熱陰極タイプ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 08:39 UTC 版)
熱陰極電離真空計は、フィラメントを陰極とする三極管を利用してできている。3つの電極はそれぞれ、コレクター (あるいはプレート)、フィラメント、グリッドと呼ばれる。コレクターを流れる電流を検電器を使ってピコアンペアの精度で測定する。フィラメントに掛けられる電圧は30ボルトほど。グリッドに掛けられる電圧は直流で180-210ボルト、電子衝突器 (electron bombardment) を付ければ最大565ボルトである。よく使われる電離真空計は、グリッドの内側に小さなコレクターが置かれたベアード・アルバート型電離真空計 (Bayard-Alpert gauge, B-A gauge) である。ガラスの容器に入れられた電極を真空にさらして測定するタイプもあるが、たいていは裸の電極 (Nude Gauge) をセラミックのプレートを通して真空に直接挿入するタイプである。電極がまだ熱いうちに空気 (あるいは低真空)に触れると、電極は劣化し、正確性を失う。また、熱陰極電離真空計の測定値は、常に対数関数的である。 フィラメントから発した電子は、グリッドに到達する前に、グリッドの周りを何周か回る。この間に、いくつかの電子は気体分子と衝突してイオンを生成する。発生するイオンの数は、フィラメントから発せられる電流と気体分子密度の積に比例する。これらのイオンはコレクターに集められて電流を発生する。高真空では気体分子密度と圧力がほぼ比例しているため、イオン流から周囲の圧力を推定することができる。 熱陰極ゲージは、低圧では光電効果によって感度が下がる。グリッドに電子が当たるとX線が発生し、イオンコレクターでノイズが発生する原因となる。この現象は、古いタイプの熱陰極ゲージでは10−8 Torr、ベアード・アルバート型でも10−10 Torrに達すると発生する。イオンコレクターとグリッドの間に陰極性の金属線を配すると、この影響をやや減少させることができる。抽出タイプ (extraction type) と呼ばれる装置では、イオンはワイヤーではなく、先端に穴が開いた円錐状の部品に集められる。円錐のどの部分に当たっても、イオンは先の穴から出ていくため、イオンビームとなる。このイオンビームが、次の部品に当てられる。 ファラデーカップ マイクロチャンネルプレート検出器 with Faraday cup 四重極質量分析器 with Faraday cup 四重極質量分析器 with Microchannel plate detector Faraday cup イオンレンズと加速電圧を利用したスパッタリングガンでターゲットに当てるタイプ。このタイプでは、圧を測定したい環境のガスをグリッドケージに入れて使用する。 これらの方法についての詳細はEI法を参照のこと。
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