王子の狐
王子の狐
王子の狐
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/07 13:17 UTC 版)
『王子の狐(おうじのきつね)は、古典落語の演目。初代三遊亭圓右が上方落語の『高倉狐』(たかくらぎつね)を東京に移したとみられている[1]。
人を化かすと言われる狐がかえって人に化かされる顛末を描く。
ベースとなる話は鳥翠北茎『北国奇談巡杖記』第5巻(文化4年・1807年)や松浦静山『甲子夜話』第21巻の「人の狐を欺きし話」(文政4年・1821年)、『奇談新編』(天保13年・1842年、漢文体)などに見え、噺本にも『露休置土産』の「狐も化かさるる世の中」(宝永4年・1707年)をはじめ『御伽噺』の「狐の付いた和尚」(安永2年・1773年)に出ている[1]。
あらすじ
王子稲荷(東京都北区王子)の狐は、昔から人を化かすことで有名だった。
ある男、王子稲荷に参詣した帰り道、一匹の狐が美女に化けるところを見かける。どうやらこれから人を化かそうという肚らしい。
そこで男、「ここはひとつ、化かされた振りをしてやれ」と、大胆にも狐に声をかけた。「お玉ちゃん、俺だよ、熊だ。よければ、そこの店で食事でも」と知り合いのふりをすると、「あら熊さん、お久しぶり」とカモを見付けたと思った狐も合わせてくる。
かくして近くの料理屋・扇屋に上がり込んだ二人、油揚げならぬ天ぷらやらお刺身などを注文し、差しつ差されつやっていると、狐のお玉ちゃんはすっかり酔いつぶれ、すやすやと眠ってしまった。そこで男、土産に卵焼きまで包ませ、「勘定は女が払う」と言い残すや、図々しい奴で狐を置いてさっさと帰ってしまう。
しばらくして、店の者に起こされたお玉ちゃん、男が帰ってしまったと聞いて驚いた。びっくりしたあまり、耳がピンと立ち、尻尾がにゅっと生える始末。正体露見に今度は店の者が驚いて狐を追いかけ回し、狐はほうほうの体で逃げ出した。
狐を化かした男、友人に吹聴するが「ひどいことをしたもんだ。狐は執念深いぞ」と脅かされ、青くなって翌日、王子まで詫びにやってくる。巣穴とおぼしきあたりで遊んでいた子狐に「昨日は悪いことをした。謝っといてくれ」と手土産を言付けた。
穴の中では痛い目にあった母狐がうんうん唸っている。子狐、「今、人間がきて、謝りながらこれを置いていった」と母狐に手土産を渡す。警戒しながら開けてみると、中身は美味そうなぼた餅。
子狐「母ちゃん、美味しそうだよ。食べてもいいかい?」
母狐「いけないよ!人間は騙すからね、馬の糞かもしれない!」
題材について
扇屋は現在、料理屋は経営していないが、今も1階で卵焼きを販売している[2]。
主な演者
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物故者
現役
脚注
参考文献
- 武藤禎夫『定本 落語三百題』岩波書店、2007年6月28日。ISBN 978-4-00-002423-5。
関連項目
外部リンク
- 幕末・明治期の扇屋 - 右手に扇屋、中央が音無川、左に扇屋庭園。
- 歌川広重作 江戸高名会亭尽「王子扇屋」 - 江戸東京博物館収蔵
王子の狐
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