浮世根問とは? わかりやすく解説

浮世根問

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/14 02:14 UTC 版)

浮世根問』(うきよねどい)は古典落語の演目。別題に『無学者』(むがくしゃ)、『無学者論』(むがくしゃろん)[1]。もとは上方落語の演目で、2代目柳家小せん東京に移入した[2][注釈 1]

八五郎が物知りな隠居にいろいろなことを質問し、最後に極楽の所在を問うという内容。武藤禎夫は「同じ八公相手の隠居でも、『やかん』『千早振』に出てくる知ったかぶりのこじつけ話と違って、温和な人柄がにじみ出てくる」と評している[4]

落ち(サゲ)は仏壇ろうそく立てに「亀の背中に鶴が乗る」意匠が多いことに由来するが、この内容は、安永5年(1776年)に刊行された江戸小咄本『鳥の町』の一編「根問」に見える[4]。現代では馴染みがないため、サゲの前で切り上げられることが多い[1]

主な演者には、4代目柳家小さんやその弟子である5代目柳家小さんなどがいる[要出典]

あらすじ

八五郎が横町のご隠居を質問攻めにする。この噺では、「嫁入り」という語は本来は「娘入り」が正しいのではないかという問いから始まって、やがて慶事の象徴である鶴亀は死んだらどこに行くのか、という展開になる。隠居は極楽に行くと答えるが、八五郎は今度は極楽はどこにあるのかと問い返す。最終的に隠居は極楽はここにあると言って、自宅の仏壇を指差す。ここで八五郎は話を戻して「では鶴や亀は仏となってここに来るのですか?」と聞くと、隠居は「いや、鳥畜類は仏になれない」と答える。八五郎が「ではどうやってここに来るんですか?」と聞き返すと、隠居は答える。

「ろうそく立てになる」

バリエーション

隠居の「亀は万年」に対して八五郎が「縁日で買った亀がその晩に死んだ」と質問すると、隠居が「その日が万年目だった」と答える内容を入れる場合がある[4]。このくすぐりは、古くは寛永5年(1628年)の『醒睡笑』第2巻「躻(うつけ)」第21話に見える[4]

脚注

注釈

  1. ^ 1966年の『上方落語の歴史 増補改訂版』の本文は「先代柳家小せん」と記しているが[2]、1958年の最初の版でも同様の記述のため[3]、2代目とする。

出典

  1. ^ a b 『落語事典 増補』 1994, pp. 73–74, 「浮世根問」.
  2. ^ a b 前田勇 1966, p. 128.
  3. ^ 前田勇『上方落語』杉本書店、1958年、130頁https://dl.ndl.go.jp/pid/2487140/1/70 
  4. ^ a b c d 武藤禎夫 2007, pp. 56–57.

参考文献





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