ねつ‐ざつおん【熱雑音】
熱雑音
熱ノイズ(熱雑音、thermal noise)
熱雑音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/31 21:50 UTC 版)
熱雑音(ねつざつおん、英: thermal noise)は、抵抗体内の自由電子の不規則な熱振動(ブラウン運動[1])によって生じる雑音のことをいう。1927年にこの現象を発見した二人のベル研究所の研究者ジョン・バートランド・ジョンソン及びハリー・ナイキストの名前からジョンソン・ノイズまたはジョンソン-ナイキスト・ノイズとも呼ばれる。
抵抗体内で発生する雑音の電圧Vn [V][2]、電流In [A]は次式で与えられる。
ここでk B はボルツマン定数[JK−1]、T は導体の温度[K]、Δf は帯域幅[Hz]、R は抵抗値[Ω]である。
従ってノイズの大きさPn [W]は次式で与えられる。
また、雑音元(信号元)から回路に入力される雑音電力を入力雑音電力と言い、電気通信分野での増幅器雑音計算には専らこちらが使用される。入力雑音電力N i [W]は次式で与えられる。
入力雑音電力がこの数式で与えられるのは、雑音元を、起電力が上記の、内部抵抗がの電源と考え、負荷につないだときに負荷で消費される電力として計算するからである。入力された電力を、反射することなく負荷で完全に消費するには、負荷のインピーダンスがである必要があり、その結果として上記の入力雑音電力が導出される。
ノイズの大きさは温度で決まる。室温(300[K])のノイズ(入力雑音電力)の大きさP をデシベル単位(dBm)で表すと
である。
熱雑音が問題になるような領域は極めて小さい信号を扱う場合で、そのような場合は、増幅器を極低温まで冷却して極限まで雑音性能を高めることなどがされる。
熱雑音が有効活用される例として、コンピュータの乱数発生器に熱雑音を用いる物がある。
脚注
- ^ 遠坂俊昭 (1997). 計測のためのアナログ回路設計. CQ出版社. p. 15. ISBN 978-4-7898-3284-7
- ^ 菅野 允 (1986). 基礎電気電子計測. コロナ社. p. 123. ISBN 4-339-00418-9
関連項目
熱雑音
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「ノイズ (電子工学)」の記事における「熱雑音」の解説
詳細は「熱雑音」を参照 熱雑音はジョンソン・ナイキスト・ノイズとも呼ばれ、電気伝導体中の電荷担体(通常は電子)の熱による無作為な動きによって発生し、防ぐことが出来ない。印加電圧の大小に関わらず発生する。 熱雑音はほぼホワイトノイズであり、そのパワースペクトル密度は周波数スペクトル全域に渡ってほぼ同じである。その信号としての振幅は正規分布に極めて近い。熱雑音の影響を考慮した通信システムのモデルとして「加法性ホワイトガウスノイズ (AWGN) チャネル」がある。 抵抗器 R(Ω)で帯域幅 Δf(Hz)のとき、熱雑音 v n {\displaystyle v_{n}} の二乗平均平方根 (RMS) 電圧は次のようになる。 v n = 4 k B T R Δ f {\displaystyle v_{n}={\sqrt {4k_{B}TR\Delta f}}} ここで kB はボルツマン定数(J/K)、T はその抵抗器の絶対温度(K)である。 熱雑音の量はその回路の温度によって決まるため、電波望遠鏡のプリアンプのような高感度の回路では、液体窒素で冷却して熱雑音を低減させることがある。 また、雑音元(信号元)から回路に入力される雑音電力を入力雑音電力と言い、電気通信分野での増幅器雑音計算には専らこちらが使用される。入力雑音電力N i [W]は次式で与えられる。 N i = k B T Δ f {\displaystyle N_{\mathrm {i} }=k_{\mathrm {B} }T\Delta f}
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熱雑音
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1926年、ジョン・バートランド・ジョンソンが熱雑音を発見し1928年にハリー・ナイキストがこれを理論的に説明した。電流のない状態では二乗平均電圧 ⟨V 2⟩ は電気抵抗 R 、温度 kBT 、および帯域幅 Δν に依存し、次のようになる: ⟨ V 2 ⟩ = 4 R k B T Δ ν . {\displaystyle \langle V^{2}\rangle =4Rk_{\mathrm {B} }T\Delta \nu .}
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