心雑音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/19 14:58 UTC 版)
心雑音(しんざつおん, cardiac murmur(カルディアック・マーマー))は正常な心臓では発生しない異常粗雑な心音であり、循環器病の診断の目安となる症候の1つ。
分類
心雑音の原因としては心臓の器質的異常を伴うものと伴わないものとがある。
音量
心雑音の音量は重症度を調べる目安となり、Levineの6段階分類法に従って評価されることが多い。
位相
心臓は心房と心室が交互に収縮しているので、心室が収縮と拡張を1回ずつ行うと心臓が1回鼓動した事になる。この1回の内、どのタイミングで雑音が聞えるかによって病態を診断する目安となる。タイミングは心音と比較する事で調べる。
心音
心音は通常以下の順番で発生する。
- I音(いちおん)
- I音は、心室が収縮する時に房室弁が閉じ、血流が突然遮断されることに起因し発生するさまざまな要因の音。ドックンと言う擬音語のドッに相当する。
- II音(におん)
- II音は、心室が拡張する時に動脈弁が閉じる音。ドックンと言う擬音語のクンに相当する。
- III音(さんおん)
-
III音は、拡張早期に心房から勢いよく来た血液が心室壁を振動させる事で生じる心音。
- 意義
- 心臓が元気な若者で聞こえる事がある。病的意義は、心筋壁が障害されている心筋症等が考えられる。
- 意義
- IV音(よんおん)
- IV音は心房収縮時の血液流入に伴う衝突音。
これらの心音の内どれとどれの間に聞えるかで心雑音のタイミングを判断する。心雑音は出現時期により収縮期雑音、拡張期雑音、両者が混在する3種類に分類される。III音とIV音を合わせて過剰心音と呼ぶことがある。
- 収縮期雑音
- 収縮期雑音は心室が収縮しているときに出る雑音であり、心音で言えばI音とII音の間に聞える雑音、擬音語で言えばドッとクンの間で聞こえる音である。
- 拡張期雑音
- 拡張期雑音は心室が拡張しているときに出る雑音であり、心音で言えばII音とI音の間に聞える雑音、擬音語で言えばクンとドッの間で聞こえる音である。
- 混在するもの
- 混在するものはI音を超えて鳴りつづけるものや、II音を越えて鳴り続けるものがある。
関連項目
参考文献
![]() |
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
循環器系の正常構造・生理
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
心臓 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
血管 |
|
典拠管理データベース: 国立図書館 ![]() |
---|
心雑音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 07:19 UTC 版)
心雑音とは一般に心音と心音の間に聞かれる音であり心音よりも持続時間が長いのが特徴である。部位、時相、音程(ピッチ)などによって分類される。心臓カテーテル検査における圧較差のによって決定されることが多い。ピッチは高いほど病的であり、拡張期雑音も病的である。収縮期雑音は生理的なこともあるが時相が収縮後期になるほど病的な雑音の可能性が高くなる。また心雑音が聴取された場合はレバイン分類で記載する。重症例は聴診所見だけではなくスリルが触れるかという触診所見も重要となる。特に重要なのは心雑音が収縮期か拡張期かを同定することである。これは I 音と II 音の同定ができれば問題はない。心拍数が100/minを超えると収縮期と拡張期の判別はしばしば困難になる。また心雑音の音量が大きい時も間違えやすいため、頸動脈の触診を用い、拍動が感じる前が I 音という所見を参考にしながら行うことが望ましい。 レバイン I 度 - 極めて微弱で注意深い聴診で聴こえる雑音 レバイン II 度 - 弱いが聴診器を当てるとすぐに聴こえる雑音 レバイン III 度 - 振戦を伴わない高度の雑音 レバイン IV 度 - 振戦を伴う高度の雑音 レバイン V 度 - 聴診器の端を当てただけで聴こえる雑音、振戦を伴う。 レバイン VI 度 - 聴診器を胸壁に近づけただけで聴こえる雑音、振戦を伴う。 収縮期とは I 音と II 音の間であり、拡張期とは II 音と I 音の間である。駆出性は増減性がある音、逆流性とは増減性のない音である。心臓カテーテル検査、心電図、心臓超音波検査といったほかの検査の理論から定義されている。また傾向として機能性雑音は収縮早期であり器質性雑音は収縮中期以降から拡張期にわたることが多い。 器質性雑音機能性雑音音量 大きく III / VI 度以上である。ただし閉鎖不全症の雑音は小さくても器質性雑音である。 小さく III / VI 度以内である。スリルは触れない。 時期 全収縮期や収縮中期、収縮後期 収縮早期が多い。全収縮期はない。 心音の異常 伴うことが多い。 一般に伴わない。 確実に機能性雑音と言い切るには次の条件が必要である。それは収縮期雑音であり、I 音と II 音が正常であり過剰心音が存在しない。膜型(ベル型では強く押し当てる)では聞こえにくい低調音である。そして自覚症状がなく、心電図、X線写真で異常がないことである。雑音の放散部位も所見となる。心雑音が頸部に放散すれば大動脈弁由来、頚部ではなく背部に放散すれば僧帽弁由来である可能性が高い。なお、心雑音が圧較差に由来するため、圧較差が少ない右心系の弁膜症では雑音は聞かれないことが多い。心電図やX線写真で右心負荷所見を探し、心臓超音波検査で確認を行うというプロセスを踏むことが多い。
※この「心雑音」の解説は、「聴診」の解説の一部です。
「心雑音」を含む「聴診」の記事については、「聴診」の概要を参照ください。
「心雑音」の例文・使い方・用例・文例
心雑音と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
- 心雑音のページへのリンク