すり合わせ
別表記:摺り合せ、摺り合わせ、摺合せ
「すり合わせ」とは、主にビジネス用語として「交渉事でそれぞれの情報を調整して妥協点を見出していく」という意味で用いられる表現である。対立する見解があって「一方を選んで他方を捨てる」というわけにはいかない場合に、双方の見解に細かい変更を加えて、互いに納得できる落とし所を模索する、ということである。
交渉や会議のように互いの意見を出し合う場面においては、自分の見解をあくまでも曲げずに通そうとするのも、逆に自分の損得を度外視して相手の意見を全面的に支持しようとするのも、問題がある。どちらかが一方的に得するような決着のつけ方はよくない。意見の対立が生じた場合には、お互いが納得して話を進められるような妥協点を探る「すり合わせ」が重要となる。
「すり合わせ」は動詞「すり合わせる」の連用形、および、その連用形が名詞化した語形である。「認識のすり合わせ」「すり合わせを行う」のような言い方で用いられることが多い。
「すり合わせ」は一般的に「摺り合わせ」と表記される。「擦り合わせ」と表記される場合もあるが、「擦り」は「こす-り」「かす-り」「さす-り」とも読める上に、そもそも「摺」と「擦」は字義が異なる。
「すり合わせ」の語源・由来
「すり合わせ」は、機械加工の専門用語に由来する表現と考えられる。機械加工における「すり合わせ」は、接合する部品が高精度にぴったり密着するように摩擦力を加えて微妙に削る工程を指す。この「すり合わせ」を経ることで、部品は互いにぴったり一致する形に落とし込まれるわけである。もっとも、一般的な日本語表現としても「すり合わせ(る)」という表現は用いられ得る。その意味では、必ずしも機械加工の用語としての「すり合わせ」を語源と位置づける必要性はないかも知れない。
「すり合わせ」の類語・言い換え表現
「すり合わせ」と似た意味合いの表現としては「落とし込み」や「クロージング」などの言い方が挙げられる。どちらも「対立する立場が互いに納得できる妥協点を探る」という意味で用いられる表現である。「妥協」「譲歩」「歩み寄り」などの表現も、「お互いに意見を譲って互いに納得できるようにする」という意味では言い換え表現の候補になる。とはいえ、これらの表現には「穏やかに解決することを優先して、いくらか不本意な条件でも受け入れる」というような少しネガティブなニュアンスが含まれることがある。そのため、あくまでも前向きな交渉を目指す場面では用いられにくい。
「すり合わせ」を含む熟語・言い回し
「すり合わせを行う」とは
「すり合わせを行う」は、ビジネスシーンにおいて「双方が納得できるポイント(妥協点)を探すこと」「双方が納得できるような見解を協力して作り上げること」を意味する表現である。「すり合わせ」の語の使い方のうち最も一般的な言い回しのひとつである。「内容のすり合わせ」とは
「内容のすり合わせ」とは、対立する見解の相違点を互いが納得できる内容へ変更・調整するという意味の表現である。「すり合わせ」の語の使い方のうち最も一般的な言い回しのひとつである。「内容のすり合わせ」は、「意見のすり合わせ」と対比し得る。とはいえ、単に「すり合わせ」とだけ表現しても意味そのものはほとんど変わらない。
すり‐あわせ〔‐あはせ〕【×摺り合(わ)せ】
すり合わせ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/05 01:10 UTC 版)
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すり合わせ(すりあわせ、英語:ground glass joint)とは、ガラスや陶器などで作られた2つの器具の部品が密着するように材質を摺って作られた接合面のことである。2つの管の接合面、あるいは密閉するための容器と蓋の接着面、回転式のコックなどに使用される。しばしばすりという俗称で呼ばれる。
ガラス製実験器具の接合
ガラス製実験器具の接合用には、形状および寸法の規格がJIS(規格番号:JIS R3646[1], JIS R3651[2])で定義されている共通テーパーすり接手(きょうつうテーパーすりつぎて)および共通球面すり接手(きょうつうきゅうめんすりつぎて)がある。また、ISO(国際規格番号:ISO 383 1976, ISO 641 1975)においては共通すりジョイント (Interchangeable Ground Joint) の規格が定義されている。
「すり」の種類
すりには、平面すりとテーパーすり、そして球面すりがある。平面すりはデシケーターやセパラブルフラスコなど、大きな容量の実験器具に用いられ、本体と蓋の接触部分の密着性を保つ。フラスコと管の接続や管同士の接続にはテーパーすりと呼ばれる方法が取られる。テーパーすりは、互換性の面から共通テーパーすりを使うことが多い。また球面すりは可動性を必要とする接ぎ手部分に使用される。
共通テーパーすり
共通テーパーすりというのは「共通規格の雄型・雌型を使用したすり」であることを意味していて、ガラス器具の製作所が異なっていても互換性があることを謳っている。テーパーを形成する円錐の頂角は三種類あり、その別を「Bズリ」「Cズリ」と呼びあらわす。「C」が頂角が一番大きく、「B」、「A」と小さくなる。
一般に「Cズリ」は太い首のジョイントに使用され「Bズリ」は細い首のジョイントに使用される。「Aズリ」は滅多に見ることがない。
共通テーパーすりを見分けるために「T」と「S」を組み合わせたマークと共にテーパーの上径と長さを表す分数がガラス外面に焼付け印字されている。なお、このマークは2019年7月現在Unicodeに登録されていない。
雄型・雌型に研磨剤を付けてロクロで回転させてすり込むところから「すり」と呼ばれる。また、すり込み精度の高い高級品を俗に「エーテルずり」と呼ぶが、近年では珍しい。
球面すり
なぜ「すり」が必要か
一般の化学実験で、例えばフラスコの口にガラス管を固定する場合、安価なゴム栓やコルク栓に適当な大きさの穴をあけてそこに管を通し、フラスコの口にねじ込む。この方法ではフラスコとガラス管は一応固定されるが、充分な密閉性は得られないし、腐食性を有する物質を扱う場合には栓がぼろぼろになって実験に支障をきたす。そのような実験にはガラス同士を直接密着させることが望ましい。実際には接続すべき部分のガラスの表面を一定条件で研磨して必要とされる形状と平滑性を与える。
すりを必要とする実験の例を挙げる。
- 減圧条件・大気中の酸素を遮断する条件を必要とする実験操作。
- 毒性・腐食性を有する物質を扱う実験。
- 悪臭・刺激臭を発する物質を扱う場合(酸クロライド類・メチルメルカプタン・アリルアルコールなど強烈なものがある)。
- 引火性の高い物質を加熱する場合。
逆に、すりを用いてはいけない実験の例を挙げる。
- 爆発性の高い物質を扱う実験(すり面の微細な凹凸が、爆発の引き金となる)。
- 強塩基性の物質を扱う実験(すり面が腐食し、癒着するおそれがある)。
脚注
「すり合わせ」の例文・使い方・用例・文例
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