電離真空計 ionization gauge
電離真空計
電離真空計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 07:20 UTC 版)
電離真空計(でんりしんくうけい)は、気体をイオン化させ、流れる電流を測定することによって圧力を求める真空計の一種である。三極真空管にきわめて似た構造をもつが、動作原理はまったく違うものである。
電子が飛び出すフィラメント、グリッド、イオンを集めるコレクタより構成される。 フィラメントより飛び出した電子は何度か往復しながらグリッドへ向かうが、 その過程で電子は気体をイオン化していく。 当然気体の圧力が高いほうがイオン化される分子、原子が多い事になる。 イオン化された気体は -にバイアスされたコレクタに流れ込み、その電流を測定することによって 間接的に圧力を測定している。
気体の種類によってイオン化される効率に違いがあるため、気体の種類が変われば他の真空計と同じように測定値に大幅な変化をきたすおそれもある。測定の上限は酸素などの酸化性ガスでなければ1Pa程度であるが、高い圧力で作動させるとフィラメントの消耗が激しい。
グリッドから放出される軟エックス線による光電効果により 測定に関係のない電流がコレクタに流れこみ、測定不能になることによるため、 測定の下限は 1 × 10−5 Pa 程度である。
同じ原理で動作する真空計としてB-Aゲージがあるが、こちらはコレクタの面積を減らし軟エックス線の影響を減らしている。
関連項目
電離真空計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 08:39 UTC 版)
電離真空計は、非常に高い真空 (「固い真空」、hard vacuumsとも)に適した高感度の圧力計である。気体分子に電子が衝突して生じるイオンを測定することにより、圧力を間接的に測定する。つまり、圧力が低ければ気体が少ないので、発生するイオンの量も少ないことを利用する。ただし発生するイオンの量は測定する気体の種類の影響を受け、そして高真空ではその組成を求めるのが難しいので、マクラウド真空計で校正してから使用することが多い。 エジソン効果により、フィラメントから熱によって放出された電子が、気体分子と衝突して、気体分子はイオンとなる。そのイオンはバイアスされた陰極に引き付けられる。その陰極を通じて流れる電流の量は、イオン化する速度に比例する。イオン化する速度は気体の量、すなわち圧力の関数となるため、この電流から気体の圧力を測定することができる。 測定レンジは10−10 - 10−3 torr (約10−8 - 10−1 Pa)である。 電離真空計は大きく2つに分けられる。熱陰極タイプと冷陰極タイプである。このほか、高感度で高価なスピニング・ロータ・ゲージ (spinning rotor gauge) というものもある。 熱陰極タイプの真空計 (Hot filament ionization gauge) では、電流により加熱したフィラメントから電子のビームが発生する。発生した電子は周囲のガス分子をイオン化する。生じたイオンは陰極に引き寄せられる。その電流の量はイオンの数で決まり、つまり気体の圧力で決まる。熱陰極ゲージは10−3 Torrから10−10 Torrの範囲で測定が可能である。冷陰極タイプも検出の原理は同じだが、電子が冷陰極管を使った高電圧による放電で作られるところに特徴がある。10−2 Torrから10−9 Torrの範囲で測定が可能である。電離真空計の校正は、測定場所周辺の形状、測定するガスの組成、電極表面の腐食や汚れの影響を大きく受ける。高真空中に微量に存在するガスの組成を正確に知ることは簡単な方法ではできないので、質量分析法を併用する場合も多い。
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