半導体におけるバンドギャップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 09:21 UTC 版)
「バンドギャップ」の記事における「半導体におけるバンドギャップ」の解説
電子がバンドギャップを越えて価電子帯と伝導帯の間を遷移するには、バンドギャップ幅以上の大きさのエネルギー(光や熱)を吸収または放出する必要がある。半導体素子においてはこのようなバンドギャップ周辺での電子の遷移を制御することによって、様々な機能を実現している。 バンドギャップはE-k空間上におけるバンド間の隙間であるため、バンドギャップを越えて遷移するには、エネルギー(E)だけでなく、波数(k)も合わせる必要がある。波数が変化しない遷移(直接遷移)ならば光だけで遷移可能である。波数が異なる遷移(間接遷移)の場合、格子振動との相互作用を介する遷移となる。 バンドギャップが大きい物質は光子によって電子が励起されにくくそのまま光子が通過するため、可視光波長域のエネルギー以上に大きなバンドギャップを持つ物質は透明になる。 バンドギャップの大きさ(禁制帯幅)を表す単位としては通常、電子ボルト(eV)が用いられる。例えばシリコンのバンドギャップは約1.2 eV、ヒ化ガリウムでは約1.4 eV、ワイドギャップ半導体の窒化ガリウムでは約3.4 eVである。物質内部で伝導に寄与する全電子のポテンシャルエネルギーが1eV変化することは、物質全体の電位が1 V変化することに相当する。バンドギャップの大きさは、PN接合などを動作させる時に必要な印加電圧に大きく影響する。たとえばシリコンのダイオードは通常0.6~0.7 V程度で動作するが、窒化ガリウムの青色発光ダイオードを動作させるには、3 Vを越える電圧を供給する必要がある(PN接合の項も参照)。
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