四段仕込み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/06 05:21 UTC 版)
近年は、「四段仕込み」ばかりでなく、五段、六段、はては「十段仕込み」をラベルにうたった日本酒も市場に出回るようになったが、伝統的に言えば段仕込みといえば三段仕込みのことである。 もちろん、原理からいえば、三段仕込みにおいて初添→仲添→留添と、投入する麹と蒸米を倍量にしていく延長として、さらにその倍量ずつを投入していくならば、四段仕込み、五段仕込み…といったことも方法としては可能である。 ただ「方法として可能である」ことと「製法として意味がある」ことは違うわけで、できあがる酒質から観れば、三段仕込みをおこなった時点で段仕込みをする意味、すなわち酵母を新しい環境へ段階的に慣らしていくことによって活性を保つという意味はすでに達成される。このため、特にそれまでの三段の仕込みとは異なった製法を用いる場合を除いては、四段仕込み以上の必要はないことになる。 一方では、元酒類審議会委員であった上原浩によれば、精米歩合を高めることができなかった時代には、醪末期(もろみの醗酵の最後の段階)で醗酵が急に進み、酒が薄辛くなることがあったので、それを補正するために甘酒などを四段目に仕込んでいたという(甘酒四段)。糖類などを加えた醸造アルコールを大量に加えた三倍増醸酒がすたれていくと、かわりの糖類成分として甘酒を四段として打つ酒造家が多くあらわれた。つまり辛すぎる酒へ、デンプン酵素剤などで米を溶かした工業生産的な甘酒によって甘味を補おうとする手法である。このような四段仕込みを行なうと、未熟な醪にさらに未分化な成分を加えるために、製成酒は味のキレが悪く、劣化もしやすくなり、早くから老ね香を発しやすい また、独自の製法として、三段仕込みの後に甘味を足すために蒸し米や甘酒、酒かすを投入する四段仕込み(又は第2留)で醸造した日本酒を出荷している酒蔵も存在する。 脚注 ^ 上原浩『純米酒を極める』光文社、2002年、pp107-108。ISBN 4-334-03178-1。 ^ 改定灘の酒用語集. 灘酒研究会. (1997.10)
※この「四段仕込み」の解説は、「段仕込み」の解説の一部です。
「四段仕込み」を含む「段仕込み」の記事については、「段仕込み」の概要を参照ください。
- 四段仕込みのページへのリンク