着想の源とは? わかりやすく解説

着想の源

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 17:57 UTC 版)

千と千尋の神隠し」の記事における「着想の源」の解説

企画書にある「あいまいになってしまった世の中」、「あいまいなくせに、侵食し喰い尽くそうとする世の中」の縮図として設定されたのが、湯屋という舞台である。湯屋勤務形態夜型だが、スタジオジブリもまた夜型企業であり、企業組織としての湯屋スタジオジブリそのものモデルになっている宮崎スタッフに「湯屋ジブリ同じだ」と説明しジブリ社内は「10歳少女には魑魅魍魎世界見える」と語った。たとえば、湯婆婆はときどき湯屋から外出してどこか知れぬところへ飛んで行くが、この行動には、会議出張などで頻繁にジブリからいなくなる鈴木敏夫イメージ重ねられている。インタビューによれば宮崎ペルー少年労働扱ったドキュメンタリー番組見たことがあり、子供労働することが当然である世界の現状忘れたくなかったので、過酷な環境下で少女労働強いられるストーリー執筆した説明している。 町山智浩柳下毅一郎は「湯屋遊郭である」と指摘し作品スタッフ舘野仁美動画チェック)も同様の発言をしている。宮崎自身は、千尋迷いこむ不思議な世界イメージ伝え文脈で、学生時代新宿赤線地帯付近通りかかったときに見た「赤いライト光景」についてスタッフ説明したという。また、雑誌プレミア日本版2001年9月号インタビューでも同様の発言があり、子供のころにはまだ残っていた新宿の「赤いランタン」に触れたうえで、「日本はすべて風俗営業みたいな社会になっている」「いまの世界として描くには何がふさわしいかといえば、それは風俗営業だと思う」 と語っている。湯屋大浴場がなく、個室区切られていることについて質問されときには、「いかがわしいこと」をするためであろう答えている。かつての日本湯屋では、湯女による垢すり性的行為一般的に行われていた。 そして、鈴木述懐によれば企画の原点には鈴木宮崎の間で交わされた「キャバクラ」についての会話があった。その内容はこうである。鈴木キャバクラ好きの知人がいた。この知人から聞いた話では、キャバクラ働く女性には、もともとコミュニケーションがうまくできないひとも多い。客としてくる男性同じようなものである。つまりキャバクラは、コミュニケーションを学ぶ場なのである異性会話せざるを得ない環境放り込まれ働いているうちに、元気を取り戻していく(という従業員もいる)。鈴木によれば宮崎はこの談話ヒントにして湯屋物語構想した。すなわち、千尋湯屋神々接待ていくうちに、生きる力取り戻していくというストーリーである。 「神仏混淆湯治場」という発想は、「霜月祭」がもとになっている。この祭りは「十二月神々招いて湯を浴びさせる」というもので、様々な仮面被った人々多種多様な神々演じて舞う神事である。鈴木宮崎NHKドキュメンタリーふるさとの伝承』でこの祭り知り着想得た霜月祭は、長野県下伊那郡天龍村に伝わる「天龍村の霜月神楽」や長野県飯田市遠山郷(旧南信濃村、旧上村)に伝わる「遠山の霜月祭」など、長野愛知静岡県境にまたがる地域各地行われている。また、静岡県静岡市の「清沢神楽」や静岡県御殿場市の「湯立神楽」、愛知県北設楽郡の「花祭り」など「釜で湯を沸かして掛け踊る」という湯立神楽祭事は、日本各地行われている。 1994年春頃、宮崎自宅付近流れドブ川観察する。川の中では、ユスリカ幼虫大量発生して汚濁した水の中懸命に生きていた。宮崎その様子を見て今後人間の運命」を感じ経験をした。後に宮崎地元有志ドブ川掃除しそのとき経験汚れた河の神内部から自転車などを引き出シーンとして活かされた。その後も川掃除宮崎習慣になっており、2016年一般市民制作したドキュメンタリー作品では、宮崎が川掃除などの地域清掃活動取り組む様子収められている。 千尋が車の後部座席揺られながら不満を口にしている冒頭場面について、押井守は、これは宮崎が元々『柳川堀割物語』のオープニングとして検討していたものであり、諦めきれなかったものではないか推測している。また押井は、千尋カオナシ路面電車乗って銭婆に会いに行く場面は、明らかに三途の川イメージしたものとみており、宮崎意識しているだろうと述べている。

※この「着想の源」の解説は、「千と千尋の神隠し」の解説の一部です。
「着想の源」を含む「千と千尋の神隠し」の記事については、「千と千尋の神隠し」の概要を参照ください。

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