大梅・中梅とは? わかりやすく解説

大梅・中梅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 15:14 UTC 版)

ウメ」の記事における「大梅・中梅」の解説

南高梅なんこううめ) 現在の国内栽培中心品種1902年和歌山県日高郡上南部村現在のみなべ町)の高田発見1954年和歌山県南部川村の「優良母樹調査選定委員会」で優良品種1つ選抜1965年種苗名称登録。花は白の一重果実重25-35g、陽光面があざやかに紅となる。果肉厚くて柔らかく、さらに種が小さいため梅干し最適である。自家不和合性のため受粉が必要。「小粒南高」「甲州最小甲州小梅白王)」「改良内田」が受粉として用いられることが多い。和歌山県生産向上した要因として、果実大きく自家不和合性ではあるが結実自体良好な南高の収量性が高いことが挙げられる小粒南高(こつぶなんこう南高梅小粒品種来歴不明だが、S遺伝子型片方が南高と一致し、さらにSSR遺伝子も南高と同じものが多いため、南高を種子親とする自然交雑実生優良系統であると推測される。花は白の一重果実重16-25g。南高梅受粉として使用可能で、さらに実の品質南高梅同等とされ同時収穫出荷慣習的に認められているため受粉としての使い勝手がよく、南高梅栽培園地に混植されることが多い。自家不和合性のため受粉が必要。 パープル南高ぱーぷるなんこう南高梅枝変わり2002年和歌山県田辺市稲成町中田繁と同市上芳養畑谷健次により発見2012年8月品種登録された。木の性質などは南高梅同じだが、果実表面紅紫色で、梅酒シロップ加工するエキスピンク色になる。自家不和合性のため受粉が必要。育成者権JA紀南保持しているため、苗木供給JA紀南管内限られ栽培にはJA紀南との契約が必要である。また、パープル南高」の商標権JA紀南保持している。 白加賀しろかが俗称(しらかが)。加賀藩邸に植えられていた白梅通称加賀白梅」が後に「白加賀」と呼ばれるようになったという説があるが、実話かどうか定かではない江戸時代から関東地方中心に栽培され、現在でも南高に次ぐ国内栽培主要品種一つである。耐病性は強いが、貧産性であり、さらに収量年次変動激しい。南高のほうが、果実大きくヤニ果発生率が低いことから梅干し加工品として市場人気がある が、梅干し加工には向かない とまでは云えない。品質優良で、梅干し梅酒両方適するとする研究機関もある。市場での収益性から、南高など他品種置き換え進んでいる。花は白の一重果実重25-30g。雄性不稔性のため受粉が必要であり、また他品種受粉には使えない。「梅郷」・「八郎」などが受粉として適する。甲州最小竜峡小梅などの小梅類を受粉として推奨している文献も多いが、開花早い小梅開花の遅い白加賀では花の時期合わないことが多く結実不良になりやすい。 豊後(ぶんご) アンズ交雑種豊後国現在の大分県)が原産地だが、耐寒性が強いので東北地方などの寒冷地栽培が多い。耐病性弱く、また果肉繊維多くて粗いため加工品品質はあまり良くない。花は淡紅、白の一重八重など系統により異なる。果実重40-70g。自家不和合性のため受粉が必要。また、雄性不稔性のため他品種受粉には使えない。他の主要品種比べ開花時期が遅いため受粉その時期に合うものが必要。「豊後梅」の名は、豊後を親として品種改良された豊後品種総称として用いられる豊後品種中には自家和合性稔性を持つものもある。 十郎梅(じゅうろううめ) 神奈川県小田原市曽我梅林別所原・中川原の3つの梅林)に多くあり、皮が薄く肉が厚い品種で、神奈川県農事試験場園芸部によって選別された。最近5月下旬から収穫できる極早生品種十郎小町」もできている。 鴬宿おうしゅく徳島県主要品種。豊産性だが、ヤニ果発生極めて多いため梅干し加工には向かず、梅酒梅ジュース向けの青梅専用品種である。花は淡紅一重果実重25-40g。花梅鴬宿とは異な品種である。自家不和合性のため受粉が必要。 梅郷ばいごう東京都青梅市梅郷発見され1969年種苗名称登録された。果汁率が高く梅酒用に適する。熟果を梅干しにすると果皮破れやすい。白加賀受粉として用いられることが多い。自家不和合性のため受粉が必要。 古城梅(ごじろうめ) 別名「青いダイヤ」。大正時代後期和歌山県田辺市長野那須政右ヱ門により発見される。身が固く梅酒シロップなどに漬け込んだ際に身崩れしにくくエキスがよく出るため、梅酒用として根強い需要がある。原木系と白加賀系の2種類系統栽培されている。いずれの系統栽培難しいため、近年栽培面積減少し続けている。雄性不稔性のため受粉が必要であり、また他品種受粉には使えない改良内田かいりょううちだ) 病害虫強く樹勢も強い豊産性の品種南高梅受粉としての相性がいいため混植されることが多い。生理落果が多い。自家不和合性のため受粉が必要。 地蔵梅(じぞううめ) みなべ町在来種。深根性乾燥に強い品種耐病性強く自家受粉遺伝子持っているため、新品種の育種親に用いられることが多い。「加賀地蔵」「八郎」「橙高」「星高」は地蔵梅を親とする新品種群である。 加賀地蔵(かがじぞう) 白加賀地蔵梅交雑種自家不和合性のため受粉が必要。また、雄性不稔性のため他品種受粉には使えない剣先けんさき福井県主要品種梅酒用に適している。自家受粉する。 紅さし(べにさし) 福井県主要品種梅干し用に適している。自家受粉する。短果枯れ込みやすく、収量が不安定NK14えぬけーじゅうよん) 南高梅剣先交雑種和歌山県果樹試験場育成される2009年品種登録梅酒および梅干し適する。自家受粉し豊産性である。南高梅よりやや小粒苗木供給和歌山県内に限定されている。 橙高とうこう南高梅地蔵梅交雑種和歌山県果樹試験場育成される2009年品種登録完熟する果肉オレンジ色になる。βカロテン多く含み梅ジャムなどでの加工利用模索されている。自家受粉する。苗木供給和歌山県内に限定されている。 ミスなでしこ(みすなでしこ) 別名「紫宝」。南高梅とパープルクイーンの交雑種果実表面紫色パープル南高よりやや小粒自家受粉する。 八郎はちろう地蔵梅自然交雑実生から選抜され品種農研機構果樹研究所育成2000年品種登録自家受粉し豊産性のため栽培しやすい。果実はやや小玉梅干し適する。また開花時期が遅いため、白加賀古城梅受粉にも相性良い翠香すいこう月世界梅郷交雑種農研機構果樹研究所育成2009年品種登録漬けた時の香り強く梅酒シロップ適する。ヤニ果発生率が高いので、梅干しには向かない自家不和合性のため受粉が必要。 熊野仁(くまのじん) 南高梅種子親とする自然交雑実生の中から選抜され品種田辺市秋津川の花光重一郎が育成2014年品種登録果実大きさ南高梅同程度で、収穫7日-10日程度早く耐病性も強い。自家受粉する。梅酒ジュース梅干しのいずれにも向く。 星高せいこう) 南高と地蔵梅交雑種和歌山県育成2019年品種登録黒星病かいよう病抵抗性有する南高梅よりも開花時期および収穫時期1週間程度遅く、やや小玉である。自家受粉する。梅酒および梅干し適する。苗木全国流通予定星秀せいしゅう) 南高と剣先交雑種和歌山県育成2020年現在品種登録申請中。黒星病抵抗性有する南高梅開花時期収穫時期が同じで、同じ交雑組み合わせNK14よりも実が大きい。自家受粉する。梅酒および梅干し適する。苗木全国流通予定麗和(れいわ) 加賀地蔵と月知交雑種農研機構果樹研究所育成2020年現在品種登録申請中。果実円形の大果で自家受粉し、ヤニ果発生少ない。花は白の八重咲きであり、実梅ありながら花も楽しめる品種和郷(わごう) 剣先とMM-43-22(梅郷×MM-20-2)の交雑種農研機構果樹研究所育成2020年現在品種登録申請中。果実は短楕円形の大果で自家受粉し、ヤニ果発生少ない。南高や白加賀よりも種がかなり小さく果肉が多い。

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