「メトロ」誕生後の展開
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「フェアチャイルド メトロ」の記事における「「メトロ」誕生後の展開」の解説
受注・納入機数 年次推移(メトロシリーズ全体、単位:機)年合計1970197119721973197419751976197719781979受注数699 4 2 8 15 13 19 20 28 80 27 納入数699 2 3 3 15 15 19 15 23 41 43 年19801981198219831984198519861987198819891990受注数38 55 34 33 21 36 36 26 45 14 31 納入数53 59 44 34 23 33 35 35 28 21 18 年19911992199319941995199619971998199920002001受注数31 11 15 22 8 3 11 1 4 8 0 納入数12 37 26 18 14 5 11 0 2 6 6 1970年にシリーズ機「マーリンIV」(胴体延伸型の12席ビジネス機)がリットン・インダストリーズ(英語版)に納入され、これが胴体延長型の「メトロ」シリーズ納入第1号となった。1971年には「メトロ」がコンゴ民主共和国キンシャサのソシエテ・ミニエール・デ・バクワンガ(英語版)(MIBA)に初納入される。一方で、この頃の世界的不況・航空機市場縮小により売上が急減し資金繰りが悪化、1971年中ごろにはスウェアリンジェン・エアクラフトは生産を停止し、自ら破産を申請するに至った。「マーリン」「メトロ」の新型主翼の製造を担当し、「メトロ」の販売代理店でもあったフェアチャイルド・インダストリーは、1972年2月に90%出資の子会社スウェアリンジェン・アビエーションを設立し、スウェアリンジェン・エアクラフトの資産を取得、事業を引き継ぐことになった。 1975年には、機内システムの改修、客室窓の変更(丸形→四角形で大型化)、騒音低減のための改良、コックピット周りの改修、オプションでロケット補助推進離陸装置(RATO)の装備、などの変更がなされた「SA226-TC メトロII」が登場。また、生産再開から続けられてきた効率化による生産性向上もあり1975年には損益が黒字転換、経営が軌道に乗るようになった。1978年頃にはアメリカ国内で12社が導入し、またヨーロッパでも導入例があるなど、コミューター機市場でのシェアの約半分を占め、このクラスのコミューター機では代表的な機種となっていた。 アメリカで1978年に航空規制緩和法が制定され、その一環として、「コミューター機(乗員用19席以下)の最大離陸重量12,500ポンド(5,670kg)制限」が、1980年から10年間限定で撤廃されることとなった(特別連邦航空規則14)。この規制の変化に対応し、1980年には、エンジンを高出力の「ギャレットTPE331-10」(出力:671kW=900shp)に変更し、最大離陸重量を6,001kg(13,230ポンド)に引き上げた「SA226-TC メトロIIA」を開発。続いて同年、主翼を大型化し、新型高出力エンジン「ギャレットTPE331-11」(出力:ドライ時746kW=1,000shp、ウエット時820kW=1,100shp)に変更し最大離陸重量を6,577kg(14,500ポンド)まで引き上げた「SA227-AC メトロIII」の型式証明も取得。また、「メトロIII」をベースとした貨物専用機「SA227-AT エクスペディター」が誕生した。1985年には、当時のギャレットTPE331エンジンが抱える問題点を回避する観点より、エンジンをプラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6Aに変更した「SA227-PC メトロIIIA」の型式証明を取得するも、ギャレットTPE331エンジンの問題点が解消されたため、販売には至らなかった。1980年代も「メトロ」の生産・販売は順調に推移、1987年末では世界で50社370機が定期運航されており、アメリカ製ターボプロップ機では最も使われていた機体であったとされる。 1987年、「メトロIII」を連邦航空規則(英語版)パート23規格に適合させた「メトロIV」、胴体延長、室内高拡大(「立ち上がれる客室」)、動翼改良、T字尾翼化などを施した「メトロV」の開発計画を発表。また、この頃、主翼新製や高出力エンジン導入による高速化を図る「メトロVI」の構想もあったが、1989年に「メトロV」「メトロVI」開発は打ち切りとなった。 1988年からは、一般輸送・要人輸送・麻薬取締・各種哨戒などの用途として、「メトロIII」ベースの改変機をアメリカ軍(空軍州兵、陸軍州兵)に納入しており、「C-26(英語版)」と呼ばれている。 1989年、「メトロIII」をベースに、客席6席追加(19→25席)のために機体後部の荷物室を胴体下部の外部ポッドに移行するなどした「メトロ25」の開発計画を発表、試作機で初飛行も行った。また「メトロ25」をターボファンエンジン化した「メトロ25J」の構想もあった。1990年2月、GMFインベストメンツ傘下となっていた製造元フェアチャイルド・エアクラフトが連邦倒産法第11章手続きを申し立て、フェアチャイルド・アクイジション傘下で生産が再開されるが、「メトロ25」計画、「メトロ25J」構想は凍結となった。 1990年6月、「C-26」に盛り込まれた各種システム改善、燃費改善のためのエンジン変更、大型フラップ搭載などの改修も織り込み、最大離陸重量を7,484kg(16,500ポンド)に引き上げた「メトロIV」が連邦航空規則パート23規格で型式証明(SA227-CC、SA227-DC)を取得、「メトロ23」と名付けられた。また、電子飛行計器システム(EFIS)、デジタル式自動操縦装置を装備した「メトロ23E」(1996年納入)、より多くの荷物を収容するための外部ポッドを胴体下部につけた「メトロ23EF」も設定された。 1996年ごろ、機内で人が立ち上がれる「ビーチクラフト 1900D」と同等の室内高(1.8m=71インチ)をもち、主翼を再設計するという新型「メトロ」を計画しており、同年5月には展示会にてモックアップを展示した。一方、同年、フェアチャイルド・エアロスペースはドイツの航空機メーカー・ドルニエを買収、「ドルニエ 228」(ターボプロップ双発、乗客19席)、「ドルニエ 328」(ターボプロップ双発、乗客約30席)が生産ラインナップに加わり、また「ドルニエ 328JET(英語版)」(ターボファン双発、乗客約30席)が開発中の状況であった。かかる状況下、1997年、新型開発は「328JET」に集中することになり、新型「メトロ」は凍結されることとなった。 1999年に生産を終了、2001年に「SA227-DC-904 メトロ23」が納入され、これが「メトロ」シリーズ最後の納入機体となった。シリーズ全体累計で約700機生産された。 2002年、フェアチャイルド・ドルニエは破産を申請、元フェアチャイルド航空部門はM7エアロスペース(英語版)が買収し、「マーリン」「メトロ」の型式証明を保持、メンテナンス等を行っていた。2022年、アメリカで航空機部品製造、航空機整備を行っているオンティック(Ontic)が、M7エアロスペースから「マーリン」「メトロ」事業を買収した。
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