非縮退の近似
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/20 09:05 UTC 版)
伝導帯の電子について、エネルギー準位Eを占有する電子数の統計的平均はフェルミ分布で表される。 f ( E ) = 1 e ( E − E F ) / k T + 1 {\displaystyle f(E)={\frac {1}{e^{(E-E_{F})/kT}+1}}} ここで E F {\displaystyle E_{F}} はフェルミエネルギー(化学ポテンシャル)である。フェルミエネルギーは価電子帯の電子密度と伝導帯の正孔密度に依存する。例えば真性半導体のフェルミエネルギーはバンドギャップのほぼ真ん中に位置するが、ドナーが添加されることで伝導帯の電子濃度が高くなるとフェルミエネルギーの位置は伝導帯に近づく。 ここで不純物添加量が小さい非縮退半導体の場合を考える。このときフェルミエネルギーはバンドギャップ内に存在し、伝導帯からも価電子帯からも十分に離れている。つまり伝導帯下端のエネルギー E C {\displaystyle E_{C}} と価電子帯上端のエネルギー E V {\displaystyle E_{V}} として、 E V + 3 k T < E F < E C − 3 k T {\displaystyle E_{V}+3kT<E_{F}<E_{C}-3kT} が成り立つ。このときフェルミ分布はボルツマン分布で近似することができる。 f ( E ) = e − ( E − E F ) / k T {\displaystyle f(E)=e^{-(E-E_{F})/kT}} 非縮退のn型半導体では、ドナー原子は十分に希薄であり、孤立原子のようにふるまう。非縮退半導体のバンドギャップは真性半導体のバンドギャップギャップ E g 0 {\displaystyle E_{g0}} と同じである。熱平衡状態の非縮退半導体における電子密度 n 0 {\displaystyle n_{0}} と正孔密度 p 0 {\displaystyle p_{0}} の積は、有効状態密度を使って次のように書ける。 n 0 p 0 = n i 2 = N C N V e − E g 0 / k T {\displaystyle n_{0}p_{0}=n_{i}^{2}=N_{C}N_{V}e^{-E_{g0}/kT}}
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