道行初音旅
道行初音旅
義経千本桜
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『義経千本桜』(よしつねせんぼんざくら、義経先本桜とも)とは、人形浄瑠璃および歌舞伎の演目のひとつ。五段続、延享4年(1747年)11月、大坂竹本座にて初演。二代目竹田出雲・三好松洛・並木千柳の合作。「大物船矢倉/吉野花矢倉」(だいもつのふなやぐら/よしののはなやぐら)の角書きが付く。通称『千本桜』。源平合戦後の源義経の都落ちをきっかけに、実は生き延びていた平家の武将たちとそれに巻き込まれた者たちの悲劇を描く。
- ^ “義経千本桜[2012] – 木ノ下歌舞伎 official website”. kinoshita-kabuki.org. 2021年5月19日閲覧。
- ^ Maron (2012年7月7日). “木ノ下歌舞伎『義経千本桜』”. KUNIO official website. 2021年5月19日閲覧。
- ^ “義経千本桜―渡海屋・大物浦― – 木ノ下歌舞伎 official website”. kinoshita-kabuki.org. 2021年5月19日閲覧。
- ^ “義経千本桜―渡海屋・大物浦― – 木ノ下歌舞伎 official website”. kinoshita-kabuki.org. 2021年5月19日閲覧。
- ^ 1.1. 奈良県景観資産-秋野川沿いの下市の町なみ- 奈良県、2022年8月30日閲覧。
- 1 義経千本桜とは
- 2 義経千本桜の概要
- 3 解説
- 4 関連作品
- 5 参考文献
道行初音旅(吉野山)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 10:05 UTC 版)
四段目の口。景事(所作事)。浄瑠璃の本文では四段目の冒頭だが、歌舞伎の通し上演では三段目を飛ばして大物浦の場の後に上演されることが多い。吉野へ向かう静御前と佐藤忠信の旅路を描く。しかしこの「吉野山」については、実は原作の浄瑠璃と現行の文楽・歌舞伎の舞台とのあいだに喰い違いがある。現行の文楽・歌舞伎ではいずれも舞台面は桜花爛漫の吉野山であるが、原作の浄瑠璃の本文を読むと桜は咲いていない。 浄瑠璃の本文には「…見渡せば、四方のこずへもほころびて、梅が枝うたふ歌姫の」とある。「歌姫」とは鶯のことであり、木々の芽がほころび、梅に鶯という景物からしても季節がまだ春の初め、すなわち桜はまだ咲かない時分であることは明らかである。またこの段は通称「吉野山」とはいうが、最後に「み吉野の麓の里にぞ着きにける」とあるのをみてもわかるように、浄瑠璃が語っている場所は「吉野山」ではなく京から吉野山までの道中であり、「宇賀の御魂の御社」(伏見稲荷)や「ほそ野」(京都府相楽郡の祝園〈ほうその〉かといわれる)、芦原峠といった地名があげられている。 江戸の芝居においては、この「道行初音旅」は豊後節系浄瑠璃で上演されるのが例となっており、その浄瑠璃外題もその時々で新しく付けることが多かった。そのなかで安永6年(1777年)6月、江戸森田座で上演された『雪颪桴花籬』(ゆきおろしうつぎのはながき、常磐津)ではその詞章に春の初めであることを示す原作の本文をカットし、桜の花盛りである時期として加筆されている。この四段目口に本来なかった桜が出てくるようになったのは、この時期にまでさかのぼるようである。 また江戸ではこの所作事を原作の内容そのままに演じるのではなく、静と忠信以外の者を登場させるなどの増補をしている。たとえば『日本戯曲全集』所収(文政8年〈1825年〉5月、市村座)の『新曲初音旅』(しんきょくはつねのたび、常磐津)では、最初に静御前のことを噂する百姓たちが出たあと、太郎松とおちょぼという百姓の若い男女が花道から出て踊る。そこに静も出てきて太郎松とおちょぼ、静の3人の所作があり、その次に忠信が静の打つ鼓につられて現われる。そして最後は馬子の六蔵という男が出てきて静を捕らえようとするが、忠信と立回りの末に投げられ幕、となっている。 ほかにも『歌舞伎オン・ステージ』所収(安政3年〈1856年〉7月、市村座)の『花市荘初音の旅』(はないちざはつねのたび、竹本と常磐津の掛合い)では、幕が開いて最初に静と忠信が本舞台セリ上げから同時に現われ、所作事があって静と忠信が引っ込むと、そのあとは田舎娘と太神楽の男2人の所作事になるという趣向である。なお当項目の画像に掲げた『差実爾初音色鳥』では、静と忠信のほかに三代目市川八百蔵扮する鳥刺し男が出るというものであった。 現行の歌舞伎で「吉野山」に使われている曲は文政5年(1822年)5月、江戸中村座の『幾菊蝶初音道行』(いつもきくちょうはつねのみちゆき、富本)にもとづくものである。初演は富本節であったが、のちに曲を清元節に改めており、さらにこの曲に竹本を入れ掛合いにして上演するのが現在では普通となっている。文楽ではもちろん初演以来義太夫節で上演されており、忠信が合戦の様子を物語る場面では扇を持った静が浄瑠璃の「真っ逆様」というところで、後ろ向きに忠信に向けて扇を投げ、それを忠信が受け取るのが見どころのひとつである。
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