薬缶 (落語)
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『薬缶』(やかん)または『やかん[1]』は、古典落語の演目。別題に『やかん根問』(やかんねどい)、『無学者』(むがくしゃ)、『無学者論』(むがくしゃろん)[2]。東大落語会編『落語事典 増補』は、『やかん根問』を上方落語での演題とし[2]、上方落語主体の宇井無愁『落語の根多 笑辞典』は『薬罐根問』の表記を使用する[3]。
やかんの名前の由来を問われた人物がこじつけたでたらめな語釈を述べて、相手からの反問に苦し紛れの回答をするという内容。
原話は明和9年(1772年)に刊行された『鹿の子餅』の一編である「薬罐」(やかん)とされるが、さらに遡ると元禄11年(1698年)の京都板『初音草噺大鑑』(はつねぐさはなしおおかがみ)にある「神代の頭巾」[2]。武藤禎夫は、「神代の頭巾」を古い原話として挙げ、「洗練された江戸小咄」として「薬罐」を紹介している[1]。
この噺にちなんで、落語家の間では知ったかぶりする仲間のことを「やかん」と呼んだ[2]。
あらすじ
学者気取りで他人を小馬鹿にする隠居を懲らしめようと八五郎は、彼に様々な魚の名前の由来を質問する。隠居は知ったかぶって屁理屈を並び立てるが、無学な八五郎はやり込められてしまう。困った八五郎は今度は日用品に話を変え、茶碗、土瓶、鉄瓶の名の由来を尋ねていくが、茶碗は「茶」を入れるから、土瓶は「土」で、鉄瓶は「鉄」で出来ているからと当たり前の返しを受けてしまう。そこで八五郎はそれなら「やかん」はどうだ(矢ではできてないぞ)と切り返す。すると隠居は以下の話をする。
やかんは元は「水沸かし」と呼んでいたが、川中島の戦いのとき、不意打ちにあったとある若武者が見つからない兜の代わりに水沸かしを被った。そして戦闘中に敵の放った矢が当たってカーンと鳴ったので「やかん」と呼ばれるようになった。
八五郎は納得せず、「蓋が邪魔にならないか?」「つるは?」などと問いかけて食い下がるが、隠居は「蓋は口にくわえて面の代わり」「つるは顎へかけて緒の代わり」などとかわす。最後に「やかんの口は?」と尋ねると、昔の合戦には名乗りがあったために耳の部分に穴が必要だったと答える。それを聞いて八五郎は耳なら両方にありそうなもんだと切り返すが、隠居は言う。
「ない方は、枕をつけて寝る方だ」
バリエーション
上方落語版(『薬罐根問』)では、質問をするのは清やんで、武士が兜代わりにやかんを被ったのは富士川の戦いとする[3]。
武藤禎夫は、本演目を上方落語の『八問答』と同型とし、根問(由来についての質問)やこじつけ方は「演者によってさまざま」と記している[1]。
脚注
出典
参考文献
- 宇井無愁『落語の根多 笑辞典』角川書店〈角川文庫〉、1976年。NDLJP:12467101。
- 東大落語会 編『落語事典 増補』(増補 改訂新版)青蛙房、1994年9月(原著1969年)。ISBN 4-7905-0576-6。
- 武藤禎夫『定本 落語三百題』岩波書店、2007年6月28日。 ISBN 978-4-00-002423-5。
関連項目
でたらめな語釈・解釈を披露する演目
「薬缶 (落語)」の例文・使い方・用例・文例
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