近世の庶民信仰とは? わかりやすく解説

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近世の庶民信仰

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 04:39 UTC 版)

神道の歴史」の記事における「近世の庶民信仰」の解説

近世以降治安回復したことや、街道整備され宿場町形成されるなど交通事情改善したことで、神道信仰が一層庶民の間に広がるようになった人々は、各地で講と呼ばれる結社結成し参加者の講員は毎年わずかなお金積み立て、その共同出資をもとに籤で選ばれ代表者神社参詣し、講員全員分のお札などを受け取って帰る代参講流行なかでも伊勢神宮参詣目的とした伊勢講をはじめ、富士山本宮浅間大社目的とする富士講金毘羅講稲荷講秋葉講などが全国広く分布した。各講は、御師先達師檀関係を結び、御師は講員の祈祷参詣における宿泊の便を図った。 特に伊勢神宮信仰江戸時代爆発的に広がった伊勢神宮御師師檀関係を結んだ全国檀那のもとに年1-3程度巡行する廻通じて神宮大麻伊勢暦の他、伊勢おしろい伊勢茶などの土産頒布し教化進め人々参宮の際には自邸歓待して神楽あげたり酒や伊勢珍味羽布団もてなして両宮名所旧跡案内しあこがれ伊勢参宮演出した。これらのことで庶民伊勢信仰高まり数百万人庶民一斉に伊勢神宮参拝するお蔭参りが、江戸時代通じて数度に及び発生し神宮大麻頒布率は全国世帯のうちの9割を超える至った庶民神社参詣活発化するに伴い、その案内書多く出版されるうになる斎藤月岑の『江戸名所図会』をはじめ並木五瓶の『江戸神仏願懸重宝記』や岡山鳥の『江戸名所絵花暦』など、全国寺社カタログ化して人々紹介する案内書多く刊行された。また、お伊勢参り珍道中描いた十返舎一九東海道中膝栗毛』や、このヒット受けて追随して著された「膝栗毛もの」と呼ばれる滑稽本など、社寺参詣テーマにした文学近世には多く出版され庶民神道信仰普及貢献した他方神社参詣世俗化参詣者の増加に伴い神社周辺境内地には遊郭私娼芝居物真似など遊興施設が立ち並び始めた例も少なからずあり、武陽隠士は『世事見聞録』で「寺社門前は、悪場所と唱ふるものになり…」と述べ寺社参詣実態批判している。 また、神社参詣者の増加のほか、氏子崇敬者以外の多数見物人参加するようになったことで都市庶民祭礼活発化した。江戸では、江戸三大祭とも称される日枝神社山王祭根津神社根津祭、神田神社神田祭発展し風流こらした屋台山車などを練り出して豪華さ競ったり、朝鮮通信使大名行列などの仮装行列出したりしたことで、大勢見物客が賑わった。江戸以外でも、京都では祇園祭今宮祭大阪では天神祭滋賀では日吉山王祭埼玉では秩父夜祭岐阜では高山祭など、多く都市祭礼活性化したこの中には、近世以前から伝承のある祭りもあるが、やはり近世治安回復したことで新たに再開されたものが多い。 都市祭礼では、出資者領主中心とする場合町人中心とする場合とがあり、前者場合領主が町人に道普請神馬飼育など町役人足を課し、曳き物を出させて祭礼参加させた。後者場合、各町内から頭屋選出し頭屋がその経費分担したり、頭屋出した町の経費から分担したりした。領主は、祭礼に対して倹約令などを出したものの、概ねは自由を認めていた。 上述通り江戸時代には神道信仰庶民広がったことで、庶民向けに対話形式神道教化を行う講釈師多数生まれた朝日神明宮神職増穂残口はその一人で、冗談交えた巧妙な語り口街頭における口談を行い神典根拠求め学問的な神道ではなく神儒仏三教故事などを自由に引用して神道を心や実践問題帰結させるやり方で、夫婦和合男女の平等を中心とする通俗的道徳説いたり、自らの身分応分努めに励むことを神道本分として説くなど、身分社会生きる庶民求められ説教行なったこのような神道講釈師の民衆教化活動は、後の時代民衆神道家出現影響与えた梅田神明宮神職であった井上正鐡は禊教起こし永世の法である「調息」の術を修め、「三種祓」を唱えて一身安危神明任せよ、との教え説いて多く信者獲得したが、幕府から嫌疑かけられ三宅島配流された。今村宮神職であった黒住宗忠も、身分差別なく誰もが天照大神と一体であると説く黒住教創始し、広い階層広がったこの他に、近世民衆教育で最も大きな学派となった石門心学創始者である石田梅岩青年期神道講釈師の影響受けており、中世神道徳目である「正直」という概念重視し神儒仏教え調和して民衆商人向けの思想説いたまた、江戸時代後期二宮尊徳も、至誠・勤労・分度・推譲旨とする報徳思想を、天照大神豊葦原開いて瑞穂の国とした以来の「開闢元始大道」「神道大道」として民衆説き広げた。自らの学問を「神儒仏正味一粒丸」として、神道一さじ・儒仏半さじずつと例え神道中心に神儒仏三教調和した

※この「近世の庶民信仰」の解説は、「神道の歴史」の解説の一部です。
「近世の庶民信仰」を含む「神道の歴史」の記事については、「神道の歴史」の概要を参照ください。

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