たいこ腹とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > たいこ腹の意味・解説 

たいこ腹

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/25 13:32 UTC 版)

たいこ腹』(たいこばら)は、古典落語の演目。『幇間腹』とも表記され[1]江戸落語では『針のたいこ』(はりのたいこ)という別題もある[2]

を覚えたという若旦那が知り合いの幇間(たいこもち)を報償を餌に腕前の実験台にする(そしてしくじる)という内容で、たいこもちの「たいこ」と太鼓地口落ち(サゲ)である。

素人の鍼の犠牲になるという話は古くは元禄16年(1703年)の軽口本『軽口御前男』第4巻の「いひぬけのもがり(「もがり」は実際は、たけかんむりに虎)」に見え、落語の形式に近いものでは、安永5年(1776年)の上方笑話本『年忘噺角力』第3巻の「鍼のけいこ」がある[1]。東大落語会編『落語事典 増補』では、明和9年(1772年)の『楽牽頭(がくだいこ)』掲載の「金銀の針」を改良したものが「鍼のけいこ(稽古)」だとしている[3]。安永9年(1780年)に出版された『初登』の一編である「針医」では(若旦那が)「おれが鍼の師匠の所へ歩(あい)ばっしゃれ」(俺の鍼の師匠の所まで歩いていけ)というサゲになっている[1]

もとは上方落語の演目[要出典]。江戸落語では、3代目春風亭柳好が得意とした[3]

あらすじ

ありとあらゆる趣味に凝った挙句、やることがなくなってしまった伊勢屋の道楽息子・孝太郎。

いっそのこと、『料簡を入れ替えて』善行に励もうと思い、鍼医の元に弟子入りして修業を始めた。どんな趣味でもそうなのだが、練習ばかりでいると誰かに試してみたくなってくる。この孝太郎も例に漏れず、今すぐにでも「人体実験」をしてみたくなってきた。

猫に鍼を刺そうとして失敗。そこで、鍼を出しても騒がない人間…幇間の一八を実験台にすることを思いつく。早速馴染みのお茶屋に飛び込むと、二階の一間に陣取って一八を呼びつける。やがて現れた一八は、今まで若旦那にやられたいたずらを思い出してグロッキーに。

それでも何とか勇気を奮い起し、若旦那の待つ部屋へと入っていく。若旦那が今まで挑戦した趣味を並べ、さりげなく探りを入れてみると『鍼をうたせろ』という返事だ。慌てて逃げようとしたが、若旦那に鍼一本につき5万円と新しい着物を進呈するといわれ、ついその気になって横になってしまった。

「目が据わってる。手がガクガクだ…。大丈夫か? 南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…ウギャ!!」

あまりの痛さに飛び起きたら、なんと針が折れてしまった。慌てて「迎え鍼」」という奴を打つが、これも全く同じ経緯で折れてしまう。予想外の事態に怖くなった若旦那は逃走。入れ違えで、悲鳴に驚いた御茶屋の女将が階段を上がってきた。一八から事情を聴き、同情しつつも「貴方はこのあたりで打ち鳴らした幇間。いくらかにはなったんでしょ?」

「とんでもない!! 皮が破れて鳴りませんでした」

脚注

  1. ^ a b c 武藤禎夫 2007, pp. 254–256.
  2. ^ 宇井無愁 1976, pp. 315–316.
  3. ^ a b 東大落語会 1973, p. 268.

参考文献




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「たいこ腹」の関連用語

たいこ腹のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



たいこ腹のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのたいこ腹 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS