モビルスーツ モビルスーツの概要

モビルスーツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 20:32 UTC 版)

ほとんどの場合、高さ20メートル前後の有人操縦式の人型機動兵器のことを指す。また、題名に「機動戦士」を冠する作品においてはその英訳としても使用される。

設定の経緯

『機動戦士ガンダム』の初期の企画「フリーダム・ファイター」では、前作に当たる『無敵鋼人ダイターン3』や『無敵超人ザンボット3』のようにロボットを登場させる予定はなかった。しかし、スポンサーのクローバーからの要請により、仕方なくロボットを出すこととなった(詳細は「機動戦士ガンダム#企画の経緯」を参照)。それでも今までのような巨大ロボットにはしたくないと考えていたところ[1]、設定協力として関わっていた[2]スタジオぬえ高千穂遙からロバート・A・ハインラインSF小説『宇宙の戦士』に登場する宇宙強化服「パワードスーツ[注 1]を提示され、すぐにメカニックデザイン担当の大河原邦男に「そんな感じで」と依頼した[1]。なお、『宇宙の戦士』はパワードスーツだけでなく、「SFとは何か」ということを研究する題材にもされ、ロボット的な兵器を運用するのにも兵站が必要であるといったリアルさが活かされたという[3]

宇宙での戦闘であれば、まずは長距離戦で始まり、その後は中距離戦、最後には白兵戦となることが想定され、それぞれに特化した3機種がデザインされた。「重機甲型機動歩兵」「重砲兵型機動歩兵」「突撃攻撃型機動歩兵」と仮称された3機種は、それぞれガンタンクガンキャノンガンダムの原型となった。また、宇宙時代の兵器・兵隊であることから「銃」をもたせることにこだわったという[1]。なお、敵メカであるザクは総監督の富野喜幸によるラフデザインはあったものの、当時は主役メカ以外は商品化されることはなかったため、スポンサーの注文もなく大河原が自由にデザインしたという。ただし「モノアイ(単眼)」は富野の要望により取り入れられた[4]

名称は、当初「パワードスーツ」をそのまま使う案もあったが訴訟の懸念もあり、すでに決定していた「機動戦士」という単語の「機動(モービル)」に「スーツ」を付け、間延びを解消するために縮めて「モビルスーツ」とされた[1]。この名称は、富野が自分で造ったと高千穂遥との雑誌対談で述べている[5]

サイズは、当初はパワードスーツと同様に2.5メートル程度が想定されたが、子供にアピールできないとして大型化された。18メートルという身長は、元祖巨大ロボットであるマジンガーZに戻しただけであるが、当時はコン・バトラーV(57メートル)やダンガードA(200メートル)などさらに巨大なロボットが主流であったため、兵器として十分リアルに思えるのではないかと考えられた。また、ほかのメカとの兼ね合いで「絵」として見せられる限界の大きさでもあった[1]

また、MS同士が同じ画面の中で戦う理由付けとして、レーダーを使用不能にするミノフスキー粒子が設定された。

これまでの巨大ロボットでは、多くの場合コックピットが頭部にあったが、MSのコックピットはほとんどが腹部にあるとされた。これについて、『機動戦士ガンダム』の設定考証を担当したスタジオぬえの松崎健一は、「人型」にともなう重心位置の関係で、運動しているときに一番動きの少ない部位であるからとしている。ただし一方で、敵から見た場合には狙いやすく、頭部と腹部のどちらがよいのかは実際にMSを造って乗ってみないと分からないと述べている[6]

モビルスーツの性能といえば現在ではエンジンである核融合炉の出力(=パワー) を表す「ジェネレーター出力」、ロケット噴射などの推進力(=移動力)を現す「スラスター推力」などが代表的なもので、その他にも「センサー有効範囲」、「全高·頭頂高」などがある。 実は、これらの設定は最初から存在していたわけではなく、「機動戦士Zガンダム」ではじめて登場したものである。「機動戦士ガンダム」が制作されていた頃には、作品世界観の考証は、裏設定という形で存在したが、モビルスーツ単体の性能の設定を作ることはそれほど重視されておらず、「最高出力2万5千馬力」や、「地上最高歩行速度100キロ」 といったような、子供向けの本や玩具用の設定が一応作られていた程度だった。しかし、高校生~大学生といった高年齢層であったガンダムのファンたちはそれでは飽きたらず、放映終了後もムック「ガンダムセンチュリー」(みのり書房刊)などをはじめとして積極的にあらゆる設定の考証がなされ、ガンダムを語る上での一つのジャンルとなっていった。このような状況で、よりリアリティのある再デザインされたのが『Zガンダム』という続編を作ってからだった。MSの「出力」に関する数値設定も「kW」という単位で再創作された。それ以降、ガンダムシリーズの他の作品でもモビルスーツのスペックにはより細分化されているが、概ね『Zガンダム』で作られたスペック項目をベースに作成されている[7]

宇宙世紀のモビルスーツ

『機動戦士ガンダム』をはじめとする「宇宙世紀」を舞台とする作品において、モビルスーツの「スーツ (SUIT)」は "Space Utility Instruments Tactical"(戦術汎用宇宙機器) の略とされる[8][9][注 2]。なお、モビルスーツという名称に対して、人間が着用する宇宙服全般(パイロットスーツ含む)は「ノーマルスーツ」と呼称する[12]

宇宙世紀0065年、サイド3スペース・コロニー国家であるジオン公国において、レーダーや誘導兵器を使用不能にするミノフスキー粒子の特殊効果が発見される[13]。公国軍は0071年に同粒子の散布下における新型兵器の開発に着手[14]、国防省は各兵器メーカーに対して開発を命じている[15][注 3]。いくつかのシステムが提示されるが、要求性能を満たすのはジオニック社のZI-XA3と、MIP社のMIP-X1のみであった[15]。「人型」であるZI-XA3は、テストを視察したギレン・ザビの冷笑を買ったともいわれるが、総合性能においてMIP-X1を凌ぎ、国防省はZI-XA3の採用を決定する[15]。0073年に[14]「モビルスーツ」の呼称とMS-01の型式番号を与えられ、表向きは新型の宇宙用作業機とされるが、引き続き実戦タイプの開発が命じられる[15]。開発の要点として、単機での一定の作戦行動時間の維持、移動に関わる動力供給と配置バランス、四肢の稼働をより円滑におこなうための補機設計に絞られる[16]

0074年2月、ジオニック社は実戦型MSであるザク (I) の試作型をロールアウト[14]。翌0075年の制式採用試験においてツィマット社のヅダを下している(OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO』より)。ザクIの実用試験を観覧したギレンは、「これこそ今のジオンに必要な兵器だ」と叫び、心の中で開戦を決意したといわれる[18]。0078年1月には改良型であるザクIIの量産が開始され[14]、翌0079年1月からのジオン独立戦争(一年戦争)の緒戦において当時の主力兵器であった宇宙戦艦を圧倒し、目覚ましい戦果を挙げる。

一方、コロニーを含む地球圏を統治する地球連邦軍においても、一年戦争以前から公国軍の新兵器の漠然とした情報をもとに、その対抗兵器の開発などを目的とした「RX計画」が進められるが[19]、首脳陣に軽視され遅々として進んでいない[18]。一年戦争緒戦での公国軍MSの威力を目の当たりにした首脳陣は、研究途上のMSの開発および実戦投入を早々に決定[19]。0079年4月に発動した[14]V作戦」の一環として本格化し[20]ガンタンクガンキャノンを開発、そして7月にはガンダムの試作1号機がロールアウト[14]。公国軍と比べて非常に短期間で高性能な実用機を完成し得た背景には、以前からのMSに必要な技術の蓄積や、それを支える経済力に優れていたこと、また戦争に反対する何人かの公国軍MS技術者の亡命・協力が挙げられている[21]。その後、ガンダムの簡易型であるジムが大量生産され、一年戦争における連邦軍の勝利に貢献する。

初期のモビルスーツ

黎明期の機体

XC
バンダイのアンソロジーコミックサイバーコミックス01.』(1988年)および『ガンダムジェネレーション1』(1990年)掲載の年表および漫画「STAMPEDE ミノフスキー博士物語」に登場(型式番号:X-91)。
宇宙世紀0050年にアメリカ航空宇宙局 (NASA) が開発したとされる人型機動兵器で、AMBACシステムのテストベッドとされ、航空機を人型にしたような外観である。頭部はザクIIに似ており、AMBAC制御により推進剤をほとんど消費しないためステルス性が高いとされ、のちにジオン軍に接収されたといわれる。なお、機体名称のXCは「ザク」と読み、ザクの名はここから取られているという。
MS-00
『サイバーコミックス』01.および『ガンダムジェネレーション1』掲載の年表に登場。
MS-01のテストベッドとされ、NASAから接収したXCのメカニズムを大幅に流用しているという。
大型二足歩行機
バンダイ発行の書籍『MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集』(1990年)に登場する「コケるMS」のこと。オートバランサーの不良によって転倒する姿が捉えられている。名称は漫画『Developers 機動戦士ガンダム Before One Year War』巻末付録の年表により、宇宙世紀0070年5月のことであるとされる。
ZI-XA2
エンターブレイン発行の雑誌『G20 volume.2』に登場。ジオニック社の、のちにZI-XA3となる機体とされるが、腕部が未完成のため、代わりにバランサーウェイトを装備している。全高および頭頂高13.5メートル、重量15.5トンとされる[22]
AMBACシステム採用の機動兵器
メディアワークス発行の書籍『機動戦士ガンダム MS大全集2003』に掲載[23]
ジオニック社が試作していた機体で、人型ではないがAMBAC制御用の腕状の可動肢2基を有し、スラスターを用いずに180度回頭することが可能。また、機首(頭部)にはモノアイに近い構造が見られる。
なお、本機はムック『ガンダムセンチュリー』でAMBACの姿勢制御概念図上に描かれた機体と類似する。

クラブマン

諸元
クラブマン
型式番号 ZI-XA3 / MS-01
全高 13.5m[22]
頭頂高 13.5m[22]
重量 17t[15]
出力 2,200馬力[15]

『ガンダムセンチュリー』の文字設定が初出で、名称は旭屋出版発行の書籍『機動戦士ガンダム 劇場用アニメ第1作 フィルムコミック』による[24]。外観は「初期のMS」としてそれらしいイラストがいくつか発表されているが、いずれも前出の大型二足歩行機をイメージソースとしている。明確にZI-XA3/MS-01とされたものとしては、ムック『G20 volume.2』でモデラーの東海村原八がZI-XA2アーリー・ザクとともにデザイン・立体化したものがあり[22]。分冊百科『週刊ガンダム・ファクトファイル』でもこれをもとにしたイラストが掲載された(イラスト:木下ともたけ)[17]

ジオニック社が建築作業用補機として製造する外骨格人型重機をベースに全高10数メートルの人型装甲作業機のプランを提出、承認と同時に試作機の開発を開始する[16]。構想から5年[25]、研究開始から2年後の[23]宇宙世紀0073年[14]1月[26]に完成。MIP-X1との性能テストでは、宇宙空間での性能こそ一歩譲るものの、アステロイド要塞、月面およびコロニー内において高性能を示し、総合性能では既存の宇宙戦闘機や陸戦兵器をも凌駕しており[15]、MS-01として採用される。一方で、ZI-XA3は空間作業機として開発され、これに高出力エンジンを取り付けフレームを強化、バーニア・スラスターと火器管制システムを追加して新兵器としたものがMS-01 クラブマンであるとする資料もある[24]

MSとしての機構はこの時点でほぼ完成しているが、核融合炉の小型化が間に合わず、既存の小型核融合炉を流用している(核分裂型の原子炉ともいわれる[15])ため、本体に収まりきらずに背面にはみ出すような形となっている[17]。実験機の領域を出るものではなく、ジオニック社はサイド3や月などの関連企業や下請け会社に改良をおこなわせるなどして技術の向上を図っていく[27]

漫画『Developers 機動戦士ガンダム Before One Year War』に登場する作業機器建造会社ホシオカは本機の開発に携わっており、その際の余剰パーツで製造した2機を自社の作業機として運用している。外観は大型二足歩行機との共通点はなく、胴体が球形に近く頭部をもたない。動力は外部電源式で、背部からケーブルが伸びている。

MS-02

『ガンダムセンチュリー』の文字設定が初出。ジオニック社が制式発注後、機動性能の向上を目指した試作機[15]

MS-03

『ガンダムセンチュリー』の文字設定が初出。

MS-02と並行して開発される[28]。装甲の強化および耐G性能の向上などの改良が施され、実戦用MSとして宇宙世紀0074年2月に試作1号機が完成するが、重装甲により重量が28トンとMS-01の倍近くに増加し、機動性はMS-02の6割にも満たず、軍の要求性能には達していない[15]。製作途中の試作3号機は徹底的な軽量化が図られ、コックピットの脱出システムを廃止、機体はモノコック構造に変更されるが、性能はいまだ不十分とされる[15]。最終的に、用途別に4機が製造されている[28]。本機の時点でほぼ人型の容姿をもち[16]、のちのMSとしての概形はできあがっている[28]。初期の軍の戦史に本機の実用試験の記録が残っており、高コストであることと1機に必要な人材の数を除けば、兵器としての攻撃能力は高く評価できるという[28]。一方で、兵器として運用するための(格闘戦も視野に入れた)機体強度、および奇襲作戦展開後の拠点構築や兵站確保のための重機としての能力や、人間同様の火器の分解・組み立てといった精密作業にも対応しうるマニピュレーターの高精度化も求められる[16]

MS-04

『ガンダムセンチュリー』の文字設定が初出。要求に対して性能が十分でないと見なされたMS-03に、新型熱核反応炉の搭載をはじめとする改良を加えたもの[15]

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』における初期のモビルスーツ

一部設定が改変された漫画・アニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、黎明期のMSとしてこれまでと異なる機体が新たに設定された。

モビルワーカー01式

諸元
モビルワーカー01式
MOBILE WORKER MODEL 01
型式番号 MW-01[29]
全高 16.7m(初・後期型[29]・土木重機型[30]
頭頂高 13.88m(初・後期型)[29]
13.9m(コロニー塗装仕様)[30]
15.0m(最後期型)[31]
全幅 14.6m(初・後期型)[29]
14.4m(土木重機型)[30]
63.1m(コロニー塗装仕様)[30]
11.4m(最後期型)[31]
搭乗者 オルテガ(初期型)
マッシュ(後期型)
ランバ・ラル(後期型)
シャア・アズナブル(土木重機型)

地球連邦政府との独立戦争を視野に入れたジオン自治共和国の新兵器開発の、数種のプロジェクトのひとつである[32]「MS」の前身となる人型機動兵器の初期試作実験機で[29]ドズル・ザビ大佐(当時)の主導で開発が進められる。月面開発用の作業機械に偽装する目的から、モビルワーカー (MW) を名乗っている[29]。核融合炉の小型化に難航したため[29]、胴体部がのちのMSよりもかなり大きく、足の短さとあいまってずんぐりした体型をもつ。

漫画版では型式番号を "MS-01" とする資料もあったが[33]、作中ではMSとは呼ばれない。アニメ版では "MW-01" という型式番号とされ、下記のバリエーションが設定された。

初期型 (EARLY TYPE[34])
宇宙世紀0071年にダーク・コロニー内で開発された機体[29]。頭部カメラに以降の公国系MSにも引き継がれるモノアイが設置されているが[32]、コックピットはフレームのみでむき出しになっている[29]。右腕は巨大なクロー、左腕は人間の手に近い5指のマニピュレーターが採用され、防弾用のシールドなどを携行する[29]オルテガが搭乗し、ガンタンク初期型との戦闘試験で勝利する。
後期型 (LATE TYPE[34])
パイロット保護のため、コックピット周りが変更されている[29]。前腕部はアタッチメント式になっており、さまざまな専用作業パーツへの換装が可能[29]マッシュが搭乗する機体と、青いランバ・ラル機によって格闘実験がおこなわれる。
土木重機型[32] (HEAVY CONSTRUCTION TYPE[35])
後期型はのちに作業機械として実用化されており[33]、ジオニック社から地球へリース契約で提供されている[32]。下半身は不整地での安定した作業のために履帯ユニットに換装され、両前腕にブレードを装着し、大規模整地作業などで活躍する[32]ジャブローの建設工事で、一時的に軍を除籍となったシャア・アズナブルが搭乗する。ほかに、漫画版では左腕は原型機と同じマニピュレーターのまま、右腕をクレーンに換装したタイプの設定画も描かれているが[33]、作中には登場しない。
コロニー塗装仕様[32] (COLONY COATING TYPE[30])
ブリティッシュ作戦用の特別仕様で、両前腕にスペース・コロニー外縁の採光部に耐熱コーティングをほどこす装置を装着[32]、下半身は6つの転輪をもつ。コロニーの遠心力で飛び出さないよう、両肩のベルト・テンショナーにワイヤーのベルトを固定して作業をおこなう(アニメ版のみ)[32]
最後期型 (FINAL TYPE[30])
これまでの実働データやパイロットの意見を反映させた改良機[31]。コックピット周辺の胸部装甲を増加させ、肩の可動域拡大や脚部の延長によるバランス調整がなされている[31]。従来機よりも人体に近い機動性を得ている一方で、核融合炉の小型化は依然として達成できていないため、兵器としての採用は見送られる[31]
最後期型 宇宙仕様 (FINAL TYPE (SPACE TYPE)[30])
宇宙空間用に、姿勢制御スラスターとバーニアを増設した機体[31]。兵器としては欠陥機ながらも作業機としての実用性は高かったため、コロニーの建設作業や修理[32]、ジオン自治共和国周辺宙域のデブリ回収などに用いられる[31]。作業時の稼働データは、そのままMSの開発にも活かされる[31]
MS-02(『THE ORIGIN』漫画版)

漫画版のみに登場。アニメ版のMW01式 最後期型に当たる機体で、デザインの多くが流用されている。

抜き打ちでダーク・コロニーの開発現場を視察したギレン・ザビは、本機のMS実用化にほど遠い現状を見て開発中止を命じるが、トレノフ・Y・ミノフスキー博士からの説得を受け、撤回する。

ヴァッフ

諸元
ヴァッフ
WAFF
型式番号 YMS-03[31]
頭頂高 17.34m[31]
全幅 8.8m[31]
武装 試作型MS用バズーカ[36]
シールド[36]
ヒート・ホーク[36]
搭乗者 マルク・カルデン

漫画版で1コマのみ登場した機体をもとに、アニメ版で設定が起こされた機体。名称は「武器」や「武具」を意味するドイツ語「Waffe」に由来する[31]

ミノフスキー博士が開発した小型の動力用融合炉と流体パルス駆動システムを初めて採用した試作機で、MSの本懐である高い機動性と運動性を実現している[31]。融合炉の位置は、胸部のコックピットの真下、腹部から股間部にかけての下半身に搭載されている[注 4]。融合炉と背部のランドセルは、腹部前面から延びる動力パイプで繋がっている。両腕は後期型以降のMW01式と同規格のアタッチメント構造になっており、さまざまなユニットの換装実験が行われた[31]

本機の完成からほどなくして、より実戦的な後継機の開発が開始されたため、制式採用されることなく少数生産にとどまる[31]

おおのじゅんじによるスピンオフ漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』では、宇宙世紀0077年にブグとともに実証試験がおこなわれる。パイロットのカルデン少尉の造反によりブグと交戦するが、砲台からの直撃を受け撃破される。

ヴァッフ強行偵察型

漫画『THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』に登場(形式番号:YMS-03[37])。

MSの機動性を戦略的偵察に活用すべく開発された機体[38]。頭部と両肩に高精度カメラが設置され、右前腕のアタッチメントはカメラ・ガンに換装されている。本機の装備と運用データはのちにザク強行偵察型にも反映される[38]。塗装はダーク・ブルーを基調とする。

サッシャ・キッツ試験操縦士が搭乗し、宇宙世紀0077年のブグとヴァッフの実証試験の録画をおこなう。

MS-03(『THE ORIGIN』漫画版)

漫画版用に大河原がデザインした(設定画は『THE ORIGIN 公式ガイドブック2』に掲載された)が、本編ではMS-02の視察に来たギレンを説得するミノフスキー博士の心象にのみ登場(その時点では未完成であるため)。得心したギレンがMS-03としての制式化を告げ、早期の完成をうながす。MS-02と比べ頭身が高くなり、熱核反応炉、流体パルスシステムおよびAMBACシステムが採用されたとされる。

ブグ

諸元
ブグ
BUGU
型式番号 MS-04[39]
頭頂高 17.5m[39]
全幅 9.3m[39]
武装 MS用マシンガン[40]
ヒート・ホーク[40]
シールド[40]
MS用バズーカA2型[41]
ザクII用シールド×2(ククルス機)
搭乗者 ランバ・ラル
ククルス・ドアン

漫画版での名称は「プロトタイプザク」であったが[33]、アニメ版で変更された。その名称は宇宙世紀0223年を舞台とする『G-SAVIOUR』に登場するセツルメント国家議会軍の主力MSと同一である。

ジオニック社がヴァッフに続いて開発した機体で[40]、ヴァッフの運用データをもとに、より実戦的な改修が加えられている[39]。ヴァッフでは内装されていた両肩と両膝の動力パイプを外装式としたことで、各駆動部へのエネルギー供給量が増加し、高い運動性を実現している[39]。ヴァッフ以前の機体に採用されていた両腕のアタッチメント機能は、戦況に応じた武装をマニピュレーターで携行するほうが実戦的であるという理由から削除されている[42]。武装はヒート・ホークと携行式のシールドに加え、のちのプロトタイプグフや連邦軍の局地型ガンダムにも採用される八洲重工製MS用マシンガンを装備する[40]ア・バオア・クー宙域で実証試験がおこなわれ[43](このときの映像は連邦軍の手にも渡っている)、テストパイロットからの評価は高かったが、製造コストが高く量産には不適であり[39]、さらに運用面での問題も報告されたため[43]、ある程度の性能低下と引き換えにコストを抑えたザクIに主力の座を譲る[39]

月面で行われた地球連邦軍とジオン軍による史上初のMS戦「スミス海の戦い」において、ランバ・ラルが青く塗装された本機に搭乗し、シャア・アズナブル黒い三連星が搭乗するザクI 4機とともに、鉄騎兵中隊のガンキャノン最初期型12機を全滅させる。一年戦争開戦時のサイド2「ハッテ」の戦いでも、ラルは引き続き本機に搭乗する[41]

漫画『ククルス・ドアンの島』では、宇宙世紀0077年にククルス・ドアン少尉(当時)がオレンジと白を基調とした機体に搭乗し、数々のテストをおこなう。一年戦争の緒戦においてはザクIIのシールドを両肩に装備、MS用バズーカA2型を携行し、Y-02特務小隊の隊長機として出撃する。末期のア・バオア・クー防衛戦では、同様の塗装・装備の機体に同隊のカルカ軍曹が搭乗し、ザクI・スナイパータイプのビーム・スナイパー・ライフルを携行する。腕部はザクIIのものに換装され、右肩のシールドにライフルのジェネレーターとなるスナイパータイプのランドセル、左にスペアの砲身を収納したケースをマウントする。

モビルスーツの世代別分類

第1期モビルスーツ
一年戦争において、宇宙世紀における主力兵器の座を確立したMSは、その後も発展を続けていく。以下に述べる第5世代までのMSを、その後の第2期MSに対して「第1期MS」と呼ぶ[44]
第1世代モビルスーツ
のちの第2世代MSの登場に際し、それ以前のMSが分類されたものである[45]。機体構造は、ジオン公国軍が開発したMSは(フレームレス・)モノコック、連邦軍のMSはセミ・モノコックを採用している[46]。後者のほうがやや構造重量が大きいものの、装甲板がいくつかの共通パネルに分割されているため、交換が容易である[46]
装甲材は、公国軍MSはおもに超硬スチール合金(「超高張力鋼」とも呼ばれるが、前者に名称統一されている[47])が使用されているが、連邦軍のV作戦によって開発されたMSにはより堅牢なルナ・チタニウム合金が採用され、同機体群の高性能化の一端を担っている。しかし、量産には向かない材質であるため、ジムなどほかの機体にはチタン・セラミック複合材が使用されている[47]
第2世代モビルスーツ
ルナ・チタニウム合金の改良型である新素材、ガンダリウムγが用いられたMSで、0080年代半ばにアナハイム・エレクトロニクス (AE) 社が開発したリック・ディアスがその祖とされる[45]。これにより機体の重量および剛性の問題が解消され、高性能のジェネレーターやスラスターの搭載を可能としている[45]。また、同時期に実用化されたムーバブルフレームという装甲とフレームを完全分離した機体構造、および全天周囲モニター・リニアシートというコックピット・システムの導入を条件とする資料もある[48]。0087年から0089年にかけて実戦投入され、総生産数は4,000機を超えるとされる[49]。以降もジェガンなどが、総力戦の主力として不可欠な地位を占めている[50]
第3世代モビルスーツ
第2世代MSの条件を満たしつつ[48]、可変モビルアーマーでつちかわれた技術をムーバブルフレームを利用してスケールダウンした可変モビルスーツを指す[51]。単に可変機能だけでなく、第2世代MSをすべての点で上回ることから分類される[51]。開発の難しさとコストの問題から多くは作られなかったとされ、開発されても実戦投入されなかった機体が相当数あるといわれる[48]
第4世代モビルスーツ
飛躍的に出力の向上した熱核反応炉と[52]、メガ・コンデンサーによる直結型メガ粒子砲[53](ハイ・メガ・キャノン[52])を搭載したニュータイプ (NT) パイロット対応MSを指す[52]サイコミュの安全性が高く、高度なNT能力をもたないパイロットにも操縦可能な点も条件として挙げられる[52]ネオ・ジオン軍が開発したドーベン・ウルフゲーマルクを代表に[52]、0088-0089年の第一次ネオ・ジオン抗争後半に登場する大型MS群がこれに該当する[48]。敵対するエゥーゴ側では、バイオセンサーを搭載したΖΖガンダムがこれに当たるが[52]、同機は第3世代MSの要素も満たしている[53]。第3世代MSと同様に、コストと運用上の問題からそのほとんどがワンメイク機であるが[48]、以降も戦局を決定する戦闘に投入されている[50]。なお、0093年の第二次ネオ・ジオン抗争に実戦参加したνガンダムサザビーは第4世代MSであるとする説と、第2世代MSとする説がある[注 5]
その性能は「怪物」「恐竜的進化」といっていいものであるが、高コスト化と機体の複雑化という問題も露見しており、第一次ネオ・ジオン抗争後には生産性や整備性の面から開発例が激減[56]。主力MSはシンプルな第2世代タイプに回帰している[56]
第5世代モビルスーツ
小型化されたミノフスキー・クラフトを搭載し、非変形での単独飛行を可能としたMSを指す[44]。0105年に実戦投入されたΞガンダムペーネロペーがこれに当たる[57]。大気圏内でのMSの運用を一変させると考えられていたが、破格の高コストや機体の著しい大型化のために普及していない[58]
上記のほか、小説『ガイア・ギア』に登場するゾーリン・ソールは、宇宙世紀0110年にロールアウトした第5世代MSの発展型とされる[59]
なお、第2期MSを第5世代MSに分類する資料もある[60]
第2期モビルスーツ
宇宙世紀0100年代以降、新規に開発された15メートル級の小型MSを指す[44]。宇宙世紀0120年代から少なくとも0150年代までは、第2期MSが主力となっている。開発経緯については、
スペック面の特徴としては、旧来型MSより小型かつ軽量な機体、高出力なジェネレーターとスラスター、旧来機に劣らない火力型MSの兵装などがある。これらによりパワーウェイトレシオ(後述)や姿勢制御バーニアの搭載数では第1期MSを上回っている。結果、第2期MSは旧来型MSと同等以上の火力を維持しつつ、より強力なパワーや機動・運動性を発揮する[61]
技術的には、ビームシールド改良型ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉が標準的装備として普及した他、MCA構造、マイクロハニカム技術、そしてバイオ・コンピューターなどサナリィFシリーズに採用した高度革新技術も次第に標準化されたようである[62]
その後のモビルスーツ
0169年を舞台とする漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』では、コロニー間の紛争状態の長期化によってMSの製造や維持が難しくなっており、既存の第1期・第2期MSの数機種を「ミキシング・ビルド」したものが主流となっている。
0200年代を舞台とする小説『ガイア・ギア』では、モビルスーツに代わって「マン・マシーン」と呼ばれる人型兵器が主流となっている。
0223年を舞台とする実写ドラマ『G-SAVIOUR』ではMSが運用されており、頭頂高は第2期MSよりやや大型の16-18メートル程度となっている。主推進器(スラスター)推力が以前のMSより格段に上昇しており、特殊なシステムを用いずに単独での長時間飛行が可能となっている。また、議会軍の主力MSであるブグには腰部のフロント・アーマーに外装式推進機を追加装備するためのジョイントが設置されている[63]
また、MSを無人機化したモビル・ウェポン (MW) の運用が試みられている。同型のMS(有人機)を隊長機とし、その司令をもとに自律行動をとる[64]。本編ののちの出来事を描いたゲーム版『G-SAVIOUR』に登場するレイブンは、ほぼ完全な単独自律行動がおこなえる。

スペック(諸元)

高さや重量、ジェネレーター出力、スラスター推力といったスペック表記は、その機動兵器の性能傾向を示している。戦闘での優劣に影響を与える数値の一覧ではあるが、勝敗は状況による部分も大きく絶対的な指針ではない[65]

MSのスペックは、基本的には所有する政府や軍が公表しているものだが、公的なアナウンスを行わない傾向にある反連邦組織の所属MSの場合、開発企業や情報を入手した連邦政府(軍)が公表、またはリークすることもある。時代や区分によってスペック表の項目は異なるが、頭頂高、本体重量、全備重量、ジェネレーター出力、スラスター推力、装甲材質、武装はほぼ例外なく公表(リーク)される。スペックは、戦略環境やドクトリンの変化により時代ごとに重視される項目も異なっている。それでも「頭頂高と本体重量は小さく、出力・推力は大きいほどいい」とされるのが一般的である[65]

頭頂高・全高
頭頂高は足底から頭部の先端まで(人間の身長に相当)、全高は頭頂部より高い位置にあるパーツを含む高さである。全高は頭部アンテナなどを含む場合と含まない場合があり、一定していない[65]
頭頂高は被発見率や被弾率に直結する数値である上、重量の大小にもつながるため、小さい方が望ましい[65]
本体重量・全備重量
本体重量はMSそのものの重量、全備重量は戦闘装備時の重量。ザクIIやガンダムのように複数の装備形態がある機体の全備重量は、標準装置時のものとされる[65]
全備重量から本体重量を引いた数値は「ペイロード(積載量)」を示す。この数値が大きいほど重武装か、あるいは作戦行動時間が長い傾向になる。第4世代MSまでは20~30t前後、第2機MSは10前後という例が多い[65]
ジェネレーター出力
ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の出力。非MS機動兵器の場合、旧型核融合炉や燃料電池の出力を示すこともある。この数値が高いMSは、パワーや搭載ビーム兵器の出力に秀でる傾向にある[65]
ΖガンダムやΖΖガンダムといった複数のジェネレーター(反応炉)を備える機体の場合、その合計値が表記されている[65]
スラスター推力
搭載するスラスター群(推進器。通常は熱核ジェット / ロケット・エンジン)の推進力の合計値を表し、「スラスター総推力」とも表記される。スラスター各基の推進力と搭載数が併記される場合もある。機動性や加速力に直結しうるスペック[65]
パワーウェイトレシオ
「出力重量比」とも呼ばれ、ジェネレーター出力を全備重量で割った数値。高いほど効率的にエネルギーを使用できる機体といえる[66]
推力重量比
スラスター推力を全備重量で割った数値で、高いほど機動性や運動性に秀でる[66]。重量1tに対するスラスター推力が1000kgをこえるMSは理論上、1G環境下で飛行可能[65]
Ζガンダムや第2期MSで重視されたスペックで、極めて軽量な第2期MSの推力重量比は、突出して高くなっている[65]
センサー有効半径
ミノフスキー粒子の散布環境下において、センサー類が機能する距離を表す。モノアイなどの光学センサーは、センサー有効半径以上の距離でも機能するが、遠望時は視界が狭くなる。アイザックEWACジェガンといった偵察用MSは、特に高い数値を示す[65]
装甲材質
装甲に使用されるマテリアル。「ガンダリウム合金」や「チタン合金セラミック複合材」といった形で表記される。MSの装甲は軍事機密に属する部分が大きいためか、対弾性を示す具体的な数値は不明[65]
姿勢制御系
姿勢制御に関するスペック表記として、アポジ・モーター数(姿勢制御バーニア数)がある。MSの姿勢変換・維持に用いる小型ロケット・モーターの搭載数で、第4世代MSまでは10 - 20基前後、宇宙世紀0120年代頃までの第2期MSは50 - 80基前後の機体が多い。宇宙世紀0080年代前期に見られた姿勢制御関連のスペックとしては、「180°姿勢変換」がある(単位はsec=秒)[65]

動力源・駆動方式

主動力はミノフスキー・イヨネスコ型核反応炉[67]。駆動方式においては、一年戦争(宇宙世紀0079)の機体群ではジオン軍機において「流体内パルスシステム」[68][注 6]、連邦軍機においては「フィールドモーター」を使用する方式が採用されている[69]

推進方式

宇宙空間での移動には、背部ユニット(第1世代MSでは「ランドセル」、それ以降では「バックパック」と呼ばれることが多い)や脚部などに搭載された推進器(スラスター)を使用する。重力下ではこれを利用したジャンプも可能である。

第1世代MSの推進器は基本的に化学燃料ロケット・エンジンであるとされるが[70]、ジオン公国のツィマット社は宇宙戦艦などが搭載する熱核ロケット・エンジンをミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉を利用してMSに搭載できるまでに小型化し、ヅダリック・ドムに採用している。また、この熱核ロケットをジェット化した熱核ジェット・エンジンを陸戦用のドムの脚部に搭載してホバー推進を可能にしている。第2世代MS以降は熱核ジェット / ロケットのハイブリッド・タイプも普及している。また、水陸両用MSは熱核水流ジェットにより水中を航行する。

上記はいずれも推進剤が不可欠であるが、第2期MSでは推進剤が不要(熱核反応炉の燃料は必要)で原理的には亜光速までの加速が可能とされるミノフスキー・ドライブといったミノフスキー物理学系推進器が登場している。

宇宙空間での姿勢制御は、機体各所に配置されたサブ・スラスター(「バーニア」あるいは「アポジモーター」とも呼ばれる)のほかに、人型であることを活かして四肢を動かすことによる反作用を利用した "AMBAC" を併用することで、推進剤の消費を抑えている。

操作

動作の大半はコンピュータが代行しているが、一年戦争の機体においてはフットペダルとレバー(スティック)を用いてパイロットから制御をおこなう。飛行方向の制御から武器選択と発射まではスティック部でおこなえる。フットペダルは右方向がスロットル用で左方向はブレーキまたは逆噴射用。ただし、モードセレクターを切り替える事で右ペダルは歩行動作用となる。航行も予め航路設定プログラムが入力されている[71]

漫画・アニメ『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では、ジオン公国軍リビング・デッド師団サイコ・ザクに「リユース・P(サイコ)・デバイス」と呼ばれるシステムが導入されている。これは操縦桿の代わりに特殊な端子を組み込まれた義手・義足をコネクターに差し込み、挙動を同期させるという特殊な操縦方法で、通常の操縦より反応速度が向上する。一年戦争終結後は、その開発者を確保した南洋同盟の独占技術となっている。

宇宙世紀0088年の時代を描いた『ガンダム・センチネル』には「IMPC(Integrated Maneuver Propulsion Control/統合機動推進制御)」と呼ばれる制御システムがデザインされている。IMPCは発進、巡航、空間戦闘、着陸、歩行の五つの基本機動を自動的に制御しており、パイロットは状況に応じスイッチを切り替えるだけで機体がそれに対応した動作を行うため、パイロットの重要性はそのままに操縦の負担が大幅に軽減されている。IMPCは教育型コンピューターに構築されたシステムであり、パイロットの操縦データを入力することでシステムがそれを覚え、動作パターンのアップデートを行っていく。ただし、データにない動作はパイロットが独自に対応しなければならず、データ通りの行動に不満を持つ場合もパイロット自身が操縦して修正しなくてはならない。また、システムのアップデートには熟練パイロットによる操縦データの供給が必須となっており、データ供給を目的とした教導隊も設立されているが、IMPC自体は熟練パイロットから人を堕落させる妖精である「インプ」の蔑称で呼ばれている。動作パターンの構築についてはパイロットの操作を学習する他にも、基本的な動作についてはモビルスーツの教育型コンピューターに人工知能端末を外部接続し、両者を仮想空間上で戦わせることで構築することができる旨が『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』で語られている。

宇宙世紀0090年代前半(『逆襲のシャア』の時代)にはアームレイカーと呼ばれる球状のコントロールスティックによる操縦方式が浸透した。これはスラスターの噴射からモビルスーツの指の動きまで、全ての操作を手元で行うことができるという物であった。だが、その一方で衝撃によって手が抜けやすく、万一手指を負傷した場合、機体の操作に支障をきたすという欠点があった。それゆえに不評も重なり、後年の連邦軍機ではアームレイカーの採用は中止されている。また、サイコミュにより操縦をサポートしている機体も存在する。

宇宙世紀0096年を描いた『機動戦士ガンダムUC』では、コンソールのタッチパネルやレバーに備えられたボタンでの武器の選択、使用、パージを行っている描写が見られる。またフットペダルを踏み込んだり、レバーを前に押し出すとモビルスーツの推進器の出力が上がるようである。しかし、フットペダルとレバーを操作して出力を上げる描写があるのはいずれもユニコーンガンダムで、しかも別々のシーンでこれらの方法が用いられている。よって二つの方法が連動している操作方法なのか、あるいは別の操作方法なのかどうかははっきりとしない。

また、上記までのように手足で操作するのではなく、サイコミュを介することによってパイロットの思考をダイレクトに機体モーションへと反映するシステムを搭載したレッド・ゼータシナンジュ、ユニコーンガンダムなどの機体も開発されている。

宇宙世紀0105年を描いた劇場アニメ『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では、MSには「ニュータイプは存在しない」「ニュータイプが生まれる要素を少しでも排除する」という(連邦軍側の)意図が反映され、AIによる操縦補助が進められている[72]。AIロックモードでは、AIが敵機との距離を逆算してロックオンが可能になるまでの時間を算出し(全天周囲モニターにはバーの長さで表示される)、ロック前段階で戦術的に優先される攻撃順を指示(提案)するため、パイロットはそれに従って攻撃するだけでよい[72]。ただし、より素早く、精度の高い操作を求めるパイロット(ハサウェイ・ノアなど)は、このAI機能をオフにしている[72]

そして『機動戦士ガンダムF91』で描かれる宇宙世紀0123年には、バイオ・コンピューターを用いることでセンサー情報を直接的にパイロットに伝達、パイロットの記憶や感情を取り込む思考制御だけでなく、パイロットが求める情報を機体側からパイロットのイメージへと直感的に提示する双方向性機能を持つ、ガンダムF91サナリィにおいて開発されるに至っている。また同年代におけるアナハイム・エレクトロニクスでは、クロスボーン・バンガードから技術提供を受けたネオ・サイコミュにより、上述のレッド・ゼータやユニコーンガンダムと同様に手足を使わずに操作が可能なネオガンダム(1号機)を開発している。

武装

火器類

MSが携行する火器は、大きく分けて実在の歩兵火器をモビルスーツ大に大型化したものと、ビームライフルに代表されるビーム兵器など架空の兵器とに分けられる(なお、主人公が使う機体はほとんどビーム兵器が使用されている)。ビームライフルやメガ粒子砲などはミノフスキー粒子を圧縮して打ち出す武器で、MSのほとんどはこの武器を通常装備としている。火薬を使用した火器は確実さとエネルギー消費の少なさから、ビーム兵器は破壊力と弾速から用いられる。宇宙世紀においては特にメガ粒子によるビームが用いられる。他にもレールガンが使用されることもある。形態としてはマシンガンアサルトライフルスナイパーライフルバズーカに似たものが多い。生物よりも遥かに強靭なボディを持つモビルスーツは、人間なら両手でなければ到底保持できないようなバズーカなども片手で軽々と扱うことが出来る。

また、手持ちの火器とは別に、小型(と言っても数十ミリ口径のものにはなるが)の機関砲バルカン砲を内蔵火器として装備しているモビルスーツも多数存在する。これらの火器は頭部や胸部に設置されることが多く、主に迎撃・防御用兵器として使用される。ガンダムガンキャノンジム等に搭載されているバルカン砲は口径60mm、発射速度は毎分500〜2000発程度であるという。

この他、機種によっては固定火器として大砲(キャノン砲)や大型ビーム砲、ロケットランチャーなどを装備している場合もある。中にはこうした大型火器の運用を主目的とした、自走砲的な運用がなされるモビルスーツも存在している(例としてガンキャノン・ガンタンク)。これらは一般に支援モビルスーツなどと呼称される。

格闘武装

MSが近接戦闘(白兵戦)を実施する場合、ナイフなどをモビルスーツ大にして熱や高周波で破壊力を増したもの、あるいはビームサーベルのように刃をビーム化したものがいわゆる「斬撃兵装」としておもに使用される。

何らかの理由で携帯武装を使用できない場合、徒手空拳の“素手”による殴打、蹴りをおこなう場合もある。細かい関節が集中するマニピュレーター(手)で拳を作り殴りつけることについては、一部関連書籍において『機動警察パトレイバー』の例等にならいあまり推奨されない緊急戦闘手段である旨解説される場合があり、小説版『ジオニックフロント』でも、ソフィ・フランがジムを相手に格闘攻撃を仕掛けた際、「サーボ機構に負担がかかるため整備班からは止められている」といった発言があることから、モビルスーツによる格闘はそれなりに機体へ負担をかけるというマイナス面があるとされている。

しかしながら、「ガンダムシリーズ」の映像作品劇中ではそういったマニピュレータの強度的問題に関する懸念は全く描写されず格闘戦が展開される。『機動戦士ガンダム』TV版第1話および劇場版Iにおいて、ガンダムが素手でザクIIのマルチプルノズルを引きちぎる描写があった。シャア・アズナブル少佐のMS-06SザクIIは左拳でボディブローをガンダムの右脇腹に叩き込み当該箇所の装甲を撓ませた。また、脱走兵ククルス・ドアンの駆るMS-06ザクIIが追っ手のザクIIを正拳突きで撃破したり(この時ドアンはアムロに「見ておきたまえ。これがモビルスーツの格闘戦だ」と言い放っている)、“黒い三連星”の一員・オルテガのMS-09ドムがミデア輸送機を両手を組んだナックルボムで破壊したりもしている。『機動戦士Ζガンダム』では主人公カミーユのガンダムMK-II3号機がもう1機のMK-IIを連続殴打。『機動戦士ガンダムΖΖ』では主人公ジュドーがゲモン・バジャック駆るゲゼを相手にボクシングのような動きをみせ、逆にゲゼの右2本の腕の連続ジャブを返されノックアウトされてしまう場面があった。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、武器を使い果たしたνガンダムサザビーの頭部に左ストレートの連打を見舞って内部全周モニターの一部を破壊している。『機動戦士ガンダム0083』ではバニングのRGM-79Cジム改がやはり左ストレートでザメルを殴りつけた。『機動戦士Vガンダム』ではワタリーのZM-S08Gゾロがマニピュレータをドリルのように高速回転させたコークスクリューパンチでVガンダムの右腕を破壊している。一方、もともと初期設定でのザクIは、ショルダーアタックを代表とする格闘能力のみで戦うことになっていた。

水陸両用モビルスーツの多くは携帯火器を持たず、その保持のためのマニピュレータも備えず、「アイアンネイル」(ないし「バイスクロー」)と呼ばれる巨大な金属製のかぎ爪を用いた格闘戦を主戦法とする例が大半である。ズゴックがジムの腹部(コクピット)を爪の突きで貫いて倒すシーンが「ジャブローに散る!」で登場する。これは設定上では水中で火薬式の銃砲弾やビームの使用が困難なこと、演出上では半魚人的な化け物としてデザインされた水陸両用MSのキャラクター的特質によるものである。ただ、アイアンネイルの見た目はかぎ爪であるものの、戦場で一定の作業性を持つマニピュレーターとしての機能も有していると設定されている[73]

水中行動時、マニピュレーターの代わりに固定式の格闘武装(大抵は巨大な爪)を装備していることが多い(爪の他にも、ロケットランチャーやビーム砲を腕部に内蔵しているケースも頻繁に見受けられる。従って大抵の場合、こうしたモビルスーツの腕部は「手」としての機能を成さない)。

ただし、またそれ以外では、一方、ライフルのストックで殴りかかるという現実の歩兵戦で多用されている戦法も『機動戦士Ζガンダム』以降は全く使われなくなった。特殊な例としてはグフに装備されたヒートロッドが存在するが、装備した機体の種類は少数に留まっている。その一方で、ショルダーアタック戦法は、マラサイからギラ・ドーガデナン・ゾンへとその無骨な外観とともに継承されている。

遠隔操作兵器

ミノフスキー粒子存在下でニュータイプの強力な感応波によって遠隔操作を行う、サイコミュという技術が開発されている。これによりビットファンネルと呼ばれる遠隔操作用小型兵器が生まれた。また、ニュータイプではない人間(オールドタイプ)でも扱えるようにした、有線式のインコムも存在する(ただし、射程・動きの精密さ等で劣る)。

『ガイア・ギア』の時代では、ニュータイプ能力を持たない人間にでもファンネルが使用できるほどに技術が進歩しているが、肉体的・精神的に凄まじい負担がかかる事を覚悟せねばならない。これらは機体から射出・操作し、多数の敵を同時に攻撃したり、逆に一体の敵を死角から取り囲んで集中砲火を浴びせるなど、オールレンジ攻撃を行うことが出来る。

その他の武装

現実世界において中〜遠距離兵器として頻繁に用いられるミサイルは、(モビルスーツで白兵戦を行う意義の関係からか)モビルスーツ用の主武装としてはあまり用いられない。特に宇宙世紀作品群においてはミノフスキー粒子によって、レーダーが使えなくなっている場合が多いためである(このミノフスキー粒子という存在自体が、モビルスーツによる白兵戦を必然のものとするために創作されたものである)。ただし、小型のミサイルを固定火器やオプション武装として装備しているモビルスーツは、世界観、時代を問わず比較的多い。その母艦となる艦船等も対艦、対空ミサイル兵装を普通に装備しており、また使用しているため、「電波妨害」の設定が影響した具体的場面描写は皆無に近い。

他に、鳥や昆虫を捕まえる鳥黐を原型としているトリモチランチャーがあり、モビルスーツの指の第一関節部分に5–6弾[要出典]装填される。粘着性の物質で、宇宙世紀0087年に勃発したグリプス戦役では、スペースコロニー簡易修復に使われる場面が多かった。対MS戦闘にも使用でき、関節部に付着させて行動を制限させることができる。また、『機動戦士Ζガンダム』(TV版第1話、劇場版「星を継ぐ者」)において人間に対し、動きを制限して拘束するための非致死性兵器として使用されることもあった。同じ素材の物で、名称が異なる物が多数存在する。トリモチランチャーという名称では、主にMSに装備される。代表的なMSはリック・ディアスなど。時代が変わると、ダミーバルーンへ移り変わってゆくが、『機動戦士Vガンダム』でも使用された場面があった。

まれに戦略兵器として、核兵器あるいはこれに匹敵する破壊力を持った兵器がモビルスーツによって運用されることがある。宇宙世紀では一年戦争初期にザクIIC型が核を運用したが、後に南極条約によってこの種の大量破壊兵器の使用が禁じられた。しかしガンダム開発計画においてガンダム試作2号機が核攻撃用モビルスーツとして開発され、デラーズ・フリートによって核弾頭ごと強奪されたあげく実際に連邦軍艦隊への襲撃に使用されてしまった。核以外でも化学兵器である毒ガスが、一年戦争初期のコロニー攻撃などにおいてモビルスーツによって使用されている。

運用設備

モビルスーツは専用の整備設備を持つ基地、あるいは同等の機能を有する海上空母宇宙戦艦宇宙空母などの艦艇での運用が前提となっている。

前者の例としては『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』での極東方面コジマ大隊基地や『機動戦士ガンダム』の宇宙要塞ソロモンなどが挙げられる。

後者の例としては『機動戦士ガンダム』のホワイトベースドロス、『Ζガンダム』のアーガマ、『逆襲のシャア』のラー・カイラムなどが挙げられる。これらはモビルスーツを発進させるためのカタパルトや着艦のためのデッキ、および整備のための諸設備を備えている。

飛行能力

飛行に適さない人型であるモビルスーツは基本的に単独での飛行を行うことは不可能であり、単体での機動力が不足する大気圏内などでは空中で運用するための様々な装備が開発されている。ただし、時代設定や作品によっては技術革新により単独での飛行能力を有する場合も存在している。

時折空中戦に近い戦闘が行われる場面が見られるが、それらはあくまでジャンプや滑空、航空機からの自由落下によるものであり、ほとんどの作品でモビルスーツは単独の飛行能力を持たない。空中戦の際には多くの場合、モビルスーツを上に搭載する航空機類であるサブフライトシステムと呼ばれる補助移動手段が使用されている。宇宙世紀0080年代後半に実用化された可変モビルスーツの内、大気圏内で運用する機体は航空力学的に飛行に適した形態に変形することで単独での飛行を行うことが可能となっているが、構造の複雑化や運用コストの増加などが懸念材料となっていた。

その他に、人型を維持した上での単独飛行能力を持たせる挑戦としてグフフライトタイプバイアランなどの複数の機体が開発されている。 これらは機体自体に大きな推力を持たせることで強引に飛行させるという手法が取られていたが、推進剤の消耗が激しく稼働時間に乏しいなどの欠点を抱えており、長距離・長時間の飛行能力をもったモビルスーツは宇宙世紀0100年代にミノフスキークラフトを搭載したMSであるΞガンダムペーネロペーの誕生を待つこととなる。この2機は音速を超える速度で長距離飛行を行える程の高い飛行能力を持つ機体だったが、ミノフスキークラフトの搭載によって大型化し、全高は30mにも迫るほどであった。

モビルスーツに小型化の潮流が訪れると、出力の向上と本体の飛躍的な軽量化、ミノフスキーフライトの普及などにより、ほぼ飛行と呼んで差し支えないほどの機動力を持つようになるが、やはりそれらも基本的には推力による長時間滞空に過ぎないため、長距離移動などの際には引き続きサブフライトシステムなどに頼る状態であった。アニメとして最も未来の宇宙世紀を描いた『Vガンダム』ではV2ガンダムに搭載されたミノフスキードライブが推進剤を用いずに高い機動力を発揮する技術として登場するが、非常に高いコストや過負荷によって高エネルギー状態のミノフスキー粒子がビームとして放出される等の課題が存在している。

その後の宇宙世紀0220年代を描いた『G-SAVIOUR』では、大気圏内を描いたゲーム版の描写に出撃や撤退などで推力による単独飛行を行うシーンが見られる他、腰部に追加のユニットを装着することで長時間飛行を行うことが出来るようになっている事が確認できる。

大気圏突入能力

『機動戦士ガンダム』において、ガンダムは単体での大気圏突入を余儀なくされた状況で、耐熱フィルム(テレビアニメ版)あるいは耐熱エアフィールド(映画版)で機体を守り無事生還したが、何も無しで突入したザクはあっけなく燃え尽きてしまっている。なお、漫画版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場しているガンダムには、本来大気圏突入用の特殊装備は備わっていなかったが、大気圏突入が可能な母艦ホワイトベースの陰に入ることで機体の過熱を防ぎ、奇跡的に大気圏突入に成功したという描写になっている。

『Ζガンダム』においては一般のモビルスーツにバリュートというパラシュートエアバッグを組み合わせたような装置を装着・展開することで大気圏突入を行っている。また、ガンダムMk-IIが乗るスペースシャトル型の盾のようなフライングアーマーや、Ζガンダムデルタプラスのようなウェイブライダー形態への変形機構をもつMSは翼部あるいは盾、および同時に発生する衝撃波によって機体を熱から保護している。またその変形した機体自体がフライングアーマーと同様に他の機体を乗せての大気圏突入することが可能である。

漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』において、クロスボーン・ガンダムビームシールドで大気圏突入を行っている描写があるが、本来想定されている運用方法ではなく、扱いとしては事故に近かった。しかしこの件により、ビームシールドによる大気圏突入が可能なことが証明されたため、その後の時代設定の作品である『機動戦士Vガンダム』では、ビームシールド使用によるMS単体の大気圏突入が日常的に行われ、宇宙艦船までが艦首にビームシールドを備えて大気圏突入を行うようになっている。


注釈

  1. ^ 『宇宙の戦士』のハヤカワ文庫版の挿絵に描かれたパワードスーツは、スタジオぬえの宮武一貴がデザインしたものであった。
  2. ^ ガンダムセンチュリー』で設定された。なお、同書発行直前に公開された劇場版のパンフレットでは、MSの和訳・意訳として「機動宇宙服」[10]あるいは「宇宙白兵戦用重機動宇宙服」[11]が表記されていた。
  3. ^ 国内に点在する各種工業機器メーカーに秘匿案件として提案要請がおこなわれたとする資料や[16]、民間企業に多くの技術士官を派遣し、軍の要求する高性能兵器を民間の大量生産技術で即座に生産する体制を整え、グラナダ工廠など多くの軍需工場を民間企業に開放・払い下げをおこなったとする資料もある[17]
  4. ^ OVA版第3章(テレビ版第5話)の透視図による。
  5. ^ 第4世代ともいわれるがNT専用の第2世代であるとする資料[48]、第4世代の傑作機とする資料[54]、直結式大出力メガ粒子砲内蔵の有無からνガンダムを第2世代、サザビーを第4世代とする資料がある[55]
  6. ^ 流体内パルスシステムとは、動力炉から発生したエネルギーをコンバーターによってパルス状の圧力に変換し、流体パイプに導くことによって関節を駆動させるローター・シリンダー伝達するというものである。これには油圧シリンダーと比較し作動スピードが速く、かつ構造が単純な利点が存在した[68]
  7. ^ それでも、航空機や地上車両などの一般兵器よりも基本性能が優れているため、ガンダムファイト制定後もMSは兵器体系の中心となっている[76]
  8. ^ 尚、ガンダムタイプは旧連邦製の既存MSとは装備規格を共通化している[84]
  9. ^ この名称は、バンダイ『1/100 MGフリーダムガンダム』付属解説書の記述による[89]
  10. ^ アニメ『ガンダムSEED』第50話では、プロヴィデンスがフリーダムに撃墜された際に核爆発を起こし、近辺にあったジェネシスのミラーブロックを破壊しつつ逃げ遅れたフリーダムを大破させている。 また、Nジャマーキャンセラーを搭載した核ミサイルも撃墜された際に核爆発を起こしている。
  11. ^ ユニウス条約は地球連合とプラント間の停戦条約であるためCE73年10月(この時点でフリーダムは復元済み)に地球連合と同盟を締結するまでオーブには適用されておらず、またフリーダムの所有者であるキラがオーブ軍に編入したのはユニウス条約の形骸後かつフリーダムの撃墜後であるオペレーション・フューリー後なため問題にならないのは自然である。同様の理由で、ドレッドノートイータやテスタメント(カイト所有)といった個人が所有している核エンジン搭載機も問題になっていない。
  12. ^ これは停戦に貢献した三隻同盟のスタッフが戦後に責任を追及されぬよう、アイリーン・カナーバが取り計らったものであるとタリア・グラディスは見解している[93]
  13. ^ アニメ『ガンダムSEED』第36話では、アスランが自身へ譲渡されるジャスティスに核エンジン(厳密にはNジャマーキャンセラー)が搭載されていることを聞かされた際に「プラントは全ての核を放棄すると!」と怒りながら返している。
  14. ^ このハイブリッド機構により、フリーダムの時はエネルギー供給が間に合わずフェイズシフトがダウンしてしまった数kmレベルでのMA-X200 ビームソードの延長を実現している。
  15. ^ 資料によっては核融合炉の実用化がなされていない世界観であるにも関わらず、艦船に核融合炉を採用しているとするものも存在する
  16. ^ 設定を担当した森田繁は、作中で「脳幹が高温で溶ける」、「リンゲル液で冷却する」といった旨の台詞は取り入れたものの、掘り下げる事は無かったと語っている[99]
  17. ^ 作中描写では、機体の起動およびPS装甲やNジャマーキャンセラーのオンオフは点灯によりオンオフ状態が分かる正方形状の物理ボタン、ビーム兵器のトリガーはスラストレバーに取り付けられた物理ボタン、スラスターはスラストレバーおよびペダル、自爆は右側リストレストに収納されたテンキーによって行われていた。また、物理キーボードも搭載されており、キラやアスランはOSの調整、シンはインパルスの合体シーケンスに使用していた。
  18. ^ アニメ『ガンダムSEED』第34話の描写より、頭部のメインカメラが損傷した際にブラックアウトするのはこのモニターのみ。
  19. ^ フェイズシフト装甲および核エンジンを搭載したフリーダムが大気圏に突入する際には、盾を前方に構えつつ廃熱板でもある両翼を展開していた。VPS装甲を搭載したインパルスも突入時には前方に盾を構えている。
  20. ^ それ以前に内燃機関を採用したMSも存在したが、これも発電した電力で駆動する方式をとっていた[102]
  21. ^ この際に流出したGNドライヴはと呼ばれるもので、ソレスタルビーイングが保有するオリジナルの仕様とは異なり、活動時間に制限を持っていた[102]。この搭載型量産MSであるジンクスは3国連合の国連軍において使用されたあと[102]、地球連邦が誕生した後もジンクスが三代にわたってマイナーチェンジされ量産がなされているが、2312年に上述の殲滅作戦にて鹵獲したガンダムのデータを基に上位機種として完全新型機アヘッドが就役した。このアヘッドもアレハンドロ・コーナー一派の技術系ともされている[105]。ただし、アヘッドは基本構造が第3世代ガンダムに近くなっている[106]。ただし擬似太陽炉搭載型MSは独立治安維持部隊「アロウズ」に優先的に供給されているため、以前の各陣営の主力機体も継続して使用されている。また、上位種を自称するイノベイターと名乗る集団もガデッサやガラッゾといったGNZシリーズという専用機を保有しており、こちらは彼らが掌握した「ヴェーダ」のアクセスレベル7から入手した第3世代ガンダムのデータを流用して建造(こちらはアヘッドとは系統が異なる完全なコピーでありオリジナルのガンダムに限りなく近い性能を持つ)[105]したものである。故に、ジンクス、アヘッドとも異なる系統の機体である。また、今まで開発されたガンダムのデータを全て組み合わせて開発された機体がリボーンズガンダムである。CB内部の裏切者であるアレハンドロ・コーナーは、リボーンズガンダムの母体となった1ガンダムのデータを基に専用機アルヴァアロンを開発させている。
  22. ^ 小説版では20年かかったといわれている。
  23. ^ アルヴァトーレとアルヴァアロンは金色、改良型は赤みを帯びたオレンジ色
  24. ^ 本編から15年前のCBで起きた事故ではルイード・レゾナンスとマレーネ・ブラディがガンダムプルトーネに乗るシャル・アクスティカを助けようとしてGN粒子を大量に浴びたために死亡、シャルもその毒性により髪の色が銀白色に変わり、そのほかにも左目の虹彩が変異してしまった(これらは粒子の影響なのか定かではないが)。この毒性に関してはCBの医師であるJB・モレノが研究していた

出典

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