すみれ(菫)の花言葉
すみれ(菫)の花言葉の由来
(1)すみれの見た目からつけられたという説すみれは3月から5月にかけて日当たりの良い野原や道端などで花を咲かせる。まっすぐ伸びた細い茎の先に咲く、花径2センチほどの小さな花。その可憐な姿が春の訪れを知らせ、眺めているだけで心がほっこりと温まる。そのさまがまさに「小さな幸せ」を与えてくれる花、ということで花言葉となったという見方がある。
また、野山や木立の足元にひっそりと、控えめに咲く様子から「謙虚」という花言葉がある。
その控えめで奥ゆかしいイメージに加えて、道端やアスファルトの裂け目などからも自生するとても丈夫な植物であり、小さくても立派な花を咲かせる凛とした立ち姿から、日本でも西洋でも「誠実」のシンボルとして知られている。
(2)ドイツの伝承
すみれはドイツでは「春の使者」と呼ばれる。ドイツでは昔から、「か弱い少女のような花、すみれ。旅人の目に触れない所から、その香りで挨拶し、孤独に静かに暮らしている。そのため人々はすみれを謙遜・謙虚さのシンボルにした。」という言い伝えがある。
(3)ギリシア神話からつけられた説
以下のような神話のエピソードから、神の前では「目立たず、控えめに=謙虚」というのがすみれの花言葉になったと言われる。
#ゼウスとイーオーの話
ギリシア神話の最高神ゼウスは、妻ヘーラーに巫女として仕えるイーオーを愛した。この関係がヘーラーに知られ、イーオーは白い牝牛の姿に変えられ、森の中のオリーブの木につながれてしまった。ゼウスはイーオーを慰めるため、イーオーの美しい瞳によく似た「すみれの花」を作り出した。古典ギリシア語ではすみれのことをイーオーにちなんでイオンと呼んでいた。
#アポロンとイアの話
神話の神アポロンが、フィリシアの美しい娘イアを見て恋に落ちた。イアには羊飼いの婚約者がいたために、アポロンの愛を拒み、狩猟と貞潔の女神アルテミスに助けを求めたところ、アルテミスはイアをすみれの花に変えた。
#ローマ神話
愛と美の女神ヴィーナスが、美しい乙女たちが踊っている姿を見て、自分の息子であるキューピッドに「乙女たちと私のどちらがより美しいか」と尋ねた。キューピッドが「乙女たち」と答えたのでヴィーナスは怒り、乙女たちの頬を叩いた。頬は紫色に腫れあがり、可哀そうに思ったキューピッドが乙女たちを紫色のすみれの花に変えたという。
(4)魅惑的な香りから
すみれのしなやかで強い香りはとても印象的である。色別の花言葉では「恋」や「愛」をあらわすことが多く、すみれは「愛情」とも結び付けられる。甘く・センシュアルな匂いが「恋」や「愛」、「夢の世界」に誘い込む。
すみれ(菫)の英語の花言葉
花言葉は19世紀の西欧社会で流行し、日本には明治時代初期に取り入れられたという経緯がある。当初は輸入された花言葉がそのまま使われていたが、次第に日本独自の花言葉も作られていった。すみれは英語では「violet(ヴァイオレット)」。花言葉は「Modesty(謙虚)」「Faithfullness(誠実)」ほか「Dreams(夢)」「Healing(癒し)」「Remembrane(追憶)」「Determination(決断力)」など、多種多様な意味を持つ。
また、英語には shy as a violt(すみれのように恥ずかしがり屋)という慣用表現がある。小さな花がうつむいて可憐に咲くような姿にちなんだ言い回しである。
「violet」は色名でもある。日本では「すみれ色」ともいい、青みがかった深い紫色を指す。西洋では、すみれの凛とした美しい姿が女性の美徳の象徴とみなされている。バラ・ユリ・すみれは特別な意味を持ち、バラは「beauty(美)」ユリは「majesty(威厳)」すみれは「modesty(謙虚)」と「faithfulness(誠実)」の象徴とされ、この3つが備わった女性が理想の女性像とされている。この3つの花は聖母マリアのシンボルでもあり、キリスト教の宗教絵画には聖母マリアに添えられる定番のモチーフとなっている。
すみれ(菫)色別の花言葉の解説
#紫色「貞節」「愛」「貞節」とは、女性が配偶者以外の男性に身も心も許さないこと。思いが揺らぎ、変わるということが無く、身持ちを守るということ。すみれの全般的な花言葉の一つ、「誠実」につながる意味を持つ。紫色は古い時代には日本・西洋ともに高貴な色とされ、また動の赤と静の青という相反する色が共存し、感性に働きかける神秘的な効果がある。奥ゆかしく、深く、また誠実な「愛」をイメージさせる。紫すみれの英語での花言葉は、日本の花言葉とは一味違い、「daydreaming(白昼夢)」「You occupy my thoughts(あなたのことで頭がいっぱい)」。
「daydreaming(白昼夢)」とは目覚めながら夢をみているようなぼんやりした状態。何かに思いを馳せて心ここにあらず、であったり、「You occupy my thoughts(あなたのことで頭がいっぱい)」と一途な思いでいっぱいになっているのも、紫色がかもし出す神秘的な雰囲気と、可憐で少し儚げなすみれの姿が結びついているといえる。
#青色「用心深さ」
青色のスミレは日本語の花言葉では青紫~紫色の仲間に入る。英語での花言葉は「watchfullness 用心深さ」「Love 愛」。青という色の落ち着きと冷静さ、知的なイメージから、用心深さ、油断をしないという意味を持つ。浮かれた気持ちではない、慎重な「愛」。自分の心と相手の心を謙虚に、誠実に見つめるという事。
#白「あどけない恋」「無邪気な恋」「純潔」
白という色の持つ、純粋・無垢・けがれないイメージそのままに、若々しいフレッシュな恋をあらわす花言葉がつけられている。幼い頃の純粋な思い、初恋の大切な思い出が懐かしく呼び起こされる。白すみれの英語での花言葉は「candor(率直・誠実)」「innocence(純潔)」。「率直」というのは飾らず、ありのままであること。「純潔」は心にけがれがなく、清らかなこと、または性的に無垢なこと。白色が表す通りのシンプルでストレートな意味を持っている。ローマ神話のエピソードで、愛と美の女神ヴィーナスが嫉妬した美しい乙女たち、というのはこの白いすみれの花だったという説もある。
#ピンク色「希望」「愛」
ピンク色のやさしさ、温かさ、華やかさから、「希望」「愛」という花言葉を持つ。新たな命が芽生え、再生する春という季節に、新しい事への挑戦・スタートに際して背中を押してくれるような「希望」、生きるための大きな力となる「愛」、やさしく包みこんでくれるような「愛」を表す。
#黄色「rural happiness(田園の幸福)」「慎ましい喜び」
目覚めの春を照らす太陽の色、春を感じさせる色の代表とも言える黄色は、すみれの色となるとどこか素朴な、飾り気のない純朴な「rural happiness(田園の幸福)」となる。のどかな自然に囲まれる幸福なイメージをもたらす。明るい黄色の小さな花が群生する様子はまさに「慎ましい喜び」であろう。
すみれ(菫)本数別の花言葉の解説
すみれは草丈10センチほどで、鉢植え、単色やいくつかの色で寄せ植えにしてあることが多い。そのため本数を数える花束にするケースはあまりないかもしれないが、ここでは一般的な花束の本数に込められた意味を紹介する。誕生日プレゼントには、年齢と同じ数の花を贈ることもある。- 1本「あなたが運命の人」
- 3本「愛している」
- 4本「一生愛し続ける」
- 6本「あなたに夢中」
- 8本「思いやりに感謝」
- 9本「いつも一緒にいよう」
- 11本「最愛」
- 12本「恋人になって」
- 40本「永遠の愛を誓う」
- 50本「永遠」
- 99本「永遠の愛」
- 108本「結婚してください」
また、マイナスの意味を表す本数もある。
すみれ(菫)の怖い花言葉
すみれにはネガティブな意味の花言葉や、怖い・恐ろしい意味合いの花言葉などは特に見出されない。花言葉は「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」「愛情」など、真面目で優しく温かい意味を持っており、安心してお祝いや贈り物に取り入れることができる。※ 花言葉の内容は諸説あります。
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