政治家の要望
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地方議会において中止・撤回や見直しの意見書が可決。 塩川正十郎(元財務大臣) 2008年(平成20年)4月17日付の『産経新聞』で、自宅に届いた後期高齢者医療制度の通知について、「この一枚の紙切れは私の人生を否定するものでしかなかった」と述べ、「後期高齢者医療制度は老人の医療負担を増やすだけでない。高齢の親を扶養するという伝統的な家族の絆(きずな)を壊すばかりか、夫婦の間にも水臭さを持ち込みかねない。」と批判した。 堀内光雄(自民党衆議院議員、元総務会長) 2008年(平成20年)5月2日と10日に福田総理を訪ね、この制度の問題点を説明し、抜本的な見直しを要請した。5月10日発売の『文藝春秋』6月号に論文「後期高齢者は死ねと言うのか」を発表。75歳以上の人たちはもはや用済みとばかりに、国が率先して“姥捨て山”を作ったかのような印象を受けると批判。また、同年5月18日、フジテレビ系の報道番組『報道2001』に出演し、この制度を批判。自身のウェブサイトでも「制度導入にあたり、厚生労働省は高齢者の医療費が増加し、現役世代に負担がかかり過ぎるという理由を挙げているが、実は高齢者1人当たりの医療費は全く増えていず、むしろ減少さえしている」と指摘、「病気のリスクの高い人達だけを集めて制度を運用しようとしてもとても成り立っていかない」と指摘している。 中曽根康弘(元首相) 2008年(平成20年)5月23日、TBSの『時事放談』の中で、後期高齢者医療制度について「名前が機械的で冷たい。至急元に戻して、新しく考え直す必要がある」と述べ、「役人の発想に乗っかってそのままやるのは能なしの感がある」と、福田康夫内閣の政権運営についても批判した。 民主党 民主党はマニフェストおよび政策集INDEX2009にて、後期高齢者医療制度は廃止し国民健康保険に統合、それに伴う財政増加は国が負担すると公約。 山田正彦(衆議院議員)は、保険料の負担が所得の低い人ほど高く、所得の高い人ほど低い逆進性になっていると指摘。また、政府が2年前に推計していた保険料総額が制度施行する際に一千億円も上がったのは正確な情報を国民に提供しなかった責任を問われてやむを得ないと指摘。この制度によって中小企業の負担も経営者の負担も組合員の負担も重くなることを指摘。また、「後期高齢者終末期相談支援料」について、医者が患者に延命治療をやめて自宅で終末を迎えるということを書面で意思表示させることに対して診療報酬を与えるということは、尊厳死の教唆に当たるのではないかと指摘。 山本孝史(参議院議員)は自身が癌(がん)に罹患していることを告白した国会質疑において、この制度について「病弱な高齢者を含む医療制度において世代間の負担の公平を強調することは間違っている」とし、「まだ治癒の可能性が残っているにもかかわらず、安易に延命と決め付け、積極的に治療しない、あるいは高齢だから治療をしても意味がないとされて見放される、それではまるでうば捨て山です」と批判し、「法律や制度が人を死に急がせることを私は決して認めるわけにはいきません。」と訴えた。 適切な医療を実現する医師国会議員連盟の桜井充(参議院議員)は「医学的な見地から言うと75歳で区切るということをバックアップする論文とかそういうものは一切ない。」「医療費削減のためだけに制度が設計されているため、いろんなところにかからなければいけないような人が医療を適切に受けられなくなってきている。」「高齢者が死を迎えるに当たっても大きな不安を感じているという点で相当差別的な政策だ」などと指摘。 適切な医療を実現する医師国会議員連盟の梅村聡(参議院議員)は「高齢者医療は複数の疾患を継続的に診るということを柱として導入されている診療料であるのに、主病と「後期高齢者診療料」を算定できる医療機関を一つに決めさせるという設定にしていることは矛盾していると指摘。しかし民主党政権時代には、制度見直しは頓挫することとなった。 日本共産党 医師でもある小池晃(参議院議員)は、後期高齢者を別の保険に切り離すということで必要な医療が受けられなくなるのでは、年齢による差別が起こるのではなどの心配が広がると指摘。また、政府は財政的な理由が制度導入の最初の狙いではないと言うが、後期高齢者を医療費削減の対象として狙い撃ちにしていることに間違いないと指摘。そして、厚労省の担当者が石川県で講演した中で「この制度は、医療費が際限なく上がっていく痛みを後期高齢者が自ら自分の感覚で感じ取っていただくものだ」と説明会で話したことが問題になったことに言及し、戦後、日本の復興のために必死になって働いて来た世代の人々に高齢期になったら自分たちは国から捨てられようとしているのではないかというような思いをさせるような政治はやってはいけないと訴えた。 日本共産党委員長の志位和夫(衆議院議員)は「この制度に対する高齢者の怒りは、負担増への怒りだけではなく、75歳という年齢で差別されることや、別枠の制度に囲い込まれ、過酷な保険料徴収が行われ、診療報酬も別建てとされ保険医療が制限されるなど、人間としての存在が否定されたような扱いを受けることへの深い憤りである」と指摘。 山下芳生(参議院議員)はヨーロッパ諸国など国民皆保険制度を持つ国の中で、年齢で被保険者を切り離し、保険料や医療の内容に格差を付けている国などどこにもないから廃止すべきと主張。政府はアメリカには65歳以上の高齢者を対象とする「メディケア制度」と呼ばれる公的医療保険制度があるが、国民皆保険制度の下で高齢者の医療を別建て実施している国の例は把握していないとしている。 新設された「特定健診・特定保健指導」という健康診断制度では40歳から74歳までが対象となり、これまで40歳以上の者はみな住民基本健診を受けられたのに、今回、75歳を過ぎたら法律上の健康診断実施の義務をなしとしたのは差別であると指摘。また、尊厳ある死を迎えたいという願いは年齢に関係ないはずなのに75歳以上に限っていることに疑問を呈した。 日本共産党機関紙『しんぶん赤旗』は制度設計に関わった厚生労働省の実務担当者が、75歳以上だけ別建ての終末期医療の診療報酬体系を新設した理由について「後期高齢者が高額な医療費を使っても死亡する事例が多いため、同制度によって、75歳以上の終末期医療費を抑制するためだ」と説明したことを紹介。 社会民主党 党首の福島みずほ(参議院議員)は新設された「後期高齢者診療料」により幾ら検査や処置をしても医療機関への支払は定額であるため、手抜き診療や粗末な診療が行われる可能性が大いにあると指摘。病気によって複数の医者にかかっている高齢者に対し、主な病気を一つに限定し(主病ルール)、主治医を決めることは困難であり、健診が十分行われない可能性があると指摘。 65〜74歳の重度障害者1級、2級の人には、2008年(平成20年)3月31日までに、それまでのように公費負担医療を受けるか、後期高齢者医療制度に移行するかについて選択の機会を与えたが、ほとんどの人は知らないまま後期高齢者医療制度に強制的に移動させられたことを挙げ、制度の啓発・広報についての政府の対応を批判した。 現役の小児科医でもある阿部知子(衆議院議員)は、75歳以上で働いている人は、企業主が半分出している組合管掌健康保険(組合健保)や政府管掌保険に入っているため後期高齢者医療制度に切り替わった途端、全額を自分で払うようになるため保険料負担が2倍になってしまうことを指摘。
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