主張・行動
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<学問=行政法と教育> 著書『行政訴訟の実務と理論』は、行政を相手にする行政訴訟、賠償訴訟の専門家として、常に原告側(国民側・住民側)で活動した経験と理論を結びつけるために書かれた。この本は、行政を訴訟では特別扱いにせず、国民と対等に(情報は行政に偏在するからむしろ国民に有利に)することが重要との立場である。それに反する「抗告訴訟」という概念、「和解不可」の訴訟運用、訴訟類型間の「補充性」などへの批判を精力的におこなっている。 行政事件訴訟法改正、行政不服審査法改正の国会審議に公述人として意見を述べた(2004年6月1日参議院法務委員会、2014年6月3日参議院総務委員会) 共著書『公法系訴訟実務の基礎』はロースクール用の行政法事例教科書。 報告書(日本弁護士連合会「アメリカ・カナダにおけるロースクールの実践」2000年11月)は、斎藤が法科大学院制度設立準備のためにおこなった調査報告書。 <司法制度改革> 21世紀初頭の司法制度改革では、人権派の一部から斎藤は、対行政、対権力の立場が「揺らいでいる」と批判され(坂本修「司法改革」学習の友社)、著名な人権活動家、学者と論争した。論文『司法改革と民主主義』(日本評論社「司法改革の最前線」)で、斎藤は司法制度を規制緩和することは重要で、そのために政府と協力することは当然とし、坂本修弁護士に反論し、小田中聰樹教授を批判した。最近でも、斎藤は小田中教授の信奉者から再批判され(文理閣「権力の仕掛けと仕掛け返し」)、ロースクール反対論者から論難されている(平凡社新書「こんな日弁連に誰がした?」など)。これらに対し斎藤は、岡田和樹と共著「誰が法曹業界をダメにしたのか もう一度、司法改革を考える(中公新書ラクレ)」を公刊し、再司法改革の必要性を宣言している。 <大災害と士業の協力> 斎藤は、阪神・淡路大震災後、救援、復興、減災活動では、弁護士は狭い利害を超えて、被災者が必要とするワンストップ、ワンパックのボランティア相談体制を整えるため、税理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、建築士など他士業と協力するべきだと主張し、1995〜1996年、近畿弁護士会連合会役員などと論争を繰り返した(「自由と正義」1996年11月号)。今では、士業と学者が共同でつくる近畿災害対策まちづくり支援機構には大阪弁護士会、兵庫県弁護士会が他の士業組織とともに最有力メンバーとなり、関西広域連合との協定もでき、同種組織が東京をはじめ一定の県に生まれ、東日本大震災からの復興にあたるとともに、南海・東南海地震など次の大災害への備えをしようとしている(「士業・専門家の災害復興支援」クリエイツかもがわ)。 <組織コンプライアンス> 大阪豊能郡能勢町の豊能郡美化センターの元従業員らが国(環境省・厚生労働省)や大阪府、焼却炉メーカーの三井造船など6者を被告として訴えていたダイオキシン労災訴訟で弁護団長をしていた。総額5億3000万円の損害賠償請求に対し、メーカーが3000万円を支払うことで和解に達し、国と大阪府に対する訴えも取下げた。 斎藤は、大阪いずみ市民生活協同組合で起った大不祥事、コンプライアンス問題(朝日新聞1997年9月25日付など)で、内部告発し懲戒解雇された3人の職員の弁護にあたったことがあった。仮処分(大阪地裁堺支部1999年6月30日裁判所ウェブ)でも本裁判(同2003年6月18日裁判所ウェブ)でも勝訴した。しかし、この裁判結果を民主団体は一切報道せず、マスコミだけが大きく報道した(朝日新聞2003年6月19日付など)。 <原発> 斎藤は反原発の立場で主張を行っている。 斎藤編「原発の安全と行政・司法・学界の責任」(法律文化社、2013年)に収められた論文「行政分野の原子力村と原発訴訟判決」。この中で斎藤は、東大の歴代行政法講座正教授や高橋滋法政大教授をはじめ東大出身の多くの著名行政法学者が、電力業界が作っている日本エネルギー法研究所に集結し役割を果たしている事実を膨大な別表にした。研究所の初代理事長は田中二郎名誉教授である。別表には著名な環境法学者も含まれていた。 論文「原発訴訟と裁判官の営為について」(自治研究1104、1105号、2016年)。ここで斎藤は、高木光京大教授の論文を批判している。高木は、原発に対しては仮処分を含む民事差止め訴訟を禁止すべきだという議論、原発分野では裁判官は行政の裁量や行政立法に敬譲心を持て、つまり稼動停止などの判断をするなという議論を展開している。これに対し斎藤は、民事裁判でも行政裁判でも、裁判官は原発という巨大な対象に臆せず自らの良心に従って判決をすべきだと書いている。 <文化> 斎藤は、「おおさかの街」というタウン誌を24年間赤字で出し続け、評論を担当し、有名無名の「おもしろ活動」をしている人々を訪ね歩いた。その休刊宣言をした時には産経新聞に取り上げられた(2009年7月8日)。 典拠管理 WorldCat Identities ISNI: 0000 0000 8124 5448 LCCN: nr91040489 VIAF: 256251381
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