加算性白色ガウス雑音とは? わかりやすく解説

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加算性白色ガウス雑音

(AWGN から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/06 03:37 UTC 版)

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加算性白色ガウス雑音 (かさんせいはくしょくがうすざつおん、Additive white Gaussian noise、AWGN) は自然界で発生する多数のランダム過程の効果を模倣する目的で、情報理論で用いられる基本的ノイズモデル。その修飾語は固有の特性を表している。

  • 加算性(additive) とは対象システムに本質的に備わっているであろう雑音に加算されることを意味する。
  • 白色(White) とは対象システムにおける周波数帯域全域にわたって均一なパワーを持つことを意味する。これは可視光域の全ての波長の光を均一に放射する物体が白色に見えることになぞらえている。
  • ガウス(Gaussian) とは時間領域における雑音の値が平均が0の正規分布にしたがうことを意味する。

広域帯の雑音は、導体中の原子の熱振動(熱雑音もしくはジョンソン・ナイキスト・ノイズと呼ばれる)などの多くの自然発生源、ショットノイズ、地球や他の温かい物体による黒体輻射太陽などによる天体源によるものである。確率論における中心極限定理は、多くのランダム過程の総和が正規分布(ガウス分布)になる傾向にあることを示している。

AWGNは、通信に対する唯一の障害が、一定のスペクトル密度帯域幅1ヘルツ毎のワットで表される)及びガウス分布の振幅を持つ広帯域もしくは白色の雑音の線形加算である通信路のモデルとして用いられる。このモデルは、フェージング周波数選択性、干渉 (通信)、非線形性分散 (光学)を考慮に入れていない。しかし、これらの他の現象を考慮する前に、系の基本的な振る舞いについての洞察を得るために有益な、単純で扱いやすい数学的なモデルである。

AWGNは多くの衛星と深宇宙通信の繋がりのいいモデルである。マルチパス、地形による遮断、干渉などの理由から、殆どの陸上における繋がりに対してはいいモデルではない。しかし、地上経路のモデリングにおいては、現代の無線システムが地上で運用しているときに遭遇するマルチパス、地形による遮断、干渉、地面クラッタ、自己干渉に加え、研究中である通信路の背景雑音をシミュレートするために一般的に使用されている。

通信路容量

AWGNの通信路は離散時間の事象の添え字

雑音余弦のゼロ交差

シリアルデータ通信においては、ランダムジッタ(RJ)に起因するタイミング誤差をモデル化するためにAWGNの数学モデルが使われる。

右のグラフは、AWGNに関連したタイミングエラーの一例を示している。変数Δtはゼロ交差における不確実性を表す。AWGNの振幅が増加するにつれ、SN比が減少する。結果として不確実性Δtが増加する[1]

AWGNの影響を受けると、入力が正弦波で出力が狭帯域フィルタによる出力である、正もしくは負の方向へ進むゼロ交差の平均回数は以下のようになる。

フェーザ領域におけるAWGNの寄与

現代の通信システムでは、帯域制限されたAWGNは無視できない。フェーザ領域で帯域制限されたAWGNをモデル化すると、統計的解析により、実部および虚部の振幅はガウス分布モデルに従う独立変数であることが分かる。これらを結びつけると、合成したフェーザの位相は0から2πまで均一に分布している一方、大きさはレイリー分布のランダム変数である。

右のグラフは、帯域制限されたAWGNがコヒーレントキャリア信号にどのように影響するかの一例を示している。ノイズベクトルの瞬時応答は正確に予測することはできないが、時間平均応答は統計的に予測することができる。グラフに示されている通り、我々はノイズフェーザの約38%は1σ円内に存在することを確信をもって予測することができる。約86%は2σ円内、約98%は3σ円内に存在する[1]

関連項目

参考文献

  1. ^ a b McClaning, Kevin, Radio Receiver Design, Noble Publishing Corporation 



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