、ECコミック作画チーム地位を向上させた。これはしばし作画家の名前がクレジットされない当時漫画業界慣習とは対照的なであった。ただし、マーベル・コミックジャック・カービーとジョー・シモンのチームや、クオリティ・コミックのジャック・コールDCコミックスボブ・ケイン等の、高い名声得ていた他社作画家らも存在するEC一連の卓越したタイトルを、エンターテイニング・コミックスの社名の下に出版した。最も悪名高かったのは、ホラー誌『テールズ・フロム・ザ・クリプト(地下室物語)』『ザ・ヴォルト・オブ・ホラー(怪奇納骨所)』『ザ・ホーント・オブ・フィアー(恐怖巣窟)』の3誌である。これらのタイトルでは、物語主人公多く与えられ不気味で皮肉に満ちた運命通じて身の毛もよだつような「生の喜び」が描かれていた。EC戦記コミック誌『フロントライン・コンバット(最前線戦闘)』と『トゥーフィステッド・テイルズ(鉄拳物語)』では、当時愛国主義的な風潮に抗って、しばしば死んだ魚のような目をした英雄とは呼べないよう主人公物語扱われていた。『ショック・サスペンストーリーズ』誌では、人種差別、性、薬物使用アメリカ的生き方の是非の様な、深刻な問題取り扱われていた。EC自社SFコミック誌『ワイアード・サイエンス』や『ワイアード・ファンタジー』を、フィクション・ハウス社の『プラネット・コミックス』誌に掲載されているようなスペースオペラではない真のSF作品掲載する、「我が社の最も誇るべきSFタイトル」と常に自慢していた。『クライム・サスペンストーリーズ』誌の作品は、フィルム・ノワール映画多く共通点持っていた。ミステリー作家マックス・アラン・コリンズ自作の中で述べた、ラス・コクランにより1983年復刻された『クライム・サスペンストーリーズ』に関する注釈によれば、ジョニー・クレイグは彼の画風において「フィルム・ノワール風の一群効果」を開発しており、一方でEC犯罪漫画表れる人物テーマからは、しばしばフィルム・ノワール関連付けられる作家達、特にジェームズ・M・ケインからの強い影響散見できるという。 傑出したイラストにより描かれる衝撃的な結末物語が、ECトレードマークとなっていった。ゲインズ毎晩遅くまで大量書籍読み漁り物語主題となる着想の源を捜し求めていた。その翌日にはフェルドスタインが原作発展させられそうなアイデア思い付くまで、発掘してきた素材次々提示してみせるのであったEC最盛期には、カーツマンが3本タイトル担当していたのに対し、フェルドスタインは7本のタイトル担当していた。作画家らには各々画風応じた原作割り当てられていた。デイヴィスとインジェルスはしばし戦慄的な超自然テーマ原作作画し、一方ケイメンエヴァンス比較穏健な原作を担当していた。 数百本の作品執筆される中で、主要に取り扱われる基本的なテーマがあった。EC作品のよく知られテーマ幾つかを以下に挙げる平凡な状況もたらす皮肉かつ恐ろしい顛末。しばしば登場人物犯罪対す因果応報描かれる。「コレクション完成(Collection Completed)」と題され作品では、妻に対す当てつけのために剥製作り没頭する男が登場する。男が妻の可愛がっていた殺して剥製にすると、我慢の限界越えた妻は男を殺し、男の死体剥製にして飾る。「嫌悪感(Revulsion)」は、昔自分食事紛れ込んでいた見つけたことで、への嫌悪感を抱くようになった宇宙パイロットの話である。物語の結末では、巨大な昆虫型エイリアン自分サラダ中にいるパイロット死体発見し恐怖叫び声上げる。生物解剖鍋の中茹でられるロブスターメキシカン・ジャンピング・ビーン毛皮コート魚釣り等もこれらの状況一例であり、上の様なやり方扱われる。 『ヘンゼルとグレーテル』『眠り姫』『赤頭巾』等の童話を、身の毛もよだつような形に翻案した恐ろしいお伽話シリーズシャム双生児は、主にEC三大ホラー誌で人気のあるテーマであった1950年から1954年にかけて、少なくとも9本以上のシャム双生児漫画ECホラーおよび犯罪コミック誌登場している。フェルドスタインへのインタビューでは、あたかも彼ら自身シャム双生児あるかのようなゲインズとフェルドスタインの相互依存ぶりが、二人これだけ多数シャム双生児物を書かせた原因ではないか考察されている。 レイ・ブラッドベリSF短編漫画化作品は、1952年始まって20冊に及ぶECコミック誌登場した。この企画はフェルドスタインとゲインズブラッドベリの2本の短編剽窃し、1本の漫画作品として組み合わせたと言う不名誉な事件から始まった。この漫画読んだブラッドベリ二人賞賛の手紙を送りその中で、「何かの手違いで」自分がまだ原作使用料受け取っていないと書き添えたEC小切手送付しブラッドベリ漫画化作品シリーズ化交渉した政治的なメッセージ含んだ作品は、ECSF及びサスペンスコミックの基本的なテーマとなっていた。扱われ論題としては、リンチ行為反ユダヤ主義警察腐敗等がある。 EC三大ホラー誌には3人組物語案内人登場していた。『テールズ・フロム・ザ・クリプト』を案内するクリプト・キーパーと、『ザ・ヴォルト・オブ・ホラー』で読者出迎えるヴォルト・キーパーと、『ザ・ホーント・オブ・フィアー』にけたたましい笑い声響かせるオールド・ウィッチである。悪意満ちた物語の筋書き楽しげ詳しく述べ立てながら、案内人達は他の案内人くだらない口喧嘩をし、次々駄洒落飛ばし読者嘲笑し侮辱しさえする。「ようこそ腫れ物食屍鬼どもよ……」と。この読者対す無礼な嘲りは、同社パロディ雑誌MAD』のトレードマークにもなり、その言葉巧みやり取りは、後にマーベル・コミックスタン・リーを含む多数原作者模倣された。 最も後まで残されEC遺産は、パロディ雑誌MAD』である。この雑誌EC成功確実なものとなる前にカーツマンの副企画として開始されアメリカで最も有名で最も長続きしユーモア出版物となった1954年風刺が大ブームとなり他の出版社が『MAD』の模倣雑誌出版すると、EC姉妹雑誌パニック』を創刊した。『パニック』はアル・フェルドスタインにより編集され、ジョー・オーランドを加えたMAD』の常連作画陣が参加していた。

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