犠牲者数と弔慰金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 07:24 UTC 版)
「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の記事における「犠牲者数と弔慰金」の解説
正確な犠牲者数は不明だが、2008年3月の中央防災会議では、震災全体の犠牲者の1~数パーセントが殺害によるものと推定されている(すなわち、一千~数千人)。当時の官庁記録としては、司法庁報告書では民間で殺害し起訴された件数として朝鮮人233人、内地人58名、中国人3名。戒厳業務詳報によれば軍によって殺害された人数は少なくとも朝鮮人39人、内地人27人、軍民共同の殺害による犠牲者として朝鮮人約215名(うち約200は中国人との説あり)である。内務省は248名、朝鮮総督府東京出張員は見込み数として813名を挙げている。朝鮮人犠牲者には死亡原因が災害か虐殺か区別せず1人200円(日本内地人死者・行方不明者への御下賜金は1人16円)の弔慰金が832名へ支払われた。 官庁記録による殺傷事件被害死者数-平成20年災害教訓の継承に関する専門調査会報告書1923関東大震災【第2編】第4章 第2節 殺傷事件の発生 表4-8 種別 司法省報告書掲載 戒厳業務詳報掲載 合計 起訴事件 警察による 軍通牒の不明 軍隊による 警察・民間人共同 被害者 朝鮮人 内地人 中国人 内地人 朝鮮人 朝鮮人 内地人 朝鮮人 東京 39 25 1 2 27 19 約215 約328 神奈川 2 4 2 8 千葉 74 20 1 12 8 115 埼玉 94 1 95 群馬 18 4 22 栃木 6 2 8 茨城 1 1 福島 1 1 合計 233 58 3 2 1 39 27 約215 約578 注:戒厳業務詳報掲載の警察民間人共同の被害者のうち約200 は中国人との説あり 史学者の山田昭次は上海の大韓民国臨時政府機関紙「独立新聞(金承学社長)」1923年11月5日付で報道された朝鮮人調査団報告書の6661人説が不正確な数字である原因は官憲の被害隠蔽と指摘した。 「朝鮮人の犠牲者数は、在日本関東地方罹災朝鮮同胞慰問班が官憲の協力を得られないまま調査を進めた……吉野に情報提供したと推定される上記慰問団の崔承万が戦後になって発表したものとがある。すべて場所と人数の記載で、合計は吉野原稿が2,613余名……崔氏のものが2,607余名又は3,459余名……崔氏によれば、慰問団はこの調査を踏まえて犠牲者数を5千名と推定したという。ここの調査の最終報告とされるものが、11月28日付で上海の大韓民国臨時政府機関誌『独立新聞』社長に送付され、12月5日に同紙に掲載された。これは合計6,661名(現在内訳を再計算すると6,644名であると山田昭次氏が指摘している)に達するが、うち神奈川県で遺体を発見できなかった1,795名と第一次調査を終了した11月25日に各県から報告が来たとする追加分2,256名は、府県名のみでそれ以下の地名は記されていない。山田昭次氏は、埼玉県に関する数値を検証して、この追加分を算入しない方が現在までに得られる他の情報と近いことを指摘し、「追加合計数の根拠を今日解明することはできない」としている。」 — 2013年11月東京韓国大使館新築移転作業中、関東大震災韓国人犠牲者290名の名簿が初めて見つかった。日本震災時被殺者名簿286人を調査した結果28人の犠牲者を確認と2015年12月報じられ、第一次調査とあわせて韓国政府認定の関東大震災時虐殺犠牲者は合計40名となった。 大正9年(1920年)国勢調査によると、男性36,043名・女性4,712名の朝鮮人(東京男性2,304名女性181名、神奈川男性725名女性57名、千葉県男性36名女性4名、埼玉県64名女性14名、愛知県男性522名女性143名、京都男性823名女性245名、大阪男性5,445名女性845名、兵庫男性3,059名女性711名、福岡男性7,161名女性672名)が日本内地にて居住していた。 昭和5年(1930年)国勢調査によると419,009名の朝鮮人(東京38,355名、神奈川13,181名、千葉県1,728名、埼玉県1,164名、愛知35,301名、大阪96,943名、京都27,785名、兵庫26,121名、福岡34,639名)が居住していた。 吉野作造が朝鮮罹災同胞慰問班から聴いた朝鮮人の被害、大正十二年十月末日までの被害状況 一、横浜方向 1.神奈川県橋本町浅野造船所前広場 虐殺(現金五百円強奪) 四十八 名 2.神奈川警察署内 巡査刺殺 三 名 3.程ヶ谷町 虐殺 三十一 名 4.井戸ヶ谷町 右同(現金二百円強奪) 三十 余名 5.根岸町 右同 三十五 名 6.土方橋より八幡橋まで至る 右同 百三 名 7.中村町 右同 二 名 8.山手町埋地 右同 一 名 9.御殿町付近 右同 四十 余名 10.山手本町警察署立野交番所前 右同 二 名 11.若屋別荘附近 右同 十 余名 12.新子安町 右同 十 名 13.子安町より神奈川駅に至る 右同 百五十九 名 14.神奈川鉄橋 右同 五百 余名 15.東海道線茅ヶ崎駅前 右同 二 名 16.久良岐郡金沢村 右同 十二 名 17.鶴見町 右同 七 名 18.川崎 右同 四 名 19.久保町 右同 三十 余名 20.戸部 右同 三十 名 21.浅間町及浅間山 右同 四十 名 22.戸山、鴨山 右同 三十 名 以上屍体埋葬地及数 1.久保山火葬場 千余名(横浜附近被害者) 2.青木町三ツ沢共同墓地 二百名(神奈川附近被殺) 3.金沢村(不詳) 4.茅ヶ崎町旧東海道線路火葬 5.鶴見町、総持寺山内埋葬 6.川崎町当地埋葬又は持って帰国 二、埼玉県方面 1.川口 虐殺 三十三 名 2.赤羽荒川 右同 三百 名 3.大宮 右同 二名 名 4.熊谷 右同 六十一 名 5.本庄 右同 八十六 名 6.早稲田村 右同 十七 名 7.神保原 右同 二十四 名 8.寄居 右同 十四 名 9.長沢 右同 十四 名 三、群馬県 1.藤岡 虐殺 一八 名 四、千葉県 1.習志野軍営倉内 虐殺 十二 名 2.船橋 右同 三十八 名 3.法典村 右同 六十四 名 4.千葉市 右同 二 名 5.流山 右同 一 名 6.南行徳 右同 二 名 7.馬橋 右同 七 名 8.田中村 右同 一 名 9.佐原 右同 七 名 10.滑川 右同 二 名 11.成田 右同 二 名 12.我孫子 右同 三 名 五、長野県 1.軽井沢周辺 虐殺 二 名 六、茨城県 1.筑波本町 虐殺 四十三 名 2.土浦 右同 一 名 七、栃木県 1.宇都宮 虐殺 三 名 2.恵那須郡 右同 一 名 八、東京付近 1.月島 虐殺 三十三 名 2.亀戸署内 右同 八十七 名 3.小松町 右同 四十六 名 4.寺島請地 右同 二十二 名 5.寺島警察署内 右同 十三 名 6.向島 右同 三十五 名 7.寺島手井駅 右同 七 名 8.洲崎飛行場附近 右同 二十六 名 9.日本橋 右同 五 名 10.深川西町 右同 十一 名 11.押上 右同 五十 名 12.本所区一丁目 右同 四 名 13.大島七丁目 右同 四 名 14. 大島三丁目活動写真館内 右同 二十六 名 15.大島八丁目 右同 百五十 名 16.小松川新町 右同 七 名 17.浅草公園内 右同 三 名 18.亀戸駅前 右同 二 名 19.府中 右同 三 名 20.世田ヶ谷、三軒茶屋 右同 二 名 21.新宿駅内 右同 二 名 22.四谷見附 右同 二 名 23.吾妻橋 右同 八十 名 24.上野公園内 右同 十二 名 25.千住 右同 十一 名 26.王子 右同 八十一 名 右 合計 二千六百十三人 〔東大吉野文庫〕
※この「犠牲者数と弔慰金」の解説は、「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の解説の一部です。
「犠牲者数と弔慰金」を含む「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の記事については、「関東大震災朝鮮人虐殺事件」の概要を参照ください。
- 犠牲者数と弔慰金のページへのリンク