国際収支
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「グローバル金融システム」の記事における「国際収支」の解説
国際収支統計は、海外への支払いと海外からの受取りを集計する。受取りは貸方取引と見なされ、支払いは借方取引と見なされる。国際収支は次の3要素で構成される。財とサービスの輸出入を含む取引が経常収支、金融資産の売買を含む取引が金融収支、対価を伴わない資産の移転を含む取引が資本移転等収支である:306–307。経常収支は、貿易・サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支を集計する。金融収支は金融資産にかかる取引を集計し、資本移転等収支はその他の純受払を集計する。外貨準備の収支は金融収支に含まれる。これは、銀行準備金の維持と活用を目的とした中央銀行による国内通貨、外国為替、金、およびSDRの売買を集計したものである:66–71:66–71:169–172:169–172:32–35。 経常収支の黒字や赤字は、その国が自国の消費と投資の資金を調達するために外国資本に頼っている程度を示し、収入を超えた生活をしているかどうかを示す。例えば、資本移転等収支ゼロ(つまり資金調達可能な資産移転がない)を仮定すると、10億ポンドの経常収支赤字は10億ポンドの金融収支黒字(または純資産輸出)を意味する。金融資産の純輸出国は現在の消費と将来の支払いを交換する、いわば借り手である。さらに、金融資産の純輸出は国の債務の増加を示す。この点で、国際収支は国の所得を支出に結び付け、経常収支の不均衡が内外の金融資本によってどの程度賄われているかを示す:73:308–313:308–313:203。国際収支の健全なポジションは経済成長にとって重要である。需要が増加しつつある国々が健全な国際収支を維持することが難しい場合、需要の鈍化、過剰供給の放置、海外投資の低迷、輸出競争力の悪化を招き、不均衡がさらに広がる悪循環に陥る可能性がある:21–22。 一国の対外純資産は、対外資産から対外債務を差し引いた金額で測られる。経常収支の黒字(およびそれに対応する金融収支の黒字)は対外資産の増加を示し、赤字は減少を示す。ある国が資産の純購入者であるか純売却者であるかを示す経常収支の指標とは別に、一国の対外資産の変動は、海外投資のキャピタルゲインとキャピタルロスの影響を受ける。一国がプラスの対外資産を持つということは、その国が世界経済において正味の貸し手(すなわち債権者)であることを意味する。マイナスの対外資産は、正味の借り手(すなわち債務者)であることを表す:13,210。
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国際収支
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 09:29 UTC 版)
「為替レート#国際収支」も参照 貿易黒字が増えると円高が進む、あるいは逆に貿易黒字が減ると円安になるという議論があるが、為替介入がない場合、貿易黒字と対外貸付の変化が均衡するように為替は変動する。つまり、貿易黒字が増えてもその分だけ対外貸付が増えなかった時に初めて、両者を均衡させるように円高が進む。結果的には貿易黒字と対外貸付の増える分は同じとなる。 また、貿易黒字の増加分が対外貸付よりも少ない場合には、円安となる。貿易黒字が減る場合も同様に、貿易黒字そのものではなく、対外貸付との相対的な増減によって円高になるか円安になるかが決定する。これは、それぞれ別個に決定する経常収支と資本収支が、経常収支+資本収支+外貨準備増減=0となるよう、為替が調整するように変動するためである。 あくまで貿易黒字が対外貸付より大きくならないように円高が進むのである。
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国際収支
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独立以来、インドの国際収支は経常赤字の状態が続いている。1990年代の自由化以来、インドの輸出額は輸入額に対し、1990年度の66.2%であったのが、2002年度には80.3%になるまで、持続的に成長している。 インドはいまだに純輸入国であるけれども、1996年度以来、外国からインドへの直接投資の増加、海外に出稼ぎに行っているインド人労働者からのインドへの送金により、国際収支尻はプラスの状態が取れている。結果として、インドの外貨準備高は2008年には2850億ドルにまでに成長し、これにより国内のインフラストラクチャーの整備に使用されている。 自由化以降外部からの援助や商業貸出にインドは次第に依存しなくなりつつあり、2002年度から負債を返済してきている。利子率の低下と貸し出しの減少により、債務返済比率は2007年には4.5%にまで低下した。外部からの商業貸し出し(External Commercial Borroings (ECBs))は政府の許可が必要であり、インド財務省は外部からの商業貸し出し政策ガイドライン(ECB policy guidelines)を策定し、外部からの商業貸出を監督・規制している。
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国際収支
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特に、国際収支において、マスコミや経済評論家などが国際競争力という用語を好く引き合いに出し、誤用している。 経常収支が国際競争力を反映して決まるという考えは誤りである。基本的に、短期の貿易収支・経常収支の動きを規定しているのは国内外の景気変動であり、産業の空洞化や国際競争力の低下は全く関係が無い。また、経常収支の黒字と経済成長を同一視したり経常収支の赤字を国の経済力の衰退と見做したりする考えは間違いである。 なお、貿易黒字の大きさは『国際競争力』の現われでも、市場の閉鎖性でもない。例えば、日本が海外で資本・投資を蓄積するのは、貿易黒字の裏返しであり、悪というわけではない。 「国際収支統計」も参照
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国際収支
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 17:47 UTC 版)
輸出額(外国に売った額)から輸入額(外国から買った額)を引いた差額がプラスの場合は貿易黒字、マイナスの場合は貿易赤字と呼ばれるが、貿易の黒字・赤字に利益や損失という意味はない。貿易赤字国が「A国との貿易でわが国は巨額の損失を被った」と主張することがあるが、貿易赤字がいかに巨額であってもそのこと自体はその国が損をしたことを意味するものではない。また、かならずしも無理に2国間の貿易黒字・赤字を解消する理由もない。 貿易不均衡とは基本的に一国全体の貯蓄と投資の不均衡に過ぎない。貿易赤字は「悪い」ことであり、その原因は自国の国際競争力の弱さや、貿易相手国の市場の閉鎖性にあるという考えは経済学的には完全な誤りである。こうした考えは常に有害で危険な対外経済政策に結びつき、貿易摩擦・貿易戦争をもたらしてきた。 もっとも、貿易赤字が発生すれば、貿易黒字国との間で必ず貿易摩擦が起きるというものではない。例えば、日本とサウジアラビアなど産油国との貿易では、日本が赤字で産油国は黒字である。だからといって、黒字国である産油国に対して「内需拡大や市場開放を促進して、もっと日本製品を買うべきだ」といった要求が日本から出てはいない。日本は国内ではほぼ採れない原油を産油国から輸入しているのであり、それによって誰も困らないからである。もっとも、かつてはエネルギー資源として石油と代替性を持つ石炭が日本で採掘していた経緯があり、原油が輸入されることによって競争にさらされ、合理化(人員削減)に晒された炭鉱労働者の中から過激な労働争議が発生した(炭鉱騒動)。近年では坑内掘り炭鉱として日本で稼行しているのは、釧路コールマインのみであり、反対運動は見られない。 アメリカと日欧(とくにドイツ)では産業構造が似ており、鉄鋼、造船、半導体、自動車のあらゆる局面で、しばしば貿易摩擦が発生した。ここでは、加工貿易国と資源国との間の交易とは別の要素(産業内競争)が働いており、特に企業間での競争を有利に導くための安値販売攻勢(ダンピング)に対しては、不公正貿易として関税を課すことができると国際合意されている。ここで問題とされるのは、国際収支の不均衡ではなく、独占禁止法理における不当廉売である。
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