山国川

日本の川

山国川

名勝耶馬渓につつまれた季節を彩る山国川

山国川は、その源を福岡県田川郡英彦山に発し、耶馬渓町を流下し、山移川等を合わせ、中津市三口にて豊前平野に出て、友枝川、黒川等を合わせ、中津市において中津川を分派したのち周防灘に注ぐ、幹川流路延長56km、流域面積540km2の一級河川です。

大分・福岡の県境を流れ、周防灘に注ぐ山国川

河川概要

水系名 山国川水系 河川名 山国川 幹川流路延長 56km 流域面積 540km2 流域内人口 36,801人 流域関係都県 福岡県、大分県

○拡大図

１．山国川の歴史

"江戸時代、中津城において分流する大家川の入り口締切工事を行うとともに、延長1kmに及ぶ堤防を設けています。これにより洪水を防ぐと共に、締め切られた流路を外堀として利用しました。また、締切で流量が増える山国川を西側の外堀に見立て、城を堅固に守るため石堤の水はねを設けていました。"

山国川の歴史と先人の知恵

【 治水の歴史 】 1587年黒田孝高が、豊臣秀吉に豊前6郡を与えられ、山国川の河口デルタである中津の地を選び翌年中津城築城を行いました。軍事的にも西に山国川、南から東にかけては山国川の分流大家川が流れ、北は周防灘を控えた要害の地でした。後の1604年、隠居して中津城に入った細川三斎（忠興）によって、中津城の修復と城下町を整備するため、大家川の締切工事が行われましたが、これが山国川の最初の改修工事といわれています。 中津城 【 歴史的構造物 】 耶馬渓橋山 山国川を代表する人口の風物は、すぐれた石橋です。とくに本耶馬渓町に架かる耶馬渓橋（別名オランダ橋）は日本唯一の八連アーチ石造橋であり、橋長116m、大正時代に架設されたものです。観光道路として架設されたものであり、上流の荒瀬堰、青の洞門とあいまって、独特の美しさを持っており、県指定文化財に指定されています。また、近辺には、同様な石橋として羅漢寺橋、馬渓橋が架設されています。 青の洞門 【 青の洞門 】 青の洞門は江戸時代、禅海和尚がノミと槌だけで30年の歳月をかけて堀抜いたものです。その後、幾度かの拡幅工事が行われ現在の形となっています。名勝耶馬渓において重要な観光地であり、年間約170万人の観光客が訪れています。

２．地域の中の山国川

"山国川の特徴として福岡と大分の「県境」を流れていることがあげられますが、この「県境」を乗り越えようと、NPO法人「豊前の國建設倶楽部」が多彩な取組をおこなっています。 また、「水辺に遊ぶ会」により、干潟の清掃、干潟観察会等の活動が行われています。"

地域社会とのつながり 山国川は、流域の大部分が「耶馬日田英彦山国定公園」に指定され、四季折々の風情は重要な観光資源となっており、周辺住民の河川環境に対する意識が強く、住民と一体となったイベントを数多く実施しています。 平成4年には、大分県と山国川の流域市町村により、「山国川流域サミット」を開催し、10月15日を「山国川の日」と定め、山国川の水環境保全対策の推進に積極的に 河川清掃 取り組むことを宣言しました。最近では山国川の日に「山国川水質保全協議会」主催で、流域自治体、水道事業者、住民ボランティア等が参加し、山国川河川清掃を実施しています。 また、耶馬渓ダムでは、地域住民がダムに親しむイベントとして、「耶馬渓ダム湖畔まつり」を開催し、花火大会、水上スキー教室などを行っています。 耶馬渓ダム湖畔祭り 水上スキー さらに、山国川流域では、「新たなる流域連携」の実現に向け、NPO法人「豊前の國建設倶楽部」が中心となって、県境の川である山国川を共通項として、県境綱引き大会をはじめとした流域連携を考えるイベントやコンサートを実施、ミニFMラジオ局の開設、流域ガイドブック作成、山国川「交境」曲（CD）作成、清掃活動及びポイ捨て防止の啓蒙活動、山国川流域観光ガイドマップ作成など、様々な活動を展開しています。また、「水辺に遊ぶ会」による干潟の清掃、干潟観察会等の活動も行われています。

３．山国川の自然環境

"流域の自然環境は、ブナの原生林等の国や県指定の天然記念物も数多く分布しており、高い自然度を有しています。また、上・中流部の大部分は耶馬日田英彦山国定公園に指定され、その一部は名勝耶馬渓に指定されており多くの景勝地があります。 下流部沿川は市街地であり、中津城等の歴史的町並みも残されています。河口部は渡り鳥の姿が見られ、九州では有明海に次ぐ干潟を有しています。"

上・中流部の大部分は耶馬日田英彦山国定公園に指定され、その一部は名勝耶馬渓にも指定されており青の洞門、一目八景、魔林峡等に代表される多くの景勝地があります。流域には、ツクシシャクナギの自生地、ブナの原生林、キシツツジの自生地等の国や県指定の天然記念物も含め、自然林に近い山林が広く分布して、高い自然性を呈しています。また、オヤニラミやアカザなど保護上重要な魚類の生息も見られます。 オヤニラミ アカザ 競秀峰 下流部沿岸は中津市、吉富町の市街地であり、中津城、福沢諭吉旧居等の歴史的町並みも残されています。また、山国大橋、恒久橋周辺の高水敷は、テニスコート、イベント広場等沿岸住民のスポーツ、レクリエーションの場として利用されています。 下流域では発達したヨシ原が点在し、夏季にはオオヨシキリが繁殖している他、冬季にはカルガモ・ヒドリガモ・マガモ等のカモ類が多く越冬します。 なお、下宮永井堰の湛水により水際の湿地化した所には保護上重要なタコノアシの生育が見られ、また、派川中津川の河口部ではハマサジ・ハマボウなどの植物の生育も見られます。 ハマサジ

４．山国川の主な災害

発生日 発生原因 被災市町村 被害状況 明治26年10月13日～15日 台風2号 中津市他 死者27名 全・半壊家屋845戸 浸水家屋5,100戸 大正7年7月12日 台風5号 中津市他 死者10名 全・半壊家屋10戸 浸水家屋402戸 昭和28年6月25日～29日 梅雨前線 中津市他 死者不明46名 全・半壊家屋1,301戸 浸水家屋15,692戸 平成5年9月2日～4日 台風13号 吉冨町 耶馬溪町他 床上浸水89戸 床下浸水36戸 （直轄区間内）

（注：この情報は2008年2月現在のものです）