四段目とは? わかりやすく解説

四段目

読み方:ヨダンメ(yodanme)

初演 天保4.3(江戸河原崎座)


四段目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/02 06:28 UTC 版)

四段目』(よだんめ)は、古典落語の演目の一つ。別名に『蔵丁稚』(くらでっち)[1]。原話は1771年明和8年)に出版された『千年草』の一遍「忠信蔵」[1]上方落語の『蔵丁稚』が東京に移植され、江戸落語では『四段目』として演じられる、とされているが、東京でも古くから演じられていた[1]。主な演者には、上方の3代目桂米朝、東京の8代目春風亭柳枝2代目三遊亭円歌らがいる。

題である「四段目」は『仮名手本忠臣蔵』の四段目のことであり、サゲは判官切腹の段を踏まえたものである。

あらすじ

伊勢屋の丁稚である定吉は大の芝居好きであり、その日も主人の使いの最中にもかかわらず、つい芝居の立ち見をしてしまい遅くなって帰ってくる。主人の咎めに対し、定吉は相手の主人が不在だったや父が怪我をしたなどと嘘をついて誤魔化そうとするが、主人は騙されない。しかし定吉もサボっていたことを認めず、むしろ自分は大の芝居嫌いだと言い始める。そこで主人は、わざと忠臣蔵の間違った筋書き(あるいは役者)を話すと、思わず定吉は「それは間違っている、今自分が見てきたばかりだから間違いない」とボロを出してしまう。激怒した主人は定吉を折檻するため、蔵に閉じ込める。

蔵に入れられた定吉は忠臣蔵・四段目の判官を気取って悪態をつきながら時間を過ごすが、しだいに腹が減り、「許してください」と泣き言を言う。主人もこれで十分反省しただろうと蔵の中へと飯を持っていく。

「御膳(御前)」「蔵の内(由良之助)でかァ」「ハハァ~!」「待ちかねたァ」

サゲの解説

サゲは仮名手本忠臣蔵・四段目の判官切腹の段の、塩谷判官と大星由良之助のやり取りを踏まえたものである。すなわち、いわゆる「遅かりし由良之助」の場面であり、由良之助を待ちかねた判官が腹に刀を突き立てた直後に由良之助が到着するところのセリフ回しである。詳しくは仮名手本忠臣蔵#四段目・来世の忠義を参照のこと。

脚注

出典

  1. ^ a b c 東大落語会 1969, p. 454, 『四段目』.

参考文献

  • 東大落語会 (1969), 落語事典 増補 (改訂版(1994) ed.), 青蛙房, ISBN 4-7905-0576-6 

関連項目


四段目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 10:05 UTC 版)

義経千本桜」の記事における「四段目」の解説

道行初音旅みちゆきはつねのたび〉)静御前都にまっていたが、やはり義経のことが恋しくてたまらず、ついに都を後にして義経のもとへと行くことにした。その義経吉野いるらしいとの噂を聞き、まだ木々ほころぶ初春時分吉野向い女ひとりで道を歩む義経より預かった初音の鼓打っていると、佐藤忠信遅れてあらわれた忠信義経より賜った鎧を出して敬うと、静はその上に義経の顔によそえて鼓を置いた。この鎧を賜ったのも、兄継信の忠勤であると忠信言い、話のついでに佐藤継信屋島の戦い能登教経戦って討死したことを物語り、思わず涙する。ふたたび歩む静と忠信主従芦原峠越え吉野山の麓へと辿りついた。 (蔵王堂の段)静と忠信吉野山蔵王堂近くにまで来る。そこで掃除をしている百姓たちにこの山の衆徒頭である河連法眼の館について尋ね、ふたりは法眼のもとへと急ぐ。 いっぽう蔵王堂では、その河連法眼山科法橋坊、梅本の鬼佐渡坊、返坂の医坊という荒法師たちを集めて評定をしようとしていた。法眼親類である鎌倉武士の左衛門から書状届き、それによれば頼朝背いた九郎義経大和にいるとの知らせ鎌倉聞え、もしこの吉野山にいてそれを匿うようであれば、この山にある寺院まとめて滅ぼすとのことである。義経味方すべきかどうか法眼はまず法橋坊たちの意向聞いた法橋坊たちは口を揃え義経味方するという。そこに法橋坊に身を寄せる客僧横川の覚範遅れて現われる。これも大太刀を佩いた荒法師である。法眼覚範聞くと、やはり義経味方するという。 だが、法眼義経弓引くつもりだと皆に答える。一山衆徒の頭として、義経庇ってこの山を危い目に合わすわけにはいかない。それでも義経を庇おうというのなら、そのとき敵味方と言い残し法眼その場去った。 実は法橋坊たちは、本心では義経を殺すつもりだった。しかし河連法眼義経味方し、その身をかくまっていると聞いていたので、わざと反対のことを答えたのである。それが当てはずれたと思う法橋坊たちを覚範笑い、いまの返答法眼自分たちを信用していないことがわかったこの上義経逃がさぬよう、今夜の内に河連法眼の館を襲撃しようと、法橋坊たちと相談するのだった。 (河連法眼館の段)はたして義経は河連法眼の館に身を寄せていた。蔵王堂評定から法眼自邸に戻る。法眼は妻の飛鳥に、変心して義経を討つつもりだと言い、さらに鎌倉からの左衛門書状飛鳥読ませる飛鳥左衛門の妹であった。そんな夫の様子見て飛鳥はその刀を奪い自害しようとする法眼義経裏切るような人間ではない。自分鎌倉武士の身内だから、義経のことを内通して知らせたと疑うのかと飛鳥恨み嘆く。すると法眼書状ずたずたに引き裂き、これも義経への忠節のためである、書状引き裂いたすなわち疑い晴れたから、安堵して自害を留まれというので、飛鳥恨みを解く。義経出てきて、法眼厚意感謝するのだった。 そこへ佐藤忠信やってくる義経忠信との再会を喜ぶが、静御前の姿が見えない。静はどうしたのかと尋ね義経に、忠信不審そうな顔をした。自分故郷出羽から今戻ったばかりで、静御前の事は知らないという。義経はこれを聞き激怒する。都から逃れるとき、伏見稲荷忠信に静の身柄預けたはずである。それをとぼけるとはさては自分裏切り鎌倉に静を渡したのに違いない不忠者の人でなしめと駿河次郎亀井六郎を呼ぶ。駿河亀井忠信捕らえようとし、わけがわからないという様子忠信は刀を投げ出して、「両人待った」というまさにそのとき、なんとまた忠信が、静御前伴いこの館に現われたとの知らせ。この場に居た者はみな仰天した。 この場にいた忠信が、今来たという忠信こそ偽者捕まえて疑い晴らそう駆け出そうとするが、駿河亀井はその身に疑いある以上は動かさぬと行く手を阻む。やがて静御前初音の鼓持って義経たちの前に現われた。義経との再会嬉し涙をこぼす静。義経は静に、同道していた忠信のことについて聞く。静の供をしていたはずの忠信いつの間にかいなくなっている。そういえば目の前にいる忠信は、自分の供をしていた忠信とは違うようだと静はいう。だがその忠信初音の鼓を打つと現われる聞いた義経は、それぞ詮議のよい手立てと、静に鼓を打つことを命じ、自らは奥へと、忠信駿河亀井囲まれながらこれもその場立ち退く。 ひとり残された静が初音の鼓を打つ。するとまた忠信現れた。鼓の音を聞いてうっとりする様子である。静は、遅かった忠信殿といいながら、隙を見て刀で切りつけようとする。この忠信は「切らるる覚えかつて無し」と抗うが、鼓をかせに静に責められ、ついにその正体白状したその昔桓武天皇御代のこと。天下旱魃となって雨乞いをするため、大和の国千年生きながらえているという雌と雄狩り出し、その生皮を剥いで作った鼓を打つとたちまち降りだした。その雌と雄の皮で作った鼓とは初音の鼓自分はその鼓にされたの子だというのであるこの子は、皮となっても親たちのことを恋い慕っていたが、初音の鼓義経下されたのを知り伏見稲荷佐藤忠信化け静の危機救い今日まで鼓を持つ静に付き従っていたのだという。その心根に静は涙し、また義経出てきてなお親を思うの心を憐れむが、本物忠信これ以上迷惑はかけられないと、子狐泣きながら姿を消してしまう。 義経子狐呼び戻そうと静に鼓を打たせたが、不思議なことにいくら打っても音が出なくなった。鼓にいまだ魂がこもり、親子別れ悲しんでいるらしい義経は、自分幼少のころに父義朝とは死別れ、身寄りの無い鞍馬山成長しその後頼朝仕えたが、これも憎まれ追われる今の身の上となった。この義経とこのいずれも親兄弟との縁の薄さよと嘆く。静も嘆くとこの声聞いたか、再び子狐こと源九郎狐姿を現す義経は、静を今日まで守った功により、この鼓を与えるぞと手ずから初音の鼓源九郎狐与えた源九郎狐喜びようはこの上もない。源九郎狐はそのお礼にと、今宵悪法師たちが義経討ちにこの館を襲うことを知らせ、鼓とともに姿を消すであった本物忠信駿河亀井とともに出てきて、自らの潔白明かされたことを喜んでいると法眼駆けつけ源九郎狐言葉通り法師たちがこの館に攻め寄せてくるという。義経自分に思う仔細ありといってとともに奥へと入った。 やがて山科法橋坊たちが館に来るが忠信たちや法眼に、また源九郎狐幻術もあってみな取り押さえられてしまう。そこへ衣の下に鎧を着込み薙刀持った横川の覚範来て法眼を呼ぶ。そのとき平家の大将能登教経待て」と義経声を掛けた横川の覚範とは世を忍ぶ仮の姿、実はこれも源平の戦い入水したといわれた平教経だったのである義経覚範こと教経数度刃を交えると、いきなり逃げ出し奥へと入ってしまう。のがさじと教経は、奥へと踏み込んで一間障子開け放つと、そこにいたのは幼い安徳帝。驚く教経安徳帝これまでのいきさつ語りこの上は母である建礼門院会いたい泣き伏す教経安徳帝己が住処移そうと、抱き上げて立ち去ろうするところ駿河亀井法眼がその前に立ちはだかり、互いににらみ合う。そこへ「ヤア待て汝ら粗忽すな」と烏帽子狩衣礼装現われ義経が、この場は安徳帝見送り勝負教経を兄の仇とする佐藤忠信後日決すべしと、改めての決戦互いに約して別れるであった

※この「四段目」の解説は、「義経千本桜」の解説の一部です。
「四段目」を含む「義経千本桜」の記事については、「義経千本桜」の概要を参照ください。

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