熱雑音とは? わかりやすく解説

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ねつ‐ざつおん【熱雑音】


熱雑音

【英】:thermal noise

導体半導体素子中の電子不規則な熱運動によって起こる雑音で、温度が高いほど大きな雑音発生する周波数依存性はなく一様なスペクトルを持つので、ホワイトノイズとも言われるEDS半導体検出器スロースキャンCCDカメラYAG単結晶シンチレータ冷却するのは、このを抑えるためである。

説明に「熱雑音」が含まれている用語

  • 熱雑音

熱ノイズ(熱雑音、thermal noise)

 抵抗体内部では電流を運ぶ電子またはイオン熱運動していてその分布が空間的時間的に一様でない。この“ゆらぎ”のため、その両端の間には不規則な電位差生ずる。これを雑音電圧、または熱雑音、ジョンソン雑音という。超電導回路低温動作させるため、この熱雑音が、室温動作させる半導体の場合より格段に小さい。このことが、超電導デバイスが小振幅でも(熱雑音に乱されずに)安定動作する理由一つである。

熱雑音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/31 21:50 UTC 版)

熱雑音(ねつざつおん、: thermal noise)は、抵抗体内の自由電子の不規則な振動(ブラウン運動[1])によって生じる雑音のことをいう。1927年にこの現象を発見した二人のベル研究所の研究者ジョン・バートランド・ジョンソン及びハリー・ナイキストの名前からジョンソン・ノイズまたはジョンソン-ナイキスト・ノイズとも呼ばれる。

抵抗体内で発生する雑音の電圧Vn [V][2]電流In [A]は次式で与えられる。

ここでk Bボルツマン定数[JK−1]、T導体温度[K]、Δf帯域幅[Hz]、R抵抗値[Ω]である。

従ってノイズの大きさPn [W]は次式で与えられる。

また、雑音元(信号元)から回路に入力される雑音電力を入力雑音電力と言い、電気通信分野での増幅器雑音計算には専らこちらが使用される。入力雑音電力N i [W]は次式で与えられる。

入力雑音電力がこの数式で与えられるのは、雑音元を、起電力が上記の、内部抵抗がの電源と考え、負荷につないだときに負荷で消費される電力として計算するからである。入力された電力を、反射することなく負荷で完全に消費するには、負荷のインピーダンスがである必要があり、その結果として上記の入力雑音電力が導出される。

ノイズの大きさは温度で決まる。室温(300[K])のノイズ(入力雑音電力)の大きさPデシベル単位(dBm)で表すと

である。

熱雑音が問題になるような領域は極めて小さい信号を扱う場合で、そのような場合は、増幅器を極低温まで冷却して極限まで雑音性能を高めることなどがされる。

熱雑音が有効活用される例として、コンピュータ乱数発生器に熱雑音を用いる物がある。

脚注

  1. ^ 遠坂俊昭 (1997). 計測のためのアナログ回路設計. CQ出版社. p. 15. ISBN 978-4-7898-3284-7 
  2. ^ 菅野 允 (1986). 基礎電気電子計測. コロナ社. p. 123. ISBN 4-339-00418-9 

関連項目


熱雑音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 17:06 UTC 版)

ノイズ (電子工学)」の記事における「熱雑音」の解説

詳細は「熱雑音」を参照 熱雑音はジョンソン・ナイキスト・ノイズとも呼ばれ電気伝導体中の電荷担体通常電子)の熱による無作為動きによって発生し、防ぐことが出来ない印加電圧大小関わらず発生する。 熱雑音はほぼホワイトノイズであり、そのパワースペクトル密度周波数スペクトル全域渡ってほぼ同じである。その信号としての振幅正規分布極めて近い。熱雑音の影響考慮した通信システムモデルとして「加法性ホワイトガウスノイズ (AWGN) チャネル」がある。 抵抗器 R(Ω)帯域幅 Δf(Hz)のとき、熱雑音 v n {\displaystyle v_{n}} の二乗平均平方根 (RMS) 電圧次のうになるv n = 4 k B T R Δ f {\displaystyle v_{n}={\sqrt {4k_{B}TR\Delta f}}} ここで kBボルツマン定数(J/K)、T はその抵抗器絶対温度(K)である。 熱雑音の量はその回路温度によって決まるため、電波望遠鏡プリアンプのような高感度回路では、液体窒素冷却して熱雑音を低減させることがあるまた、雑音元(信号元)から回路入力される雑音電力入力雑音電力と言い電気通信分野での増幅器雑音計算には専らこちらが使用される入力雑音電力N i [W]は次式で与えられるN i = k B T Δ f {\displaystyle N_{\mathrm {i} }=k_{\mathrm {B} }T\Delta f}

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「熱雑音」を含む「ノイズ (電子工学)」の記事については、「ノイズ (電子工学)」の概要を参照ください。


熱雑音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 01:18 UTC 版)

揺動散逸定理」の記事における「熱雑音」の解説

1926年ジョン・バートランド・ジョンソンが熱雑音を発見し1928年ハリー・ナイキストがこれを理論的に説明した電流のない状態では二乗平均電圧V 2⟩ は電気抵抗 R 、温度 kBT 、および帯域幅 Δν に依存し次のうになる: ⟨ V 2 ⟩ = 4 R k B T Δ ν . {\displaystyle \langle V^{2}\rangle =4Rk_{\mathrm {B} }T\Delta \nu .}

※この「熱雑音」の解説は、「揺動散逸定理」の解説の一部です。
「熱雑音」を含む「揺動散逸定理」の記事については、「揺動散逸定理」の概要を参照ください。

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