五十音 北原白秋の五十音

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五十音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/19 06:16 UTC 版)

北原白秋の五十音

五十音の考え方が普及した後における、かな学習歌の代表的なものとして挙げられるのが、北原白秋によって執筆された詩歌(4・4・5 型定型詩)『五十音』である。一部では『あいうえおのうた』として紹介されることもあるが、正式なタイトルとしては『五十音』が正しい。

1922年、雑誌『大観』1月号に上梓されたものを初出とし、後に作曲家・下総皖一によって曲がつけられ、学習歌(童謡)『五十音の唄』として成立した。現代では外郎売と並び、俳優タレントアナウンサーの養成における発声および滑舌の訓練に際して採用される、代表的な朗読教材の一つとして知られている。

ただし、下総による楽曲は必ずしも正式な標準語アクセントと一致するものではないため、朗読教材として使用する場合においては楽曲として歌われる事はまれである。ゆえに、そもそも『五十音』を訓練教材として常用する者も楽曲そのものの存在を知らない、もしくは知っていてもそれがどのような歌であるのかを知らないという場合すらある。

訓令式ローマ字

訓令式ローマ字は、五十音表の段と行をラテン文字で記号として表した合理的な五十音表記法であり、たとえばシはサ行イ段 (si) の位置にあるので、si と表記される。

活用における動詞の変化の説明においてもこれまでのローマ字表記だと少々無理があったものの、「勝つ」の連用形における語幹もkatにして表記(これまでだと連用形なら kachi になり語幹の末子音字が変化してしまう)することが可能となった。

なお、ヤ行イ段 (yi) は空白であるためにイ段のみ書くように、五十音表で空欄の位置は母音字のみで表記され子音字は省かれる。

ジ (zi) とヂ (di/zi) 、オ (o) とヲ (wo/o) のように発音がほぼ同じものは、表記しやすいものに統一される。

仮名の誦文

五十音の外に仮名を網羅した誦文がある。あめつちの詞大為爾(たゐに)の歌いろは歌である。五十音(五音)が、日本語化して発音される漢字音を体系的に理解しようとするものであるのに対し、これら誦文はもともと四声など漢字音のアクセント習得のために作られ、用いられたものと見られる[10]。ただしいろは歌は文脈があって内容を覚えやすいことから、手習いの手本にも使われ、また『色葉字類抄』などのように物の順序を示す「いろは順」として使われた。


  1. ^ 平仮名片仮名
  2. ^ サ行は古い時代には[ts]と発音されていたという説が有力であり、ハ行は当時の発音では [ɸ]、さらに古い時代には[p]であったとされている。なお k から m までの配列は、調音位置が口の奥から前へ来るように並べられているからである。ヤ・ラ・ワ行がまとめられているのは、サンスクリットでは y, r, v(実際の発音は[ʋ]か[w]) がそれぞれ i, ṛ, u に対応する半母音とみなされているからである。y, r, l, v という順序も、k から m と同じ理由である。
  3. ^ ハ行は当時、無声両唇摩擦音 [ɸ]
  4. ^ あ行が「アイウエヲ」、や行が「ヤヰユエヨ」、わ行が「ワイウヱオ」と表記されている。
  5. ^ もしくは空白とする。
  1. ^ 明覚『反音作法』、1093年
  2. ^ 五十音順はなぜ「あかさたな」の順番なのか? - ねとらぼ
  3. ^ a b Q.7 「あいうえお/あかさたな」の順なのはどうして? 肥爪周二|素朴な疑問vs東東京大学FEATURES、広報誌「淡青」 vol.45、2022.09号、2022-10-13
  4. ^ 古田東朔・築島裕『国語学史』東京大学出版会。
  5. ^ 田中 2011、pp 33、35。田中のこの箇所の記述は古田『音義派「五十音図」「かなづかい」の採用と廃止』を引用したものである。
  6. ^ 渡辺 2012、p 3。原文に明治6年 (1871年) とあるが、明治6年は1873年である。なお、文部省による1873年の『小學教授書』の存在が確認できる。
  7. ^ a b c 古田 1957年、p26。
  8. ^ 『片仮名元字』(出版年不明) では、この字は「以」の字の左側であると説明する図がある。
  9. ^ 小学校令施行規則、明治33年文部省令第14号、第一号表。法令全書 明治33年 (1900年)、p 496に掲載。リンク先は国立国会図書館デジタル化資料
  10. ^ 小松英雄『いろはうた』(中公新書、1979年)。


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