メンバーの階級
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準兵士 キリストを救い主として認め、救世軍への入隊希望を表明し認められた人。他教団における洗礼準備者。入隊式までの間はキリスト教や聖書、教会、救世軍などについて詳しく学び、入隊に備える。 兵士 キリストを信じて回心し、入隊式で加入宣誓書『軍中の約束[リンク切れ]』に署名調印して入隊した信者。いわゆる一般信徒。制服の襟章は青地または黒地に「S」、肩章(階級章)は青地または黒地に太い黒縁。 下士官 小隊(=教会)において特命を与えられ、無給で奉仕する信者。他教団における教会役員にあたる。階級呼称はほとんどが軍曹(英: Sergeant)で、三役は曹長(役員会長)、書記(役員会事務局長)、会計。ブラスバンドメンバーやオルガニスト、ピアニストなどの奏楽担当者や唱歌隊員も下士官。基本的に肩章・襟章とも兵士と同じだが、一部の役職者は肩章や制服の上腕部などに役職名の頭文字を記したバッジやワッペンを付けることもある。また、制帽の帽章が兵士とは異なる場合がある。なお、救世軍における「下士官」は後述の准尉および特務曹長以外は「階級(階級区分)」よりも「所属小隊における役職」という意味合いが強い。 士官候補生 神から召命を受け、生涯を奉仕に捧げる士官となるために士官学校(=神学校)に在学中の神学生。 制服は兵士と同じ物だが、肩章に赤い線が入る(線1本が1年生、線2本が2年生)。 士官学校は2年制であり、卒業時に士官に任官される。入校資格は原則として高校卒業以上で所属小隊士官または所属教会牧師の推薦を受けた18歳から48歳までの兵士・下士官またはクリスチャン(入校時に救世軍に入隊し、士官として奉仕する意思があれば、入校前の所属教会が救世軍でなくてもよい)。 士官 神から召命を受け、生涯を奉仕に捧げるために士官学校(=神学校)で専門的な教育訓練を受けた伝道者。他教団の牧師に相当。制服の襟章は赤地に「S」、肩章は赤地で階級により入るマークが異なる。 士官の階級は、士官学校入校が認められた者の入校前の呼称は準候補生、士官学校入校時および在学期間中は士官候補生で、卒業すると中尉となる(中尉の階級は2001年に一旦廃止されたが、2008年に復活した。現行の制度では士官学校卒業時に中尉に任官され、奉仕年数第5年目に大尉に昇任する。なお少尉の階級は過去には存在したが、現在は廃止されている)。 その後奉仕年数により、任官後15年で少佐・大佐補・大佐・中将と昇任していく(准将と少将の階級は無い)。戦前の階級に「校」があった。校は尉官と佐官の中間で連隊長の主な階級が中校だった。(なお、台湾では今も「校」が使われており、小隊指揮官の多くの階級は少校である。)現在、ほとんどの士官は少佐の階級を退役まで保持する。これは2001年の軍律の改訂により、大佐補以上の階級の士官は軍国司令官・書記長官などの一部の役職に限定されたためである(現在の日本軍国の書記長官の階級は大佐補であり、書記長官以外の本営の役員や士官学校校長、連隊長などの階級はほとんどが少佐かそれ以下である)。 過去には存在したが、現在の救世軍士官の階級には中佐が無く、代わりに一般的な軍隊の士官には存在しない階級の「大佐補」が存在する。これは旧救世軍中佐の原語である「Brigadier」が「中佐」と訳されていたが、その「Brigadier」の階級が廃止されて「Lieutenant Colonel」の階級が新たに制定されたため、「Brigadier」と「Lieutenant Colonel」を区別するために作られた新語である。 かつて「中尉」と訳されていた「Lieutenant」は、現在の日本の救世軍においては准尉制度の導入に伴う中尉の階級の廃止とその後の復活という紆余曲折を経て、Lieutenantを准尉と中尉に訳し分けながら併用されている。 世界代表で「万国総督」とも呼ばれる現役の大将は1名のみ。 万国総督の補佐役で大将に次ぐ役職として、中将が務める参謀総長が設けられている。 参謀総長の下には地区別・担当任務別に複数の、やはり中将が務める「万国書記官」が設けられている。 他教団の管区に相当する「軍国」の代表者は軍国司令官である。また、軍国の本部は「本営」と呼ばれる。 各軍国司令官の補佐役としては書記長官という役職が設けられている。本人の意思もしくはなんらかの事情により士官にはならない(または「なれない」、例えば年齢制限により士官学校への入学資格を失った人、夫婦での士官学校入校ができなかった人、特定政党に所属している人など)が、下士官として一定期間(最低3年間、最高9年間)フルタイムで奉仕する人は准尉(旧制度の「特務大尉」 (Auxiliary Captain) および「特務曹長」 (envoy) にほぼ相当)に任官される。准尉は下士官だが、有給の専従職員である。 特殊な例としては士官学校入校の年齢制限を超えた人で特別に訓練を受けた野戦任官士官である「特務大尉」という階級も存在したが、准尉制度の実施に伴い、「特務大尉」および「特務曹長」の階級は順次的に廃止されることとなった。 士官は65歳で定年退官となり、引退士官となる。しかし、所属の小隊で説教などの奉仕を続けることがある。 軍属 士官および准尉以外の救世軍人で社会福祉部門、医療部門、教育部門、法人本部などにおいて雇用される職員(例:法人本部の事務職員や病院の看護師など)。なお、救世軍以外の教団・教派に所属するクリスチャンや、クリスチャンではない者でも「法人としての救世軍の職員」には採用されるが、そのような者は「救世軍軍属」とは呼ばれない。 軍友 他教団所属で、救世軍と協力関係にあるクリスチャン。またはクリスチャンでなくとも救世軍に協力している者。 同友者 諸事情により、軍令・軍律から外れ兵士としては入隊できないが、救世軍の主義や行動に賛同して救世軍を所属教会と宣言して認められ、兵士同様に月定献金をしているクリスチャン。例えば酒造・酒販業や、居酒屋・スナック・バーなど酒の提供を主とする飲食業、煙草製造・販売業の人など。同友者は「救世軍の一員」の中に含まれる。兵士と異なり、禁酒禁煙を守らなくてもよい。 サポート会員 救世軍の活動を支えるために、会員登録し定期的に献金(個人:年3000円以上、法人・団体:年10000円以上)している人。クリスチャンでなくてもなれる。 コミュニケーション・ケア・ミニストリーズ(CCM)会員 救世軍の奉仕活動に参加の意思がある人で、小隊士官の推薦を受けた人。クリスチャンでなくてもなれる。2015年まではリーグ・オブ・マーシー(LOM)という名前だった。LOMは1994年に発足し、活動20周年を記念して名称変更された。 家庭団 他の教会における女性部、婦人部に相当。 柏寿会 60歳以上の高齢者の集まり。クリスチャンでなくても入会できる。 下士官、兵士、準兵士、同友者は無給のボランティア(ただし例外として、准尉は下士官だが有給の専従職員となる)。士官(士官候補生および准尉を含む)、軍属、一部の軍友が宗教法人・社会福祉法人・財団法人の専従職員となる(これもまた軍隊に倣ったもの。士官は救世軍の活動を本業とする“職業軍人”、下士官までが志願兵)。また、準兵士以上の救世軍人同士は戦友 (comrade) と呼び合う。 その他、まだ信仰に至っていない求道者や、他の教団に所属するクリスチャンが客員として集っている小隊もある。又、地理的な事情(例:救世軍の小隊から遠く離れた地域に仕事などの理由で在住している)等で、他のキリスト教会に集っている救世軍メンバーも存在する。
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