『エッダ』
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『ギュルヴィたぶらかし』第37章および『スキールニルの歌』は、一目惚れした巨人の女性ゲルズを手に入れるため、召使スキールニルを巨人の国に遣わせ、その褒美として自分のもつ勝利の剣を手放す経緯を語っている。『スキールニル-』では、スキールニルに暗い揺らめく炎も越えられる馬も与えており、そのためスキールニルはゲルズの館を囲む炎を乗り越えることができた。この時フレイが手放した剣は「愚かな者が持てばなまくらだが、正しい者(もしくは、賢い者)が持てばひとりでに戦う」といわれていた。勝利の剣は俗称で、固有名詞は不明であるが、レーヴァテインという剣と同一視されることがある。(レーヴァテインを参照)また、勝利の剣を手放したことが原因でラグナロクの際、鹿の角で戦うことになり、ムスペルヘイムから来たスルトに敗れることとなる。なお『ロキの口論』において、フレイはロキから、「ゲルズを黄金で買った上に剣をやってしまい、ミュルクヴィズ(アースガルズとムスペルの国を隔てる暗い森)を越えてムスペルの子らが来たらどうやって戦うのか」と詰られている。これは『巫女の予言』や『ギュルヴィ-』での説明と異なっている。 スキールニルに褒美に与えた勝利の剣がその後どうなったかは不明であるが、次のような推測がある。まず、イギリスの著述家ドナルド・A・マッケンジーは、さまざまな伝承を取捨選択し物語仕立てにして北欧神話を紹介するその著書『北欧のロマン ゲルマン神話』(日本語題)において、父ギュミルに勝利の剣を渡せば花嫁になるとゲルズがスキールニルに申し出たことから、彼女との交換のため、フレイがギュミルへ勝利の剣を手渡すという経緯を書いている。また、アイスランドの研究者シーグルズル・ノルダルは、その著書『巫女の予言 エッダ詩校訂本』(日本語題)において、勝利の剣がスルトの手に渡り、スルトが自身の炎の剣(もしくは単に「炎」)とともにその剣を携えて来る可能性も示唆している。ただしスルトに剣が渡る経緯には触れていない。ノルダルはさらに、失われた伝承として、昔話でよくある「○○だけが△△を殺し得る」というパターンがフレイとその剣にもあったのではないかという推測を述べている。 なお、『ギュルヴィたぶらかし』第37章では、ラグナロクに先だって、鹿の角で巨人ベリを斃したことがあると伝えている。このためフレイは「ベリの(輝く)殺し手」と呼ばれることがある。
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『エッダ』
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『古エッダ』の『グリームニルの言葉』第43節では、イーヴァルディの子らがフレイのために作ったと語られている。続く第44節では、船のうちで最もすばらしいのがこのスキーズブラズニルだと説明される。『スノッリのエッダ』第二部『詩語法』では制作の経緯が詳しく語られている。全ての神族を乗せうるほど巨大な帆船であるが、折りたたむと袋に入るほどの大きさになる。また、帆を張った時には、どこからともなく風が吹き船を進めることができる。
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『エッダ』
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ヴァン神族とアース神族の戦争が終わったときに、ニョルズは娘のフレイヤ、息子のフレイと共に人質にとられる。その後ヴァン神族の存在は薄くなっていき、いつの間にかこの3神はアース神族の一員となる。 『スノッリのエッダ』第二部『詩語法』で、巨人女性スカジとの結婚の経緯が伝えられている。自分の父の巨人スィアチが神々に殺され、復讐のためにアースガルズにやって来た娘のスカジに対し、神々はアース神族の一人を夫にすることで和解をもちかけた。彼女は男神の脚だけを見せられ、その美しさで選んだ。光と善の神バルドルを狙っていたのだが、脚の美しさで選んだ神はなんとニョルズだった。ニョルズの脚は常に波に洗われて美しかったのだが、美青年というより美丈夫だった。結婚はしたものの、海の神であるニョルズは海に近い自分の住居に住むことを望み、スキーで山を駆けては猟をすることを好むスカジは山にある父の館に住むことを望んだ。2人は9夜ずつお互いの住居で一緒に過ごすことにしたが、スカジの館で過ごしたニョルズは狼の吠える声を嫌がり、次にニョルズの館で過ごしたスカジは朝に海鳥の鳴き声で起こされるのが苦痛であった。結果、この夫婦は別れてしまったという。H.R.エリス・デイヴィッドソン(英語版)はこの物語に隠された過去の祭礼を見いだしている。すなわち、9日間の祭礼の間に「聖なる結婚」が行なわれ、片方の神が片方の神の奉られた場所へ運ばれたという祭祀が反映しているという解釈である。また、スカジとニョルズの結婚は、サクソ・グラマティクスが述べるハディングス(英語版)とレグニルダの結婚とよく似ているため、古くからその類似が論じられている。 北欧の各地には、「ニョルズの神殿」「ニョルズの森」「ニョルズの耕地」を意味する地名が多く見られることから、彼が非常に崇拝されていたことは明白である。しかし前述の結婚の話以外では目立ったエピソードがない。またラグナロクでは多くの主要な神の死ぬ様が描かれているのだが、ニョルズがどのようにして死んだかは不明である。『古エッダ』の『ヴァフスルーズニルの言葉』第39節において、世界の終わる時にヴァン神族のところへ帰るだろうと言及されるのみである。 他に『ロキの口論』第34節では、ニョルズがロキから、人質として「東の神々」もしくは「東の巨人」の元へ送られたこと、ヒュミルの娘たちに溲瓶代わりにされて口の中に放尿されたことを指摘されている。
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『エッダ』
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アースガルズを囲む壁は巨人と巨人の所有する馬であるスヴァジルファリによって建てられた。 地上からアースガルズに行くためには虹の橋ビフレストを渡る(『ギュルヴィたぶらかし』第13章)。ビフレストのそばにおりアースガルズの門番を務めるのはヘイムダルである(『ギュルヴィたぶらかし』第27章)。 また、アースガルズの中心にはイザヴェルと呼ばれる平原がある(『ギュルヴィたぶらかし』第14章)。アース神族は重要な問題や会議があるとそこに集う。 男性の神々が集まる館をグラズヘイム、そして、女性の神々が集まる館をヴィーンゴールヴと呼ぶ(『ギュルヴィたぶらかし』第14章)。 神々はまた毎日ビフレストを渡り、ユグドラシルの下に住むウルズと会う(『ギュルヴィたぶらかし』第15章)。 『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』では、スヴィジオーズの王ギュルヴィが、アース神族の魔力と知識の秘密を知るべくアースガルズを訪問している。
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『エッダ』
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『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第6章によると、二人は巨人女性のベストラと、最初の神ボルの間の息子であった。 二人の兄弟がオーディンである。彼らは力を合わせて最初の巨人ユミルを殺害した。 第9章では、この三兄弟が海岸で二本の木(トネリコとニレ)を見つけ、ここからアスクとエムブラを創ったことが説明されている。オーディンは命と魂を、ヴィリは動く力と知性を、ヴェーが言語、聴覚、視覚を与えたとされている。 『古エッダ』の『巫女の予言』では、最初の人間の男性アスクと女性エムブラを作り出す際にオーディンと協力したのはヘーニルとローズル (en:Lóðurr) であった。しかし、『ギュルヴィたぶらかし』においては、ヴィリとヴェーが二人の代わりに登場している。 スノッリ・ストゥルルソンは『巫女の予言』の内容を当然知っているため、「ヘーニル」がヴィリの、「ローズル」がヴェーのもう一つの名前であった可能性はある。 『古エッダ』の『ロキの口論』では、オーディンの妻フリッグがヴィリとヴェー(ヴェーイ)と性的関係を持ったことをロキに暴露された。
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『エッダ』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/23 13:39 UTC 版)
「リンド (北欧神話)」の記事における「『エッダ』」の解説
『古エッダ』の『バルドルの夢』において、リンドの生んだヴァーリが、バルドルを殺したヘズに復讐をすると予言される。 『スノリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』ではアース女神の一員に数えられている。彼女は巨人である可能性がある。
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『エッダ』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/25 01:01 UTC 版)
『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第17章において、天の端にかかる虹の橋ビフレストのたもとにヒミンビョルグがあるとされている。 『たぶらかし』第27章では、ヘイムダルがビフレストに近いこのヒミンビョルグに住んでいると語られている。それは、彼が神々の見張り番であることから、山の巨人などから橋を守るためだといわれている。 『古エッダ』の『グリームニルの歌』第13節では神々の住む場所が次々に紹介されるが、8番目にこのヒミンビョルグが紹介される(第13節)。聖所を支配するヘイムダルが、心地よい大きな家で美酒を楽しむと語られる。
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『エッダ』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/25 00:52 UTC 版)
『古エッダ』の『グリームニルの言葉』第12節には、ブレイザブリクにバルドルが自分の館を建てたこと、その場所には災いがないこと(をオーディンが知っている)と書かれている。ブレイザブリクは第7番目に紹介される。 また、『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第17章には、ブレイザブリクより美しい場所がないと書かれている。
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『エッダ』
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「ヴァーリ (オーディンの息子)」の記事における「『エッダ』」の解説
『古エッダ』の『巫女の予言』および『バルドルの夢』によると、バルドルがロキにだまされたヘズ(ホズとも)に殺された後、父オーディンは巨人の女の予言に従って、復讐者となる息子ヴァーリを女性リンドに産ませた。ヴァーリは一夜にして成人し、腹違いの兄であるヘズを殺した。 『ヴァフスルーズニルの言葉』および『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』によれば、異母兄弟のヴィーザルとともにラグナロクを生き延びるとされる。伝承では、再生したバルドルとヘズとも出会うといわれている。 なお『詩語法』ではヴァーリを表すケニングとして、「オーディンとリンドの子」、「バルドルの復讐者のアース」、「ホズの敵で殺し手」などを紹介している。
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『エッダ』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/29 07:04 UTC 版)
ロキに騙され、兄弟で善神のバルドルを、その唯一の弱点のヤドリギ(ミスティルテイン)で貫く。後に、弟のヴァーリに復讐され殺された。ラグナロクの後は、バルドルと共に復活して和解し、新たな世界を治める若い神の一人となる。 なお『詩語法』ではヘズを表すケニングとして、「盲目のアース」、「宿り木を射る者」、「ヴァーリの敵」などを紹介している。
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