弔慰金・お供物の贈り方
冠婚葬祭に関する儀式の内で、最も厳粛かつ礼節を重んじて行われるのが『葬』にあたる儀式です。葬儀に際しては、遺族と悲しみを共にする気配りや振る舞いがなくてはなりませんが、それが為には服装の一つからご挨拶の言葉の端々にも、心から哀悼を表す心配りが何よりも大切です。こうしたことから弔慰金やお供物を持参するにも、自ずから厳粛かつ礼節を重んじたマナーが求められます。
弔慰金(ちょういきん)
死者をとむらい、遺族を慰めるために贈る金銭のことを言います。古来、葬儀関係の儀式の際には自家伝来のお香を持ち寄って故人に手向けていたことから、この言葉の発祥があります。 従って、弔慰金は故人の霊に手向けるお香や供花に代わるお金という意味合いがあります。 封入する金額は故人との生前のお付き合い程度にその地区の風習を加味したものにします。
お札の向きはどちら向き?
金封やのし袋に封入するお札の方向に特別な決まりはありませんが、葬儀・告別式の弔慰金に限っては受付の会計担当の方が管理しやすいように、表面(和数字の金額、壱万円・五千円などが印刷されている方)向かって左側を上(封入口に近い方)にする方向で封入するのが適切とされています。
新札か、旧札か
新札を用いると死ぬ前から準備していたと思われることからタブー視する向きもあるようですが、逆に使い古した札を用いる方が失礼と考える方が多いようです。新札を用いても特に問題はありませんが、一度半分に折って用いる方法もあります。
金封についての注意
金封は袱紗(ふくさ)に包んで持参し、式場では袱紗から取り出して受付係の方に向けて差し出すのが礼儀です。遺族宅など受付のないところで行われる場合は霊前(佛前)に拝礼して直接お供えします。(法要時も同様)
葬儀の際には参列した日に持参しますが、通夜・葬儀とも参列する場合は通夜に持参するのが一般的です。 献辞(表書き)は、「悲しみの涙に墨も薄くなる」との意味合いから薄墨で書くのが本来の用い方ですが、現在では他の場合と使い分けをせずに濃墨(色)を用いることもあります。
お供物
葬儀・告別式では、弔慰金とは個別に献花(又は、供花=くげ)と言って、花輪や樒(しきみ)及び生花をお供えしますが、式場の都合や故人の遺言、又は遺族の思い入れなどにより、献花を辞退される場合もありますので、念のため先方に確かめてからご了解の下に献花を依頼するのが礼儀です。また法要時ともに供物(くもつ)と言って、霊前(佛前)に干菓子や果物などを持参してお供えしますが、この場合は出来るだけ日持ちのするものを贈るように心がけるのが礼儀ですが、生前に故人が好んで口にしたものをお供えするのも一考です。
その他にも、線香やローソクなどをお供えします。
供花・供物・香奠の重複
葬儀・法要時にお供え物としての供花(くげ)や供物(くもつ)、及び弔慰金としての香奠を重複持参することは一向に差し支えありませんが、供物に弔慰金をあわせて持参する場合は、供物の表書き(献辞)を「御供物」・「御供」とし、弔慰金の表書き(献辞)を「御霊前」・「御香奠」・「御佛前」などと書き換えて、表書き(献辞)が重複しないように心がける必要があります。
弔慰金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/15 05:27 UTC 版)
弔慰金(ちょういきん)は、死者を弔い、遺族を慰めるという趣旨で支給、ないし、贈与される金銭[1]。
香典などとは異なり、特定の宗教を背景とした表現ではない。また、一般的には、個人が支出する比較的少額のものではなく、公的機関や企業などが支出する、まとまった金額のものを指し、葬儀の場において現金で手渡すものではなく、死去からかなりの時間が経過した後に支払われる場合もある。
死亡退職にともなう退職金や損害賠償金などと趣旨は異なるが、場合によっては弔慰金が、死亡退職金の一部と見なされたり[2]、損害賠償金の一部と見なされたりすることがある[3]。
弔慰金は、募金によって基金を集めて支給されることもある。
日本におけるおもな公的弔慰金
日本の法律では、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法、平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律や、災害弔慰金の支給等に関する法律、国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律などで、この用語が用いられている。
国とは別に、地方公共団体が犯罪被害者等支援条例などにおいて独自の弔慰金の支給を定めている例もある。
国会議員が死去した際の弔慰金
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(昭和22年4月30日法律第80号)は、在職中の議員が死去した場合に、歳費月額の16か月分を、さらに職務に関連して死去した場合は特別弔慰金として歳費月額の4か月分を追加して支給することを定めている。
戦没者遺族への弔慰金、特別弔慰金
戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和27年4月30日法律第127号)は、戦没者等の遺族への弔慰金の支給について定め、その受給資格を有するものについては、後に戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法(昭和40年6月1日法律第100号)によって特別弔慰金が追加支給された。
国籍離脱者となった戦没者遺族への弔慰金
平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律(平成12年6月7日法律第114号)は、第二次世界大戦後に日本国籍から離脱したために恩給の受給がなかった朝鮮人日本兵、台湾人日本兵などの遺族に、弔慰金を支払うことを定めている。
災害弔慰金
災害弔慰金の支給等に関する法律(昭和48年9月18日法律第82号)は、一定の基準を満たす自然災害によって死者が出た場合の遺族に対して、国が 1/2、都道府県が 1/4、市町村が 1/4 を負担して災害弔慰金を支払うことを定めており、生計維持者が死亡した場合には500万円、その他の場合には250万円が支給される[4]。
国外犯罪被害弔慰金
国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律(平成28年6月7日法律第73号)は、日本国外で犯罪行為によって殺害された被害者の遺族に、弔慰金を支払うことを定めており、被害者ひとりあたり200万円が支給される。この制度は、2013年2月12日にグアム島で起きた通り魔事件の被害者などの運動を受けて制定されたものであった[5]。この法の成立直後に発生したダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件については、法施行前の事案であったが、暫定的に同法に準じて弔慰金を支給することとなった[6]。
脚注
- ^ 知恵蔵mini『弔慰金』 - コトバンク
- ^ “No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い”. 国税庁. 2016年8月21日閲覧。
- ^ “(64)【労災補償】労災保険給付と損害賠償との調整”. 労働政策研究・研修機構. 2016年8月21日閲覧。
- ^ “ページ4:災害弔慰金、災害障害見舞金の概要”. 厚生労働省. 2016年8月21日閲覧。
- ^ 共同通信 (2016年6月25日). “国外犯罪被害者救済で法成立 弔慰金の条件厳しく”. 日本経済新聞 2016年8月21日閲覧。
- ^ “バングラテロ遺族に弔慰金 政府、法施行前に同様基準で”. 朝日新聞・夕刊: p. 11. (2016年7月12日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
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