ドルニエ 228とは? わかりやすく解説

ドルニエ 228

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/10 23:41 UTC 版)

ドルニエ 228

Aerocardal英語版によるドルニエ 228の離陸

新中央航空のドルニエ 228

ドルニエ 228 (Dornier Do 228) は、ドイツドルニエ社により開発された短距離離着陸性能に優れた双発ターボプロップ旅客機である。

2002年ドルニエ社経営破綻したことで生産はストップしていたが、2010年より、型式証明を保有していたドイツのRUAG エアロスペース社ドイツ語版がDo 228NG(NEW GENERATION/新世代)の名で生産を再開した。 日本国内では新中央航空が現在運行している。

また、インドヒンドスタン・エアロノーティクス社 (HAL) がインド軍向けにライセンス生産を行っている。

経緯

1970年代にドルニエ社は新しい形状の層流翼(TNT翼)を開発し、Do 28を改造してこの新しい翼を試験した(これは後にDo 128となる)。

次にドルニエ社はTNT翼のための新しい機体、15人乗りのE-1と19人乗りのE-2の2機を開発した。E-1は1981年3月21日、E-2は1981年5月9日に初飛行を行い、E-1はDo 228-100、E-2はDo 228-200と名を1982年2月にDo 228が初めての航空路に就役した。日本で同機種を最初に導入したのは日本エアコミューターであり、1983年12月10日に運航を開始した。

1983年、HAL社がライセンス権を購入。ドルニエ社だけでなくHAL社でも生産されることになった。1996年にはドルニエが合併し、フェアチャイルド・ドルニエとなったため、フェアチャイルド・ドルニエが販売と生産を引き継いだが、より優れたDo 328に生産ラインを譲るためDo 228の生産は1998年に終了した。

しかし、同型機サイズの新機材を求める需要の高まりもあり、2010年より型式証明を引き継いだRUAG エアロスペースがコックピットの電子化、プロペラブレードを5翅にするなどの各所改修を行った機体を型式名Do 228-212NGとして生産を再開、日本新中央航空が最初の同型機の導入会社(ローンチカスタマー)となった。

日本における代理店は航空専門商社の双日エアロスペースである。

なお、Do 228は民間機の他にも軍用機や沿岸警備用としてヨーロッパアフリカ、アジアの及びコーストガードに採用されている。

日本での運航歴

エアァシェンペクス ドルニエ Do 228(JA8866)
丘珠空港にて撮影
新中央航空 ドルニエ Do 228NG (JA34CA)
大島空港にて撮影
  • 2001年(平成13年) - 壱岐国際航空が元日本エアコミュータで運用された機体 (JA8835) にて、福岡 - 壱岐線を運航開始 (11/22)
  • 2002年(平成14年) - 新中央航空、2機目を購入 (JA32CA)。壱岐国際航空、福岡-壱岐線を運航休止 (1/16)
  • 2005年(平成17年) - 元日本エアコミュータの機材 (JA8835,JA8836,JA8866) が全て登録抹消(国外への売却による)
  • 2006年(平成18年) - 新中央航空、3機目を購入 (JA33CA) 。これで新中央航空の定期便が全てDo 228での運航になった
  • 2011年(平成23年) - 新中央航空、4機目を購入 (JA34CA)新中央航空からブリテン・ノーマン アイランダーが引退。世界初のDo 228NGを導入
  • 2014年(平成26年) - 新中央航空、5機目を購入 (JA35CA)尚、Do 228NGとしては同社2機目であり、2013年6月に行われたパリ航空ショーで新中央航空は同社が所有するDo 228-212型機を最新型のDo 228NG型機へ順次機材更新する予定であることを表明した
  • 2016年(平成28年) - 新中央航空、6機目となるDo 228NG機に登録記号(JA36CA)を予約した。 一方、2016年7月に行われたファーンボロー国際航空ショーでRUAGアビエーションは日本における代理店の双日エアロスペースとDo 228NGの販売に合意したと発表。この機材は新中央航空に2016年末に引き渡し予定との発表があった。2016年12月14日、RUAGアビエーションは機体を納入したと発表した[1]
  • 2019年令和元年) - 新中央航空、7機目を購入(JA37CA)
  • 2023年(令和5年)
    • 1月 - 新中央航空、8機目を購入(JA30CA)
    • 3月 - 新中央航空、1機登録抹消(JA36CA)
  • 2023年(令和6年)2月 - 新中央航空、1機登録抹消(JA31CA)

2011年より、新中央航空はプロペラが5枚となるなど運行効率の向上した新型機材、Do-228NG (Dornier 228 New Generation) を世界で初めて導入し、供用を開始している。長期に渡って利用されていたアイランダー(座席数9、所要時間45分)は2011年3月31日をもって退役し、竜ヶ崎飛行場へ移管された。ANAが運行していた羽田~三宅島便が新中央航空へ移管されたのに伴い、東京都と国の補助を受けて新たに1機を購入したのち、現在は、Do-228が1機、Do-228 NGが4機の体制となった。

このほか、格安航空会社の「エアァシェンペクス」が、元日本エアコミュータのJA8835とJA8866を運用したが、資金不足により、実際に就航することはなかった。後身となるエアトランセは、与圧キャビンを備えるビーチクラフト1900Dへ使用機材を変更したため、これらの機材は海外へ売却されている。

運用国

軍用

諸元 (Do 228-212)

  • 乗員:2名
  • 乗客:19名
  • 機体長:16.56 m
  • 翼幅:16.97 m
  • 機体高:4.86 m
  • 翼面積:32.00 m2
  • 乾燥重量:3,258 kg
  • 最大離陸重量:6,400 kg
  • エンジン:ハネウェル製TPE331-10GP-511D型, 560 kW (776 馬力) × 2
  • 最高速度:434 km/h
  • 航続距離:1,037 km
  • 実用上昇限度:7,534 m (25,000 ft)
  • 上昇率:570 m/min (1,870 ft/min)

出典・脚注

  1. ^ “RUAGアビエーション、新中央航空にドルニエ228を納入 「JA36CA」” (日本語). Fly Team. (2016年12月16日). https://flyteam.jp/news/article/73117 2017年1月8日閲覧。 
  2. ^ IISS 2024, pp. 250.
  3. ^ a b IISS 2024, pp. 97.
  4. ^ IISS 2024, pp. 268–270.
  5. ^ IISS 2024, pp. 355.
  6. ^ IISS 2024, pp. 107.
  7. ^ IISS 2024, pp. 314.
  8. ^ IISS 2024, pp. 502.
  9. ^ IISS 2024, pp. 514.
  10. ^ Gabriel Dominguez (2021年2月9日). “Royal Thai Navy's Dornier 228 maritime surveillance aircraft undergo upgrade”. janes.com. 2025年4月1日閲覧。
  11. ^ IISS 2024, pp. 320.
  12. ^ IISS 2024, pp. 456.

参考文献

  • The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7 

関連項目


ドルニエ 228

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 23:19 UTC 版)

日本エアコミューター」の記事における「ドルニエ 228」の解説

3機(JA8835,JA8836,JA8866)が1983年12月10日1995年9月30日のあいだ登録運航された。旅客定員19席で客室乗務員乗務がなく、未与圧機なので高い高度での運用出来ないため就航率が低かった退役保管後、暫く壱岐国際航空国内他社使用されたが現在は国外売却されている。

※この「ドルニエ 228」の解説は、「日本エアコミューター」の解説の一部です。
「ドルニエ 228」を含む「日本エアコミューター」の記事については、「日本エアコミューター」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ドルニエ 228」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「ドルニエ 228」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ドルニエ 228」の関連用語

ドルニエ 228のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ドルニエ 228のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのドルニエ 228 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの日本エアコミューター (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS