半導体の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/28 05:21 UTC 版)
ダイヤモンド型構造あるいは閃亜鉛鉱型構造をとる半導体は、四面体方向に手が伸びているsp3混成軌道によって元素同士が結合しており、その結合性軌道によって価電子帯は構成されている。一方、伝導帯は反結合性軌道によって構成されている。 s軌道とp軌道のエネルギー差が大きく、Γ点では軌道の混成がないため価電子帯上端付近はほぼp軌道の成分からなり、バンド図上では上に凸なエネルギー分散関係になる。スピン軌道相互作用やkp摂動を取り入れることでバンドの縮退が解け、重い正孔バンド、軽い正孔バンド、スプリットオフバンドに分かれる。これは3つのp軌道、つまりpx、py、pz軌道の軌道角運動量成分(軌道磁気量子数 m = -1, 0, 1)がそれぞれ異なることと、スピン角運動量(s = ± 1/2)を含めた全角運動量の違いに由来する。 シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)のような単一元素からなるIV族半導体と、ヒ化ガリウム(GaAs)やヒ化インジウム(InAs)のような複数の元素からなる化合物半導体では価電子帯を構成している軌道の成分に違いがある。基本的には、価電子帯は電気陰性度の大きい元素由来のsp3混成軌道によって構成されている。 例えば、GaAsにおいてはGaとAsは共有結合で結合しているものの、同時にイオン性の結合も有している。電気陰性度の違いによりGa原子とAs原子に電荷の偏りが生じて電子はAs原子側に長い間滞在し、価電子がAs原子の軌道を占有する。すると、マーデルングポテンシャルによってAs由来のsp3混成軌道とGa由来のsp3混成軌道にエネルギー差が生じ、価電子帯はエネルギーの低いAs由来のsp3混成軌道から構成されることになる。 表 話 編 歴 半導体分類 P型半導体 N型半導体 真性半導体 不純物半導体 種類 窒化物半導体 酸化物半導体 アモルファス半導体 磁性半導体 有機半導体 半導体素子 集積回路 マイクロプロセッサ 半導体メモリ TTL論理素子 バンド理論 バンド構造 バンド計算 第一原理バンド計算 伝導帯 価電子帯 禁制帯 フェルミ準位 不純物準位 自由電子 正孔 ドーパントドナー アクセプタ 物性物理学 トランジスタ バイポーラトランジスタ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ 電界効果トランジスタ薄膜トランジスタ MOSFETパワーMOSFET CMOS HEMT サイリスタ静電誘導サイリスタ ゲートターンオフサイリスタ UJT 関連 ダイオード 太陽電池 関連項目 pn接合 ホモ接合 ヘテロ接合単一ヘテロ接合 ダブルヘテロ接合 空乏層 ショットキー接合 電子工学パワーエレクトロニクス電力用半導体素子 オプトロニクス 電子回路増幅回路 高周波回路 半導体工学 金属 絶縁体 カテゴリツリー コモンズ・カテゴリツリー この項目は、自然科学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(Portal:自然科学)。
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