社会生物学とは? わかりやすく解説

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しゃかい‐せいぶつがく〔シヤクワイ‐〕【社会生物学】


社会生物学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/08 17:37 UTC 版)

社会生物学(しゃかいせいぶつがく、英語: sociobiology)は、生物の社会行動が自然選択の元でどのように進化してきたか、行動の進化的機能を扱う生物学の一分野である[1]エドワード・オズボーン・ウィルソンの『社会生物学』(1975)によって創始されたが、いわゆる社会生物学論争に巻き込まれたため、「社会生物学」の名称を忌避して、「行動生態学」などの名前を用いる研究者も多い。遺伝子の視点から生物の行動を数学的ゲーム理論など)に解析し、構築された仮説は実験やフィールドワークによって検証される。研究手法は集団遺伝学に基づいているが、動物の社会行動を進化的に論じる事を可能にする理論とともに発展したため、動物行動学とも密接な関わりを持つ。行動生態学進化生態学などの言葉もあるが、本項では同じものとして扱う。定義については以降の定義の節を参照のこと。一部の研究者は行動に関わる遺伝子の特定や分子メカニズムに注目し、隣接領域として分子行動学、行動遺伝学を形成しつつある。また分子生態学とも密接に関連する。


  1. ^ Alcock,John Animal Behavior 2001. Sinauer, Sunderland
  2. ^ アモツ・ザハヴィ『生物進化とハンディキャップ理論』p198
  3. ^ ウリカ・セーゲルストローレは、このように単純に段階付けていない。(2005)『社会生物学論争史』(1)(2)垂水雄二訳、みすず書房。
  4. ^ ウリカ・セーゲルストローレ『『社会生物学論争史』、ラムズデンとウィルソン『精神の起源について』第2章「社会生物学論争」pp.56-66.
  5. ^ たとえば、U.セーゲルストローレ『社会生物学論争史』2(p.401)、バーバート・ギンタス『ゲーム理論による社会科学の統合』NTT出版、p.356.
  6. ^ a b ラムズデンとウィルソン『精神の起源について』p.66.
  7. ^ ラムズデンとウィルソン『精神の起源について』pp.66-68.
  8. ^ ラムズデンとウィルソン『精神の起源について』pp.68-75.
  9. ^ John Ziman (Ed.) Technological Innovation as an Evolutionary Process, Cambridge University Press,2000, p.9
  10. ^ 伊谷純一郎「霊長類社会構造の進化」『霊長類社会の進化』平凡社、1987年。第8章、p.209.
  11. ^ 伊谷純一郎「霊長類社会構造の進化」『霊長類社会の進化』平凡社、1987。第8章、p.301.
  12. ^ 黒田末寿『人類進化再考/社会生成の考古学』以文社、1999。
  13. ^ 伊谷純一郎「社会行動を作る行動」『霊長類社会の進化』平凡社、1987。第5章、pp.224-225. 黒田末寿『人類進化再考/社会生成の考古学』以文社、1999。pp.64-65. p.152.
  14. ^ E.O.ウィルソン『知の挑戦』角川書店、2002.特に第七章「遺伝子から文化へ」
  15. ^ 音喜多信博 2008 「文化的進化の自律性と倫理 : E・O・ウィルソンの「還元主義」に抗して」『金城学院大学キリスト教文化研究所紀要 』11: 21-35.



社会生物学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 06:58 UTC 版)

社会文化的進化」の記事における「社会生物学」の解説

詳細は「社会生物学」を参照 社会生物学はおそらく古典的な社会進化論から最も遠い位置にいる。これはE.O.ウィルソン1975年著書『社会生物学:新たな総合』によって提案された。ウィルソン生物学中心的な理論であるネオダーウィニズム社会科学分野援用し、ヒト社会的な習性例え利他主義攻撃性愛情などを説明しよう試みた。それによってウィルソン20世紀でもっとも大きな科学的論争一つ引き起こした社会生物学者は、ヒト社会文化的進化生物学的進化双方産物であるという二重相続理論賛成したそれぞれの要因個別選択メカニズム伝達様式生物学的に遺伝子であり、文化的進化単位はしばしミーム呼ばれる)を持つ。DITとは別にミーム研究するミーム学というのもあるがとDITにはミーム遺伝的形質認めるか、認めないかなどの多少差異がある。このアプローチ文化の変容影響与え文化の「伝達メカニズム」と「選択圧」に注目している。 社会文化進化のこのバージョン20世紀初期から中期古典的な社会進化モデルとの共通点がほとんど無い。このアプローチ一部文化人類学者心理学者自然人類学者が受け入れた。「現代進化的総合」としても知られるネオダーウィニズムは、一般にチャールズ・ダーウィン自然選択による進化理論グレゴール・メンデル遺伝学基礎とした数学的な集団遺伝学結合意味している。 基本的にネオダーウィニズム二つ重要な発見結びつき明らかにした。すなわち進化メカニズム選択)と進化単位遺伝子)である。社会生物学は生物学への強い依存のためにしばしば生物学社会学分野支流見なされる。しかしそれは動物行動学進化学動物学考古学集団遺伝学そのほか非常に多く科学分野技術知識取り入れている。人間社会研究分野で、社会生物学は人間行動生態学および進化心理学に密接に関連している。社会生物学者遺伝子役割は非常に複雑で、遺伝子と環境の相互作用はしばし予測できない述べる。しかし社会生物学は遺伝子だけで人間特定の行動説明しようとしているという批判伴って未だに論争の的になる。人間行動遺伝子が果たす役割について論じることを批判した近年のもっとも著名な科学者はリチャード・ルウォンティンとスティーヴン・ジェイ・グールドであり、20世紀初頭にはフランツ・ボアズがいた。 進化心理学高まりのために、文化適応選択原理集団遺伝学数学的原則用いてモデル化ようとする別の一派過去25年の間に姿を現した。この一派UCLAのロバート・ボイドとUCデービス校のピーター・リチャーソンによって開拓され、ウィリアム・ウィムサットによって拡張された。ボイドとリチャーソンの著書Culture and the Evolutionary Process1985)』は非常に高度な数学用いて文化の変容説明しており、後にもう少し一般向けに『Not by Genes Alone(2004)』が発表された。ボイドとリチャーソンの視点によれば文化的進化生物学的進化とは異な次元存在する二つ関連があるけれども、文化的進化生物学的進化よりもダイナミックで、急速で、人間社会影響力がある。

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社会生物学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 16:26 UTC 版)

進化論」の記事における「社会生物学」の解説

W.D.ハミルトン血縁選択研究は社会生物学(行動生態学)の登場寄与した利他的行動存在ダーウィン時代から進化理論からは説明が困難であると考えられていた。1964年論文はこの問題解決大きく前進させた。昆虫における真社会性繁殖しない個体存在)だけでなく、様々な利他的行動血縁選択説説明できる利他的行動説明する理論はさらに続いたそのうちいくつかは(進化的に安定な戦略互恵的利他主義)はゲーム理論由来する1975年E.O.ウィルソン影響力があり、非常に論争的でもある著作『社会生物学:新たなる総合』を出版したその本ウィルソン進化理論人間も含む多く動物利他的な振る舞い説明できる論じたスティーヴン・ジェイ・グールド、リチャード・ルウォンティンを含む批判者は、社会生物学が人間行動に関する遺伝的要因影響誇張していると批判した。またその主張イデオロギー偏見含んでおり科学ではないと批判したそのような批判にもかかわらず社会生物学の研究続いた1980年代以降ダーウィン・メダルクラフォード賞生物科学部門受賞者半分以上この分野の研究者占められるこの分野の研究者一部行動関わる遺伝子目を向け分子生物学との交流促したその結果生物の社会行動分子的基盤解明する分子生態学という新たな分野誕生繋がった

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社会生物学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 08:04 UTC 版)

エドワード・オズボーン・ウィルソン」の記事における「社会生物学」の解説

ウィルソンは『社会生物学』を著し、それを「あらゆる社会行動生物学的基盤体系的な研究」と定義し1970年代まで個体群生態学集団遺伝学動物行動学知識統合した新たな総合New Synthesis)」と位置づけた。そして社会性昆虫行動説明するために用いられ進化的理論を、ヒト含めた動物社会的行動理解にも適用し、社会生物学を新たな科学分野として成立させた(「新たな総合」には人類学社会学生物学との統合の意味込められていた)。ジョン・メイナード=スミス彼の著書を「貴重な要約にすぎない)」とのべ、リチャード・ドーキンス前時代的総合呼んだウィルソンドーキンス違って血縁選択説群選択含めており、また進化ゲーム理論強調しなかった)が、自分には欠けている生態学的な視点豊富な例証満ちていると述べたウィルソンこの分野に果たした理論的貢献小さいが、他の研究が行った関連する膨大な研究をまとめあげ、新たな分野がここにあると宣言することで潜在的な理論家たちを結集させた。そしてこの分野を巡る論争中心的な役割果たし続け成立貢献果たした見なされるようになった

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