デコンプレッションとは? わかりやすく解説

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デコンプレッション【decompression】

読み方:でこんぷれっしょん

コンピューターで、圧縮されファイル展開すること。→解凍2

減圧


デコンプ

【別称】デコンプレッション
デコンプ=デコンプレッション(圧抜き)の略であるが、デコンプの説明をする前にエンジンをかける方法知っていないと理解しづらいので、まずはエンジンスタートの仕組みから説明しようエンジンをかける方法にはキックセルの2通りがある。仕組み両方ほとんど変わりはなく、人力(キック)か電気力を借りる(セル)かの違い具体的にどのような行程を踏むのかというとエンジン回転時に行なっている4つ作業一通り行なう(1)混合気(爆発のもとになる空気)を吸い込む(2)混合気圧縮する(3)点火する(4)排気ガスを外に出す。 この4行程滞りなく1回でも行なえれば、あとは爆発力惰性エンジン回り続けのであるさて、デコンプの話に戻ろうセルモーター始動する場合は、この行程電気の力で行なうが、キック(人力)でやる場合はキックアームを踏んで、これを行なうその際(2)圧縮作業困難を極めるわけだ。たとえ足で踏み込んだところで、空気10分の1くらいに縮めるのには相当の力が必要とされる。そこで空気逃げ道作って圧縮ラクしてやろうというのがデコンプの役割なのだ。手動式場合レバー引いている間は空気逃げ道ができている状態。もとに戻せば通常通り。キックアームの動き連動するオートデコンプもある。ちなみに引きっぱなしだと、圧縮できないのでエンジンかからないSR400装備されている。
デコンプ


関連用語キック 混合気 セル

デコンプレッション機構

(デコンプレッション から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/23 08:01 UTC 版)

ヤンマー・YSB8船舶用ディーゼルエンジンのデコンプ機構(黒いレバー)

デコンプレッション機構(デコンプレッションきこう、: compression release mechanism)とはレシプロエンジンの機構の一つで、シリンダー圧力を解放してエンジン始動性の向上や振動を低減させるもので、これに加え、ディーゼルエンジンでは停止させるための機構の一種でもある。デコンプ機構デコンプと略して呼ばれる場合が多い。英語圏ではコンプレッション・リリースとも呼ばれる。

オートバイ

シリンダーの単室容積がおおむね350 cc以上の排気量を持つエンジンで、かつ単気筒のように爆発間隔が大きいものは、人力での始動に労力を要し、同時にケッチンを食らう危険も伴うため、これらを回避できるデコンプレッション機構を備えることがある。

キックスターターなどの人力始動装置を用いて始動を行う際に、圧縮上死点をやや過ぎた辺りにピストンを位置させてからキックペダルを蹴り始めると、最初の(クランキングの最たる抵抗である)圧縮上死点までのクランクシャフト回転数を最大(4ストローク機関で2回転弱)にでき、始動が容易になる。ピストンの位置を合わせるにはキックペダルをゆっくりと動かしてクランクシャフトを回転させるが、このとき圧縮上死点の手前ではシリンダー内圧が上がって回転の抵抗となる。特に排気量が大きいエンジンでは抵抗が大きく、キックペダルを動かすために大きな力が必要になる。このとき力任せにキックペダルを動かすと勢い余って、初期位置として理想的なピストン位置を行きすぎてしまうことがある。デコンプレッション機構はこうした不便を解消するためにシリンダーの内圧を解放して始動前の準備をスムーズに行えるようにする機構である。

シリンダーヘッド排気バルブやデコンプ専用のバルブを開いて圧力を逃がす構造となっていて、バルブの開放はハンドルに設けられたレバーを操作して行う場合と、キックペダルに連動してバルブが開くオートデコンプの場合がある。同時に、蹴り始める位置として理想的なピストン位置となっていることを表示するキックインジケータを装備する車種もある。現行車種ではヤマハ・SR400がデコンプレバーとキックインジケータの両方を装備している[1]

デコンプ機構もキックインジケータも始動の補助機構であり、原動機にとって必須機構ではない。慣れによりデコンプを操作しなくても始動できる場合がある。

ハーレー・ダビッドソンでは、キックスターターやセルモーターの始動負荷を低減させる目的で、2024年現在の現行車種であっても、ワイヤー式やプッシュボタン式の手動デコンプがシリンダーヘッドや点火プラグホールに後付けされることも多い[2]

1960年代から1970年代初頭に掛けて、2ストロークエンジンを採用するオフロードバイクでは、従来から存在したシリンダーヘッドのワイヤー式手動デコンプバルブを排気ポートに移動し、排気ポートタイミングを手動で可変させることでデコンプの機能を実現する排気ポートデコンプ(デコンプブレーキ)が一時的に流行した。4ストロークエンジンと異なり、2ストロークエンジンはスロットルを閉じてもエンジンブレーキの効果が低いが、可変排気ポートによるデコンプ効果を利用することでエンジンブレーキと同じ働きが得られたからである。この時代のオフロードバイクは前輪が汚損に強いドラムブレーキであることが一般的で、長丁場のオフロード走行では、ブレーキシューのフェードを防ぐ意味でも排気ポートデコンプの採用には重要な意味があった。しかし、1980年代以降はYPVSに代表される可変ポートタイミング機構排気デバイスの採用により、排気デコンプ効果を代替的に得られるようになり、穴開き型ブレーキローターの普及により前輪ディスクブレーキの汚損に対する信頼性も向上したことから、このような手動式排気ポートデコンプは用いられなくなった[3]

同時期、依然としてキックスターターの採用が多かったオフロードバイクを中心に、4ストローク単気筒エンジンの高出力化が進んでくると、DOHCの排気カムシャフトに遠心式の可変バルブタイミング機構を設け、始動等のごく低回転時のみに排気バルブタイミングを早めてデコンプレッションを行う自動遠心式デコンプ(ACR)が考案され、1984年のカワサキ・KL250R英語版KACR(カワサキ・オートマチック・コンプレッション・リリース)として初採用されたのを皮切りに、上位車種のカワサキ・KL600Rや、後継車種のカワサキ・KLXシリーズなどにも採用された[4]

2010年代以降はドゥカティ・1199などのロードバイクでもACRの採用が進み、高圧縮比に伴うセルモーターの大型化を抑制し、高出力と車体の軽量化の両立に貢献している[5]

汎用エンジン

ブリッグス・アンド・ストラットン英語版により1984年に特許取得されたACR機構の概念図[6]

始動装置としてリコイルスターターを用いる草刈り機チェーンソーにもデコンプレッション機構が組み込まれ、始動時の労力の軽減に寄与している。排気量25cc以下の4ストロークエンジンで電磁弁式のデコンプレッション機構が組み込まれているものは、オペレーターのボタン操作若しくはリコイルスターターの紐の位置を検出して自動的に作動する。排気量35ccを超えるエンジンの場合、DSP (DECOMPRESSION VALVE STARTING) と呼ばれる機械式のバルブの開閉によってデコンプレッションを行う場合が多い。DSPは、1966年にアメリカのチェーンソーメーカーのマッカラー・モータース英語版によって手動式のものが搭載[7]され、その後1972年に現在の自動式のものが登場[8]し、今日の多くのチェーンソーで用いられている[9]。このDSPはエンジン停止時は開放状態が維持されているが、クランキングによりピストンが上下し始めるとシリンダーの内圧によって自動的に閉鎖される構造である。

また、こうしたデコンプレッションとは別に、近年では2ストロークエンジン向けに、特殊な形状の排気ポートを用いることで低速回転時にデコンプレッション効果を発揮する排気デコンプ[10]構造も広く採用されている。

汎用エンジンでは、富士ロビン・EH型エンジンなどの大排気量のサイドバルブOHV単気筒エンジンに、オートバイと同様の遠心式ACRが採用されている。ホンダが開発した草刈機向けの超小型4ストロークOHCエンジンであるホンダ・GX25にもカムスプロケットに内蔵されたACRが採用された。ACRは排気カム[11]若しくは排気カムスプロケット[12]に何らかの可動機構を設ける最低限の設計変更だけで始動時のみデコンプが作用するため、オペレーターのリコイルスターターの操作力低減に貢献した。

汎用エンジンにおけるACRは、歴史的には1906年に米国のドッグ・ガスエンジン社により最初期の特許取得が成されているが[13]大量生産された汎用エンジンに広く採用された事例としては、1965年に販売が開始されたコーラーカンパニー・Kシリーズエンジンの為に特許取得されたもの[14]が知られている[15]

一方で遠心式ACRの採用には弊害もあり、オペレーターや整備士の任意でデコンプ機構の作動を停止できないため、コンプレッションテスターによる圧縮圧力測定の際には、アイドリング回転数に相当する勢いでクランクシャフトを回さなければ正確な圧縮圧力が得られない。そのため、ACRを採用したエンジンの整備解説書には、ACRが無いか手動式デコンプを装備した同系列のエンジンに比べて、大幅に低く且つ上下変動幅の大きな圧縮圧力が規定値として記載される事も多い[16]

こうした汎用エンジンの整備では、電動ドリルなどの電動機により強制的にクランクシャフトを高速回転させる手法や、ロッカーカバーを開いて排気側タペット隙間を極端に広くしたり、プッシュロッドやロッカーアームなどのバルブトレーンの構成部品を一時的に取り外すなどして、排気バルブの作動自体を停止させる手法、或いはクランクシャフトを逆回転させることでACRが作動しないようにする手法などにより圧縮圧力の測定が行われる場合があるが[17]、これらの手段が行えない場合には、プラグホールから圧縮空気を送り込んで、主要な圧縮漏れの箇所を探求するリークダウンテスターの使用が推奨されている[18]

このため、前述のように任意に作動を停止できる機械式オートデコンプを開発したスチールなどのメーカーでは、遠心式ACRは用いられなくなった。

ディーゼルエンジン

自動車用のディーゼルエンジンのうち、古い予燃焼式エンジンにデコンプ機構を備えたものがあった。ディーゼルエンジンは圧縮比が高い一方、昔のセルモーター(スターターモーター)やバッテリーは性能が低かったため、セルモーターの負荷を軽減するためにデコンプ機構が用いられた。また、ディーゼルエンジンはイグニッションスイッチを切っても回り続ける場合があり、デコンプ機構によって圧縮を抜くことで燃焼を止めてエンジンを停止させていた[19]

耕耘機等に用いられているセルモーターを持たない小型の汎用ディーゼルエンジンでは、人力での容易な始動を可能にするために、デコンプ機構を作動させながら始動用クランクハンドルを回してフライホイールに十分な慣性モーメントを与えた後デコンプ機構をオフにするという方法が用いられている。

旧日本軍戦車等で広く用いられた空冷ディーゼルエンジンは、様々な構造のデコンプ機構を備えることで始動電動機のみでの始動を可能としていた。(慣性始動装置は始動に時間が掛かるため)九五式軽戦車などで用いられた14.3L直列6気筒では、排気弁のプッシュロッドの作動を制限することでデコンプ機構が各気筒独立して作動させられるようになっており、始動の際には初めに全気筒のデコンプ機構を開いて始動電動機の回転を開始し、十分に回転速度が上がったところで3番・4番気筒のデコンプ機構を閉じて部分的に点火行程を開始し、最後に全気筒のデコンプ機構を閉じる2段階操作で始動操作を完了する仕組みであり、寒冷地などの条件下ではセルモーターを2機搭載して始動トルクを段階的に強化できる工夫も行われていた。九七式中戦車で用いられた21.7L、4弁V型8気筒では、排気弁のカムシャフトを軸方向にスライドさせる事で減圧カムへと切り替える手動式の可変バルブ機構でデコンプ機構を実現しており、九五式の直6、九七式のV8共に予熱栓や吸気予熱装置英語版を持たない設計でありながらも諸外国の戦車と比較して良好な始動性を実現していた。一式中戦車以降採用された統制型一〇〇式V型12気筒では減圧カムは吸気弁側に作用する方式となり、予熱栓を併用する事で始動電動機のみでの始動を実現していたが、鉛蓄電池の性能低下や極寒冷下などの要因により始動電動機のみでは十分な始動トルクが得られない場合には、始動用クランクハンドルによる手動回転も併用された。統制型のうち民生向け水冷機関ではデコンプレバーの操作によりロッカーアームが強制的に押し下げられるよりシンプルな構造が用いられた[20]

スロットルバルブが無く、噴射ポンプの噴射量のみで回転数が制御されるディーゼルエンジンでは、ガソリンエンジンと同等のエンジンブレーキの効果を得るために古くから排気ブレーキリターダーが用いられてきたが、ダウンサイジングに伴う小排気量化が進んだ2000年代以降は、アクセルペダルを戻した時に排気バルブタイミングを可変させ、自動的にデコンプを行う事でエンジンブレーキを実現する圧縮開放ブレーキ(ジェイクブレーキ)も広く採用されるようになった[21]

ガソリンエンジン

一般的な自動車用ガソリンエンジンでは始動性向上のためのデコンプレッションはあまり必要とされることはない。一方で始動時の振動低減のためにデコンプレッションが用いられる事がある。特にハイブリッド車アイドリングストップ車ではエンジンの再始動が頻繁に行われるため、ユーザーに不快感をもたらさないようにデコンプによる振動低減は重要となっている。

一般的な手法としては可変バルブタイミング機構により吸気弁を遅く閉じ、吸気を戻す事でデコンプを行う方法がある。一般的な可変バルブタイミング機構(油圧によりカム位相を可変するタイプ)では仕様上エンジン停止時、吸気カムは最遅角位置(吸気弁遅閉じ)でロックされるため、最遅角位置をデコンプが得られる時期まで遅らせている場合は始動時のデコンプは自動的に行われる事となる。ただし吸気弁の遅閉じによるデコンプは始動時間が伸びる場合があり、閉弁時期が遅すぎる場合は始動性が悪化する。このため始動時間・始動性が悪化しない範囲で吸気バルブタイミングの最遅角位置は設定される。

停止時に最遅角位置でロックされるタイプの可変バルブタイミング機構では始動性確保のために最遅角位置に制限を受けるため、バルブタイミングの作動角度範囲にも制限が生じる。しかし近年では中間ロック方式が開発され、最遅角位置を気にすること無く広い作動角度と始動時の最適な閉弁時期を得る事が可能となっている。また油圧式と異なり電気式の可変バルブタイミングでは始動時の閉弁時期が可変でき、振動低減と始動時間が両立するようにデコンプを調整する事が可能であるため採用理由の一つともなっている。

このように可変バルブタイミング機構が普及し、ハイブリッド車やアイドルストップ車が多くなった現代のガソリン車では振動低減のためのデコンプは一般的に用いられている機構といえる。

脚注

  1. ^ 各部詳細説明”. ヤマハ発動機株式会社. 2011年7月6日閲覧。
  2. ^ Four Stroke Compression Releases - Dan's Motorcycle
  3. ^ Two Stroke Compression Releases - Dan's Motorcycle
  4. ^ カワサキ KL250R(1984) 絶版ミドルバイク - バイクブロス
  5. ^ Ducati 1199 Panigale Engine - Ash On Bikes
  6. ^ US 4453507  Centrifugally responsive compression release mechanism
  7. ^ U.S. Patent No. 3,538,899, "COMPRESSION RELIEF MECHANISM FOR STARTING INTERNAL COMBUSTION ENGINES", issued Nov 10, 1970
  8. ^ U.S. Patent No. 3,893,440, "AUTOMATIC DECOMPRESSION VALVE TO FACILITATE STARTING OF AN INTERNAL COMBUSTION ENGINE", issued July 8, 1975
  9. ^ デコンプ (DSP) 始動時減圧装置 - 株式会社新宮商工
  10. ^ [1]
  11. ^ US3403667A, Santi, John D., "Compression relief for internal combustion engines", issued 1968-10-01 
  12. ^ US4453507A, Braun, Daniel E. & Jack R. Bargenquast, "Centrifugally responsive compression release mechanism", issued 1984-06-12 
  13. ^ US 868765  Internal-combustion engine.
  14. ^ US 3314408  Centrifugally operated compression release mechanism
  15. ^ KOHLER - FocusOn Landscapers
  16. ^ ENGINE COMPRESSION TESTING - Dan's Motorcycle
  17. ^ Professional Kohler Engine Information, Repairing, Rebuilding, Buildups and Modifications - Brian Miller's Websites
  18. ^ How-To: Perform A Leak Down Test On A Motorcycle - How-To Motorcycle Repair
  19. ^ ディーゼルエンジンを停止させるには、この他に燃料吸気のどちらかを遮断する方法がある。
  20. ^ 坂上茂樹「デコンプとその使用法について 陸軍統制系車両用高速ディーゼルにおける始動・停止補助装置」『経済学雑誌 117巻 4号』
  21. ^ [2] - カミンズ

関連項目

外部リンク



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